みんなに「別れろ」と言われた男性と……
32歳のときに妊娠、2歳年上の男性と「デキ婚」したマミコさん(38歳)。夫は当時、バーで働いていたのだが、結婚するやいなや「結婚もしたし、昼間の仕事をして家庭を大事にしたいんだ」と言い出した。「そんなタイプには見えなかったので、本当かなと思いましたが、真剣な顔をして言うから騙されました。専門学校のパンフレットを見せてくれたので入学費用を渡したら、突然、帰ってこなくなったんです」
マミコさんは苦笑しながらそう言った。ところが彼女は、ここで慌てたり騒いだりしなかった。誰かに愚痴を言うことすらなく、淡々と仕事を続けてひとり生活をしたのだ。
「結婚前、夫は『うちは家族が崩壊しているから、母親だけ紹介する』と言い、義母とは3人で食事をしました。『本当にこんな子でいいんですか』と義母には何度も言われました。義母は息子のいいかげんさを見抜いていたんでしょうね。義母は感じのいい人だったから、夫が帰ってこなくなったときも何も言いませんでした。でも義母から電話をもらったんです。『新婚生活、うまくっている?』と。だからこんな感じで今は帰宅してないですと言ったら、義母が飛んできて謝るんですよ。お義母さんのせいじゃないし、私は私で生活していけますからと言ったら、義母は泣いていました。どうやら彼、若いころからやんちゃで母親に心配ばかりかけていたみたい」
それでもマミコさんは夫のことが好きだった。自由に生きて、やりたくないことはすぐやめて……。そんなふうに自分は生きていけないが、心の赴くままに生きる夫のありようがどこかうらやましかったのだという。
「とことん夫の味方でいたいとなぜか思っちゃったんですよね」
そこから苦労が始まった。
>生きたいように生き、突然この世から……