人間関係

糖尿病になっても危機感がない偏食夫。夜中のコンビニ通いが止められない夫に失望した瞬間(2ページ目)

夫の健康をめぐって、夫婦の間に亀裂が入ったら……。40代女性は、「さすがに疲れた」とため息を漏らした。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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危機感がない

ところが夫は栄養指導を受けても、いまひとつ危機感を覚えていないようすだという。

「私もそのあたりのことを勉強していたから、これからは私が作る食事以外はなるべく食べないでほしい。それがあなたのためだからと言ったんです。そうしたらすでに欲求不満だったんでしょうね、夫は『せっかく退院したのだから、今日くらい好きなものを食べさせろ』と怒りだして。そんなことしたらまた逆戻りだよと言ったけれど、やはり夜中に抜け出してコンビニに行ってましたね」

長年の妻の苦労をまったくわかっていない。自分で自分の健康を損ねるようなことをしている夫に、彼女はだんだん疲れてきてしまったという。

「子どもだってまだ小さいのだから、これから経済的にも大変になる。それ以上に、夫自身が病気はつらいでしょう。合併症だって起こるんだからねと言ったら、さんざん病院で脅されたらしく、『もういい、聞きたくない』って。子どもみたいなんですよね」

一緒に散歩しようと誘っても、「暑いから嫌だ」「寒いから嫌だ」と言う始末。子どもたちが犬を飼いたがっていたので、保護犬を飼ったら夫も散歩してくれるかもと淡い期待を込めたのだが、散歩はもっぱら子どもたちが担当している。

「危機感がないんですよね。おおらかな人だし、それが魅力でもあるんだけど、自分の体のことなんだからもうちょっと真剣に取り組んでほしい。それを言うと不機嫌になるので本当にどうしたらいいか困っています」

カズエさんは主治医にも長年、それを訴えている。だからこその入院だったのだが、夫にはあまり効果があったとは思えない。

子どもたちが父親の誕生日に、「パパ、元気で長生きしてね」という手紙を書いた。夫はそれを見て涙ぐんでいたし、「わかった」と言ったのに、骨身に染みてはいなかったようだ。

「誕生日の翌日です。私が夕飯時に忘れ物を買いに近所のコンビニに行ったら、帰宅途中の夫が唐揚げを店の外で頬張っていた。私の顔を見て気まずそうにしていたけど、さすがの私もこのときばかりは腹が立って腹が立って」

その日は夫と口をきくにもなれなかったという。それでもこのままにしておいていいはずはない。

「ケンカになっても夫の性根をたたき直すか、どうなっても知らないと見捨てるか。最後はふたつにひとつでしょうね。それは先日、夫にも伝えました。さすがにここ数日は我が家の食事だけで我慢しているようですが、精神的に不安定になっているのがわかります」

これからまだまだ長い闘いになりそうだとカズエさんはため息をついた。
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