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ガーシー前議員に逮捕状…SNSで話題の「国際手配」「ICPO」って何?【弁護士が解説】

暴力行為等処罰に関する法律違反、強要、名誉棄損などの疑いで逮捕状が発行されたガーシー前議員(東谷義和氏)。国外に滞在しているため警察庁はICPOを通じて国際手配する方針とのこと。SNSでも話題になっている「国際手配」「ICPO」について弁護士が解説します。

鬼沢 健士

執筆者:鬼沢 健士

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インターネット上で著名人らを脅迫したなどとして警視庁は2023年3月16日、ガーシー前参議院議員(東谷義和氏)の逮捕状を取得しました。暴力行為等処罰に関する法律違反、強要、名誉棄損などの疑いが持たれています(※12)。
ガーシー前議員(東谷義和氏) 写真:スポニチ/アフロ

ガーシー前議員(東谷義和氏) 写真:スポニチ/アフロ

第26回参議院議員選挙で当選したものの国会を欠席し続け、3月15日に国会議員を除名されたガーシー氏。

SNS上では、「国会議員の不逮捕特権がなくなったタイミング……」「国際手配ってリアルで初めて聞いたかも」「歳費を返して」「ICPOって銭形のとっつぁんがいるとこ?」などさまざまな声が上がっています。

ガーシー氏は現在、日本国外に滞在していることもあり、警察庁はICPOを通じて国際手配する方針とのこと(※3)。

そこで、そもそも国際手配、ICPOとは何か。また、海外滞在者の逮捕について、法的観点から弁護士である筆者が解説します。
 

国外逃亡者の逮捕は「捜査権」「司法権」がポイント

日本の法律を犯した疑いのある者が国外にいる場合、「捜査権」「司法権」がポイントとなります。

捜査権とは、刑事訴訟法を根拠としており、犯罪が起きた場合に、国民のために早期の治安維持を目的として警察に与えられた権利です。刑事訴訟法は、日本国内にしか適用されませんので、他の主権国家において日本の警察が捜査を行うことはできません。ただ、容疑者が国外に逃亡した場合に日本国内で引き続き捜査を行うことはできます。

また、日本では、裁判権(司法権)は、「最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」と日本国憲法に定められていますが、捜査権と同様に、日本国内にのみ適用されます。したがって、容疑者が国外に逃亡した場合、日本に身柄を送還してもらわなければ、日本の裁判にかけることはできません。

容疑者が国外に逃亡した場合、日本に身柄を送還してもらう方法は2つあります。1つ目が、犯罪人引渡条約です。この条約を締結している国に対しては、容疑者の引き渡しを求めることができます。ただし、日本がこの条約を締結しているのは、アメリカ合衆国と韓国の2カ国のみです。2つ目は、ICPO(国際刑事警察機構)による国際手配を利用する方法です。
 

ICPO(国際刑事警察機構)とは?

ICPO(国際刑事警察機構)とは、「INTERNATIONAL CRIMINAL POLICE ORGANIZATION」の略で、インターポールという名前で呼ばれ、195の国と地域が加盟する国際刑事警察機関です。国際的な警察協力の促進、国際的な犯罪の防止及び対策を推進するために設立されました。ICPOの目的は、各加盟国の国内法の範囲内で相互協力を確保することであり、フランスに本部が置かれています。

ICPOの各加盟国は、情報の共有を行ったり、捜査共助・協力を行ったりすることで、警察活動を強化しています。
 

国際手配とは?

国際手配とは、ICPOの全加盟国の警察の組織力を通じて、国外逃亡した容疑者や行方不明者の所在を発見し、また、身元不明死体の身元確認等に努める制度です。身柄の拘束を求めるものから、行方不明者の情報を求めるものなど、目的別に9つに種別されます。

自国で犯罪を行ったと思われる容疑者が国外に逃亡した際、ICPOから全加盟国に対して、当該容疑者の捜索を依頼することができます。身柄が拘束されるに至った場合には、その容疑者は、犯罪人引渡し条約が締結されていなくても、その容疑者が犯罪を起こした国に送還されて逮捕することができます。

>次ページ:主な国際手配書の種類
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