亀山早苗の恋愛コラム

デキ婚した夫が1週間後に仕事を辞めた!「夫ガチャ」にハズレたと思ったら、まさかの展開

デキ婚した途端に、夫が仕事を辞めてきたら……。衝撃的な展開から始まった結婚生活について、30代女性が語ってくれた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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世の中には「何を考えてるんですか」と、10人中9人が言いたくなるような行動をとる人がいるものだ。その人が何を考えてそういう行動をとったのか、身近な人間にすらわからない。それが新婚の夫だったら……。妻はどうすればいいのだろう。
 

結婚して1週間後に「仕事辞めてきた」

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昨年5月に婚姻届を提出したアヤコさん(37歳)。相手は友人の夫の知人で3歳年上のバツイチ男性だった。

「友人との食事会で1回会ったんですが、その後、2度ほどデートしました。3度目になんとなく雰囲気に負けてホテルに行ったら、妊娠してしまって」

子どもはほしいと思っていた。だからそのまま彼には言わずにひとりで産むことも考えたという。だが、友人に話したらすぐに彼にも伝わり、「どうして僕に言ってくれないの」と悲しそうな電話がかかってきた。

「だってお互いにまだよく知らないし、なりゆきみたいな形で結婚するのも嫌だしと言ったら、『僕はアヤコさんが好きだよ。結婚しよう、子どもを一緒に育てようよ』とやけに前向き。そもそも結婚願望があまりなかったのに子どもを授かったのは奇跡だと思っていたから、ひとりで育てるつもりだったんですが、彼がそう言うなら結婚してみてもいいかなと思ったんです」

結婚は特に望まないが子どもはほしい。そう思っていたアヤコさんだから、特に結婚に期待することもなかった。

「彼は27歳で結婚して30歳で離婚。子どもはいないと聞いていました。以前から彼が住んでいたマンションに私が越すことになり、部屋を見に行ったんです。その時点で離婚して9年がたっているのに、部屋には前妻のものらしき洋服などがあってドン引きしました。私が越してくるのがわかっているんだから、もうちょっと気を遣ってくれてもいいのにと言ったら、『気になる? ごめん』と捨ててくれましたが、洋服だけじゃなくて小物やアクセサリーなど大きなゴミ袋20袋分もありました。妻が使っていた部屋はそのままにしていたようです」

未練がましいのか面倒くさがりなだけなのか。判断がつかないまま婚姻届を提出、彼女はつわりに耐えながら毎日、仕事に出かけた。

ところがその1週間後帰宅すると、「お帰り」と言った彼から「仕事辞めてきた」と衝撃的な発言が!
 

夫が稼ぐべきとは思わないけれど……

どういうことなの!と慌てる彼女に、夫は「結婚前から、会社を辞めることが決まっていた」とのこと。

「パニクりましたよ、私。それって詐欺みたいなものじゃないの、と。そうしたら『どうして男が稼ぐって決めてるの?』と逆に言われて。だって私はこれから出産するのだから、産休育休の間、どうやって生活するのよ……と思わず涙がこぼれて」

すると彼が、少しだけど貯金はあるし、あなたは働くのが好きなんだから育休はとらなくてもいいよ、僕が子育てするからとニコニコしている。

「なんだかこの人、次元が違うと思いました。確かに私は働くのが好きだけど、出産って命がけじゃないですか。万が一、私になにかあって働けなくなったらどうするつもりなのと聞いたら、そのときはそのときって。最初は夫ガチャにはずれた、大ハズレと落ち込んでいたんです」

夫からの要求は月々4万円ほしいというものだった。光熱費もアヤコさんに出してもらいたい。あとはいっさい、自分がやるからと夫は言った。

「私の支出は、今までの家賃分くらいなので、それならいいかなと。そうしたら夫は家事から料理からすべてやってくれるようになったんです」

妊婦の栄養を考えた食事はおいしく、お弁当も作ってくれる。帰ってくると、アヤコさんはほぼ何もしなくていい。洗濯も掃除も彼がすべてやってくれた。

「でも不思議だったんですよ。4万円の生活費でできるような食事じゃないから。尋ねたら、彼の実家は農家なのでお米は送ってきてくれる。野菜は彼がうちから自転車でしばらく走って無人で野菜を売っているところで買ってくる。肉や魚も安いところを知っているみたい。料理がうまいから素材を余らせることもないんです」

産休に入ったころ、彼はようやく自分の気持ちを話してくれた。もともと農家の三男坊で、両親と父方の祖父母と暮らしていたこと、祖父母の権限が強く、母は単なる労働力とみなされていて一家のだんらんなどまったくなかったこと。高校時代は荒れていたが、その後、専門学校に通ってIT関係の会社に入社、それなりに高給を稼いだこともあり結婚したが、相手は彼のお金目当てですぐに仕事を辞めて専業主婦になったこと。

「だけど家事能力が低かったので、結局、彼が家事を担うしかなく諍いが絶えずに離婚。今度結婚するときは自分が家事をしたい。だけど専業主夫になりたいといったら女性は結婚してくれない。きみなら、いつかきっとわかってくれると思ったと言うんです。納得はまだしていないけど、こういう生活は確かに悪くはない。私は家事が苦手だし、外で働くのが好きですから」

昨年暮れに元気な女の子が生まれた。そして彼女は産休プラス2週間ほどで職場に復帰した。たまたま彼女の産後の復活が早かったからできたことで、なかなか他の人が真似ることはできないだろう。

「さすがの夫も新生児には手こずっていたようですが、今ではすっかり慣れていますね。私も子どもが気になって残業を減らしてすぐ帰宅、とにかく3人でいる時間が増えました。残業代がないと困るよねと言ったら、夫は以前から株の売買をしていて、少しは儲かっているから大丈夫と」

夫ガチャに大ハズレだと思っていたが、実は大当たりだったのだ。女が家事育児をやるものだという考え方が夫にはほぼない。アヤコさんはときどき、母としてこれでいいのかと考えていたが、「僕がめんどうみているんだからいいじゃん」と夫に言われて納得した。

「母なのに……と他人から言われることもありますけど、気にするのはやめようと思っています。うちは私が稼いで、夫は家事をして、子どもはふたりで育てる。どこからも文句を言われる筋合いはない。やっとそう思えるようになりました」

一般的には“変わった”夫かもしれないが、自分たちが生きやすければそれでいいのだと、アヤコさんは明るい笑顔を見せた。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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