子育て

「わが家にサンタはいない」という方針、クリスマスプレゼントの在り方

サンタクロースという架空の存在を子どもにどう説明するかは、ご家庭によって様々。一般的に「いる」と肯定されるご家庭の方が多いと思いますが、今回は「わが家にサンタはいない」という事例、そして幼少時に「いなかった」という事例をご紹介していきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

「わが家にサンタはいない」という2つの家庭

「サンタはいない」という家庭

感謝の心を持つ子に育ってほしいため、サンタの存在は最初からカミングアウトしています

サンタクロースという架空の存在を子どもにどう説明するかは、ご家庭によって様々。一般的には「いる」と肯定してクリスマスを迎えるご家庭の方が多いと思いますが、今回は「いない」という家庭の方針、そして幼少時に「いなかった」という方の事例をご紹介しながら、サンタクロースの存在と親の思いを考察していきます。
 
<目次>
 

事例1:サンタはパパ・ママだと初めからカミングアウトしています

■相談者プロフィール
相談者:33歳女性(沖縄県)
家族構成:夫(34歳)、長男(14歳)、次男(7歳)、義父(57歳)        

■相談内容
わが家では子どもが小さい頃に、サンタはパパやママだとカミングアウトしていました。それは、サンタという架空の存在に感謝するより、ちゃんと親に感謝の心を持てるように育ってほしいという思いからです。この季節に周囲でよく聞く「いい子にしていないと」「きちんとおもちゃを片づけないとサンタさんはこないぞ」などと、子どもを脅すようなことも言わずにすみます。

素直に「ママとパパは片づけのできる子に育ってほしい」と伝えることで、子どもも分別のあるいい子に育っていると思っています。しかし一方で、もうちょっと子どもらしく育てればよかったかなと反省することもあり、子どもにも同じような子育てをしてほしいとは思いません。
 

他のご家庭の方針との違いに答えられるよう準備も必要

幼少時からサンタクロースは、パパとママだと伝えているご家庭。その理由が、「親に感謝の心を持てるように育ってほしい」という思いからという、とてもしっかりとした軸をお持ちで素晴らしいですね。たしかにもともといない存在なら、「いい子にしていないとサンタさんはこないよ」などと、子どもを言い聞かせるためにクリスマスを利用するということをしなくてすみます。

実際に、これは物で釣って動かそうということでもあるため、子どもの導きとしては望ましくありません。このような外発的な動機づけは、エスカレートしていくものです。例えば、はじめは小さなおもちゃ1つで満足していたのに、次第にそれでは動かなくなり、より高価な物を求めるようになる。そして、いずれ親が対処に困るようになるのです。サンタさんがいる・いないに関わらず、使わないに越したことはありません。 
 
また、「もうちょっと子どもらしく育てればよかった」とも反省されています。一般論として、サンタクロースを信じること=想像力が豊か、このようなイメージがあるのかもしれません。しかし、サンタさんはファンタジーの世界のひとつの存在ではありますが、その真実を伝えたからといって、子どもらしさが育たなくなるわけではありません。他にもたくさんアプローチはあるものです。

ただ、サンタクロースの存在をどう伝えていくかについての正解がない分、ご家庭によって方針が違い、幼稚園などでサンタさんが「いる・いない」で、もめごとになったという話も聞いたことがあります。
 
このご家庭のようにサンタクロースはいないと伝えているお家にとっては事実を教えているにもかかわらず、いると伝えているご家庭にとっては「言わないで」ということになる。お家の中で活動が完結している幼児期には問題にならないことも、子どもだけで遊べるようになると出てくる悩みともいえるので、将来的にこういう場面も出てくるかもしれないということは、あらかじめ把握しておいた方がいいでしょう。

そしてどちら側であっても、ある年のクリスマスに子どもが「友だちがサンタはいないと言っていた」「友だちがサンタはいると言っていた」という話を家庭に持ってきたときに、どう答えるか。これも、お子さんが3~4歳になったら、準備しておくといいのではと思います。
 

事例2:クリスマスや誕生日にプレゼントをもらう習慣はありませんでした

子どもの頃からクリスマスや誕生日にプレゼントをもらう習慣がない家庭で育ちました

子どもの頃からクリスマスや誕生日にプレゼントをもらう習慣がない家庭で育ちました

■相談者プロフィール
相談者:29歳男性(熊本県)  
家族構成:妻(31歳)、長女(4歳)、次女(2歳)      

■相談内容:
クリスマスは本人たちが欲しいものをリサーチしてプレゼントを渡すようにしていますが、欲しいものをこんなに簡単に与えていいのかと、毎年のように悩みます。 私自身は片親で育ち、子どもの頃はクリスマスプレゼントどころか、誕生日プレゼントももらったことがありません。今は物があふれていて、壊れたら新しく買えばいいというような時代です。直して使うことや、おもちゃを使わない遊びを考えるなどの機会が減ってしまい、このまま育ってしまうと発想に乏しい子に育ってしまうのではないかと心配です。

子どもたちが常日頃、保育園や習い事を頑張っていることや、家事の手伝いをしていることも分かっていますし、クリスマスに子どもたちの喜ぶ笑顔を見るのは親自身も嬉しいものです。しかしだからといって、こんなに簡単におもちゃを与えてしまっていいものかなとも思ってしまうのです。
 

物にあふれる時代、プレゼントの在り方を再考する機会に

ご自身が幼少時にサンタクロースがこなかったという経験を通して、お子さんたちのクリスマスプレゼントの在り方を再考しています。おっしゃる通り、今は物があふれている時代なので、一つひとつの物へのありがたみが昔に比べて薄れているのは否めません。この方のように毎年この時期、「こんなに簡単に欲しいものが手に入っていいものか」と考えてしまう方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
 
「このまま成長したら、発想に乏しい子に育ってしまうのでは」という点については、遊びだけが発想力の材料ではないので、そこまで心配しなくてもいいでしょう。しかし遊び方が子どもの成長に影響するというのは間違いないといえます。とある研究では(*)、想像力をフルに活用した遊びを継続的におこなったところ、そうではないグループと比べて「認知能力」が伸びていたという結果が出ています。おもちゃには必ず取扱説明書やルールブックがついてくるように、遊びの型がある程度決まっているものです。おもちゃを否定する必要はありませんが、遊びの質によって子どもに影響するものは変わってくるため、それぞれの特色を生かして使い分けるのがいいでしょう。
  
いずれにしても、おもちゃを購入するのは大人側です。物があふれているのはよくないと思いつつも、「いつもさみしい思いをさせているから」「友だちが持っていて、うちの子が持っていないのはかわいそう」というように、大人の心理が揺れて物を増やしているということもよくありますので、その部分を振り返ることも大事かもしれませんね。
 

サンタの存在の正解はないが、感謝の気持ちを持てる子に

今回はサンタクロースの存在を基点とした親の思いについて見てきました。架空の存在であるサンタクロースやクリスマスというイベントが、このような形で子育ての振り返りに使われているということをあらためて気付かせてくれるエピソードですね。

どちらにも共通するのは、感謝する気持ちを持ってほしい、ということのような気がします。親への感謝、物への感謝。サンタさんの「いる・いない」についてはどちらがいいというのはありませんが、「いない」「いなかった」という視点からのクリスマスの見方は、参考になった方も多いのではないでしょうか。

*参考記事:おもちゃに頼らない遊びで頭のいい子を育てる!

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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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