そしてシーズン2の配信が2022年12月22日にスタートしました。筆者は全8エピソード視聴しましたが、やっぱり面白かった! というわけで、シーズン1のおさらいとシーズン2のポイントを紐解いてみました!
<目次>
『今際の国のアリス』シーズン1のおさらい
【原作は麻生羽呂の人気漫画、監督は『キングダム』の佐藤信介】原作『今際の国のアリス』は、2010~2016年まで『週刊少年サンデーS』『週刊少年サンデー』(小学館)で連載されていた、麻生羽呂の人気コミックス。その実写化を手がけたのは、大ヒット映画『キングダム』の佐藤信介監督。佐藤監督は『GANTZ』シリーズや『いぬやしき』など漫画の実写化で成功を収めてきた監督です。
【主要キャストが全員ハマり役】
主人公のアリスは山﨑賢人。女性クライマーのウサギは土屋太鳳。この2人を中心にアリスの親友のカルベ(町田啓太)、チョータ(森永悠希)、“げぇむ”にエントリーしたチシヤ(村上虹郎)、クイナ(朝比奈彩)、ニラギ(桜田通)、アン(三吉彩花)、げぇむを仕掛ける側の人物、ミラ(仲里依紗)などが出演しています。キャストの数は多いけれど、各キャラクターの個性が確立されているので、「誰?」となることがほとんどなくわかりやすいです。
【無人の渋谷から始まるストーリー】
物語の始まりは渋谷。警察に追われて駅のトイレに隠れていた有栖良平(アリス/山﨑賢人)とカルベ(町田啓太)、チョータ(森永悠希)。しばらくして外に出てみると渋谷には誰もいない……。ここからアリスは、生きるか死ぬかのげぇむの数々にエントリーせずにはいられない状況へ追い込まれていくのです。
げぇむで知り合った宇佐木柚葉(ウサギ/土屋太鳳)ほか、仲間たちと共にデスゲームに挑戦していくアリス。彼らが存在する今際の国とは何なのか。げぇむを企んでいるのは誰なのか。元の世界に戻れるのか? そんな謎を背景に情け容赦ない戦いが展開されていくのです。
そしてラストはシーズン2を予感させるエンディングになっています。
『今際の国のアリス』シーズン2の見どころ
佐藤信介監督は、シーズン1の撮影時からシーズン2の構想はあったそうです。知能戦と戦闘戦のげぇむの違いをより明確にしようという意図があったと、シーズン2の完成披露会見で語っていました。確かに「どくぼう」「てんびん」のげぇむは動きが少なく完全に頭脳勝負。対して「さばいばる」はアクションに次ぐアクションで動きが止まりません! シーズン2は、その「さばいばる」げぇむからスタートします。
【再び渋谷から始まるストーリー】 シーズン2も渋谷からスタートしますが、今回はルールの説明がなく、突然銃声が鳴り響き、生き残っていた人々が次々と殺されていきます。そして、マントを羽織った大男の影が見え、どうやらその男がスペードのキング=ゲームマスターのよう。この大男を倒せばげぇむは“くりあ”だと思われますが、ルールの説明がないし、武器もないので「このままだと逃げきれず撃ち殺される!」と思ったアリスは、仲間にある提案をするのです……。ここからさまざまなげぇむが展開されていきます。
【シーズン2の「げぇむ」の面白さ】
では、アリスたちを翻弄するげぇむについて解説します。
各げぇむにゲームマスターがいて、それぞれ「ダイヤのキング」などトランプカードの名前が付けられています。
・さばいばる
渋谷の街でカーチェイス&銃撃戦。ゲームマスターのスペードのキングを倒すまで終わらない。
・すうとり
5人1組で各チーム10000点の持ち点を奪い合う。負けたら殺される。
・どくぼう
プレイヤーは首輪を装着。首輪の後ろに現れる自分のマーク(ハート、スペード、クラブ、ダイヤいずれか)を当てる。間違えると首輪が爆破。
・かまゆで
巨大なスタジアムが倒壊するまでに脱出する。 ・ちぇっくめいと
背中にボタンを装着し、赤と青2チームに分かれる。敵プレイヤーの背中ボタンを押すげぇむで、押されたプレイヤーは相手チームの仲間に入り、最後に人数の多いチームが勝利。負けたチームは殺される。
・てんびん
エントリーしたプレイヤー5人は1人ずつ1~100までの数字を選ぶ。みんなが選んだ数字の平均値に0.8を掛けて出た数字に最も近い数字を選んだ人が勝者。敗者は減点1となり、トータルで10になると頭上の天秤から硫酸が注がれ壮絶な死を迎える。 ・くろっけぇ
最後のげぇむ。生き残った者がハートのクイーンとクロッケー(球技)を行う。3セットやり通したらプレイヤーの勝利。途中棄権したら死に至る。
『今際の国のアリス』シーズン2のココがすごい!
【すごいポイント1:新キャストが豪華! 山下智久が全裸で大活躍】山﨑賢人、土屋太鳳などメインキャストはシーズン1から継続。そしてシーズン2から登場する新キャストがまた豪華。一番の話題は山下智久でしょう。 彼が演じるのは「すうとり」というげぇむに登場するゲームマスターのキューマ。彼はヌーディストなのでずっと全裸なんです! でも、キューマの魅力はボディーだけではありません。「生きる意味」を語る哲学者の一面もあり、強烈なカリスマ性も。山P、ハマり役でした。
また「どくぼう」のげぇむには、2022年、数々の映画で結果を残してきた磯村勇斗が登場。ほか井之脇海、毎熊克哉、さとうなほみ、山本千尋、恒松祐里も重要な役で出演しています。
【すごいポイント2:美術とVFX(Visual Effects)が合体したシュールな映像世界】
佐藤信介監督といえば、特撮映画のスペシャリストのイメージ。『今際の国のアリス』も驚くべき美術、撮影技術を駆使して作られています。
メインステージでもある渋谷のスクランブル交差点はオープンセット。栃木県に建てられた“渋谷の街”で撮影されていたのです。シーズン2の後半に出てくる渋谷109周辺の路地などは架空の場所ですが、ドラッグストアなどポイントごとに現実にあるお店を描いて、リアリティーにこだわりながらアクションに最適な撮影場所を作り出しています。 また「すうとり」げぇむはコンテナ埠頭で1カ月も撮影。ウサギがコンテナの上を全力疾走するシーンは注目です。
他にも、チシヤがエントリーしたげぇむ「どくぼう」は旧奈良監獄で撮影するなど、ロケ地、美術、小道具や衣装も含めた全てにスタッフのこだわりが詰まっています。だからこそ、視聴者はアリスたちが飲み込まれていくデスゲームに没入できるのです。
【すごいポイント3:登場人物の背景が見える】
シーズン2はドラマ性も高く、げぇむの合間に登場人物たちのプロフィールが挿入されていきます。アリスは、優秀な弟へのコンプレックスから引きこもりの自堕落な男になっていましたし、ウサギは世間から疎まれていた父親を亡くして辛い日々を過ごしていました。チシヤ、クイナの背景も描かれ、現実の世界での苦しみが吐露されます。今際の国で戦っている時の方が現実世界よりも生命力に溢れているなんて皮肉……。 また、ウサギは「元の世界に帰りたくない気持ちもある」と正直に語るなど、そんなドラマ性の高さが作品に深みを与えています。
【すごいポイント4:アクションのスピードとパワーが度肝を抜く!】 げぇむは頭脳戦、心理戦、銃撃戦、肉弾戦もあり、飽きることがありません。日本映画のアクションは、海外のアクション映画に比べると銃撃戦でも肉弾戦でも迫力不足を感じてしまうことがありますが、本作はそんな心配はゼロ!
なぜならアクションのスピードが倍速、全ての動きが速い。カーアクションもゴチャつく街中でやっているからよりスリリングに見えますし、目を逸らしたら何が起こるかわからないほどのスピードで突き進んでいくので、それが迫力を生んでいたのではないかと。やはりアクションはスピードが命だとつくづく思いましたね。
総論:だから『今際の国のアリス』は面白い!
やはり準備期間をしっかり取り、必要な制作費と時間をかけて、佐藤監督がやりたい世界を作り上げたことが、本作の面白さに大きく影響しているはずです。もちろん、お金をかければいい映画が作れるとは限らないけど、潤沢な制作費を映画の内容を強化するために上手く使いこなすのも監督の力量。それが成功した作品ではないかと思います。また、『今際の国のアリス』は自堕落な主人公が、戦いの中で成長していく物語。アリスの変化を、げぇむを通して丁寧に追いかけていたのも良かったです。
今際の国の秘密を解き明かしたラストは、これまで映画やドラマで何度も使われてきたトリックだと思ったけれど、ガッカリ……ではなく、納得できたのは、そこに至るまでのアリスやウサギたちの物語がしっかり構築できていたからだと思います。
できればシーズン1、2を続けて見てほしいです。げぇむを通して成長していくアリス、アリスとプレイヤーたちの関係性が変化していく姿にも注目して見てください!
作品情報:Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン2
2022年12月22日よりNetflixで独占配信中。原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)
監督:佐藤信介
出演:山﨑賢人、土屋太鳳、村上虹郎、三吉彩花、桜田通、朝比奈彩、恒松祐里、渡辺佑太朗、森永悠希、町田啓太、磯村勇斗、井之脇海、毎熊克哉、さとうほなみ、山本千尋、金子ノブアキ、阿部力、青柳翔、仲里依紗、山下智久