亀山早苗の恋愛コラム

結婚して半年、夫の様子がどこかおかしい。その裏で小中学校時代の友人だった義妹が「悪巧み」(2ページ目)

いい人もいれば、そうでない人もいる。悪意に満ちた行動をとる人間と接する必要があるとき、どうすればいいのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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結婚後に起きた災難

結婚後もヒロコさんは仕事を続けた。夫ももちろん大賛成。家事はできるほうがやると緩く決めていた。

「夫は本当にいい人で、家事も手早くやってくれるし、私が疲れたというとマッサージまでしてくれる。私もできる限り、彼のためになることがしたい。そう思っていました」

ところが結婚して半年後、そんな夫の態度に少しずつ変化が見えてきた。帰りが遅くなったり、家事を放棄したり。話しかけても「どうせきみはオレと話すのがつまらないんだろ」と見当違いのことを言い出す。

「どうしたんだろう。そう思ってカヨに相談したんです。するとカヨは『言いづらいんだけどね、お兄ちゃん、本当は好きな人がいたの。結婚できない事情があって別れたものの、最近、その人と再会してしまった。それで揺れているんだと思う。ごめんね、怒らないで。もうちょっと黙って様子を見てあげて』と。妹がそう言うならそうなんだろう。だけどこのままだったら私は何のために結婚したんだろうと、私も悩み始めてしまって……」

いつものように生活しよう、そう思っても夫の顔色をうかがってしまう。夫がイライラしているのも伝わってくる。

「このままじゃダメだと思い、夫に『ちゃんと話そう。私たち、おかしいよね』と言ったんです。そうしたら夫も『わかった』と。ふたりで話したら、夫は私が浮気していると思い込んでいた。結婚したときに夫が部署を異動したんですが、夫は私が、一緒に仕事をしている自分の同期と浮気していると思い込んでいた。私は私で、夫が浮気していると思っていた。出所は一緒でした。カヨです。夫はものすごく妹思いで、実家で親と暮らしているカヨがかわいそうだからとときどき東京に呼んでは、食事をしたり一緒に映画を観に行ったりしていたんですって。でも私と結婚してからはそういうこともしなくなっていた。カヨとしては兄が私に取られたようなものだったんでしょうね。だからそんな嘘をついた」

夫は妹の言うことを信じた。そしてカヨさんはヒロコさんには、逆に兄が浮気しているように吹き込んだ。つまりはふたりが不仲になるように仕向けたわけだ。

「でも私たちが話せばバレることですよね。そんな稚拙な嘘をついて別れさせようとしていたなんて、逆にカヨがかわいそうになってしまって……。カヨを責めるのはやめよう、そしてこれからはきちんとふたりで話し合おうということになりました。その後、夫はカヨに『つまらないことを考えないで、自分のやりたいことをもう一度考えてみろ』と一度だけLINEを送ったそうです」

それ以降、カヨさんからは何も言ってこなくなった。だが、カヨさんが何か新しいことを始めたという話も聞かない。

「田舎の小さな町で、地元から出ずに暮らしているカヨの気持ちを考えると不憫だと思ったんですが、夫に聞くと、両親はカヨにも好きなように生きろ、東京でも大阪でも好きな大学に行けと言っていたそうです。地元に残ることを選んだのはカヨ自身だった。それでもきっと今になって後悔していることもあるかもしれないから、たまにはこっちに遊びにおいでよと私もLINEしてみました。返事はありませんでしたけど」

妹ならではの兄のパートナーへの嫉妬かもしれない。だが純粋に嫉妬だけではなく、彼女自身の人生への不満もあるのだろう。ヒロコさんはカヨさんにも楽しい人生を送ってもらいたいと心から思っていると、少し心配そうに言った。
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