人間関係

「私は汚くなった」と55歳姉の自虐発言。“老い”に直面して荒れる人に、どう対処すべきか?(2ページ目)

自身が原因で離婚をして実家に戻ってきた55歳の姉。気持ちも老け込んだのか、会えば文句や嫌味を言い、同居する母親もそれに耐えかねて愚痴をこぼすようになってしまった。姉のためにできることはないかと考えてみるも、あまり明るい兆しは見えてこない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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年齢への自虐がとまらない姉

最近、姉の愚痴はもっぱら年齢への自虐だ。ヒカリさんがふたりの様子を見に実家に行くと、姉はすぐに絡んでくる。

「たまたま私がプチプラの化粧品を買ったので見せたんですよ。ちょっとアイシャドウとか入れると気分も変わるよと励ますつもりで姉に言うと、『私はもう無理。似合わないわよ。こんなに年をとって何がアイシャドウよ』とひねくれ始めた。そういえばこの人は昔から愚痴が多かったし、ひねくれた物言いをしていたなと思い出しました。人って変わらないものなのかもしれませんね」

50代で離婚、ひとりでのんびり暮らしていた母の生活を壊し、妹にも嫌な思いをさせているユキさん。誰も自分をかまってくれない、心配もしてくれないと卑屈になっているのかもしれない。

「支配欲が強い人なんでしょうけど、母や私を支配するのはむずかしいですからね。うちの子たちも最初は、伯母さんかわいそうと同情的でしたが、実際に会って話すと何かしら嫌味を言われるので『もう会いたくない』と言っています。ひとりで自由になったのだし、80代とはいえ母はまだ元気なのだから、姉ももう少し生きる気力とか目標を持てばいいんですけどね」

週に3回のアルバイト以外、ユキさんはほとんど家から出ないようだ。母親にとっても、それが非常にうっとうしいし、家にいるなら家事のひとつもやってほしいとも思っているとヒカリさんに愚痴ったという。

「母の気持ちもわかるけど、私も積極的に姉のために動く気にはなれなくて。55歳であそこまで気持ちが老け込んで、会えば『あんたに私の気持ちなんてわからないわよ。どうせ私を汚くなったと思ってるんでしょ』とグチグチ言ってくる。私もイラッときて『世界でいちばん不幸なのは自分だと思ってるんでしょ』と言ってしまったんです。姉はすごい形相で私を睨んできました」

夫には、距離を置いたほうがいいと言われ、自分からはあまりかまわないようにしているが、母のことが心配なのでどうしても実家には立ち寄ることが多い。

「実の姉妹でも、離れて暮らしていた年数が長いので、他人よりわからなくなっているところもあります。しかも他人よりお互いに遠慮がないから傷つけ合ってしまう。今後、姉とどう接したらいいのか、姉に何かいい目標を持ってもらうことはできないのか。少しずつ考えていくつもりではいますが……」

経済的なことを考えると、「あまり明るい未来はないんですが、私まで暗くなっていても始まらない」と、ヒカリさんは精一杯の笑顔を作った。
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