娘に対してウケ狙いの大失言
13歳と10歳、ふたりの娘を持つユカリさん(43歳)。同い年の夫は、娘たちを溺愛しているのだが、最近、特に長女は夫をうっとうしいと思い始めているようだ。「お父さんと仲良しという娘さんたちも多いと思いますが、うちは『お父さん、うざい』と陰で言ってますね。そうなった原因は、夫の娘たちへの対応だと思います」
長女に生理が始まったとき、ユカリさんは「娘から言い出さない限り、あなたからは言わないで」と言った。自身がかつて、生理を父親にからかわれて嫌な思いをしたことがあったからだ。ところが夫は、長女に「きみも女になったんだねえ」と言ってしまった。
「長女は『気持ち悪い、なにそれ』と自室にこもってしまいました。だから言わないでって言ったのにと。めでたいことじゃないのと夫はキョトンとしていましたが、生理があろうがなかろうが女は女ですよ。非常に不快でしたね、私も」
こういう繊細さ、男性にはわかりづらいかもしれない。個人差も大きいからだ。だからこそ、妻に言われたとおりにすればいいのだが。
「いずれ本人もオープンにするときがくれば、それでいいと思うんです。でも初潮は女性にとって、ある意味ショックでもある。突然、体調不良みたいにも感じられるわけだし、プールに入れないとか不都合もあるし。もちろん、生理を否定するつもりはないけど、慣れるまではそっとしておいてあげたいとも思うんです」
だがユカリさんの夫もまた、「大人っぽくなっていく娘とコミュニケーションをとるには、ウケ狙いをするのが一番」と思っているらしい。だから「からかう」のだが、そこがユカリさんにはまったく理解ができないのだという。おそらく長女も理解していないだろう。
「誰にウケているのかわかりませんよね。長女本人が嫌がっているんだから」
そんなことを言ったら何も言えなくなる、家族の中でそんな過度の配慮が必要なのか、と夫は半分キレていたという。
「親しき仲にも礼儀あり。私はそう突き放しました。夫が、娘たちから愛される父親になるためには、まだまだ修業が必要なんじゃないかと思っています」
ユカリさんは、これからも夫を厳しく見守っていくしかないと苦笑した。