家族旅行・子連れ旅行

神戸にこんな田舎が!? 移住先としても注目の里山で観光の穴場スポットを巡ってきた

港町のイメージが強い神戸ですが、のどかな里山もすぐ近くにあり、有名な六甲山や有馬温泉なども実は神戸市内。移住や二拠点生活、観光の穴場として注目されている多彩な神戸の顔を紹介します。

古屋 江美子

執筆者:古屋 江美子

旅行ガイド

「え、ここも神戸!?」のどかすぎる里山を巡ってきた

神戸市内の里山

こんなにのどかな場所が神戸市内にもあった!

神戸というとおしゃれな港町のイメージがありますが、実は山もすぐ近く。新幹線の新神戸駅よりさらに北、車で30分もしない地域に「ここが神戸!?」と思うような自然豊かなエリアがあり、のんびり過ごせる穴場の観光スポットが点在しています。

神戸の里山は都会からアクセスもよく、移住や二拠点生活に興味がある人からの注目も高まっている様子。そこで今回は里山らしいグルメを味わえるスポットと気軽に里山暮らしをイメージできるスポットを巡りながら、エリアの魅力を探ってみました!

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美食スポット1:ITも活用する「弓削牧場」

循環型酪農を実践する「弓削牧場」

循環型酪農を実践する「弓削牧場」。牛たちはストレスフリーで過ごす

自然豊かな里山は美食の宝庫。ということで、まずは“おいしい”スポットから紹介!

神戸の市街地から車で約30分にある「弓削牧場」(神戸市北区)。急な斜面を牛が勢いよく駆け上がり、草をおいしそうに食んでいます。山の斜面に牛を放牧しているというのも珍しい光景ですが、ここが神戸の市街地から車でわずか30分の場所というのもなんだか信じられません。
 

ここではサステナブルな循環型酪農が行われています。牛の糞尿や食品由来のごみは敷地内のプラントでバイオガスに変換して、お湯を沸かすのに使っているそう。バイオガスの生産に伴って生じる液体は肥料となり、敷地内で野菜やハーブを育てるのに使われます。

弓削牧場

弓削牧場を運営する弓削忠生さんと妻の和子さん

酪農にはITも活用しています。例えばエサやりは、牛舎のロボットセンサーが、牛の首についている青いタグを読み取ると適切な量のエサ(配合飼料)が出てくる仕組み。乳搾りは、自動搾乳ロボットを導入して、牛が好きなタイミングで機械へ入れるようにしています。こうしたデジタル化は生産性を上げるというより、「牛も人も暮らしやすくするため」というやさしい考え方からきています。

たっぷりホエイシチューと無農薬無化学栽培のハーブサラダ(弓削牧場)

たっぷりホエイシチューと無農薬無化学栽培のハーブサラダ

牛のストレスが少ないことはミルクのおいしさにも直結していました。牛乳を飲んでみると、あっさりしつつもコクや甘みをしっかり感じる味わいに感動! 観光農場ではありませんが、敷地内にはチーズやホエイを使った料理を食べられるレストラン「チーズハウス・ヤルゴイ」とチーズなどを買えるショップがあります。
 

美食スポット2:ベーグルと米粉の蒸しパン「はなとね」

神戸指定有形文化財の古民家にある「はなとね」 

神戸指定有形文化財の古民家にある「はなとね」 。縁側付きの店内で食べることも、持ち帰ることもできる

築260年以上の茅葺き古民家で、ベーグルと米粉の蒸しぱん(スチームベーグル)を販売する「はなとね」(神戸市北区)も、里山らしいのんびりした時間が流れる場所。お店を営むのは、里山に魅了されて県外から移住してきた村上さん夫婦です。

もともとはオンラインと催事専門のパン屋さんだったのですが、この古民家に移住するにあたり、「この景色と土地の魅力を多くの人に知ってほしい」と店舗を構えました。
はなとね ベーグルと米粉の蒸しぱん

村上さんご夫婦。パンづくりは夫の敦隆さん(奥)が担当。

「自然の中で子どもたちを育ててみたかったんです。神戸市内なので都会も満喫しながら、田舎の暮らしができる立地が魅力。虫や動物は多くて、ドアを開けると上からカエルが落ちてくる、なんてこともありますが、もう慣れましたね(笑)」(妻・のりこさん)
はなとね ベーグルと米粉の蒸しパン

フレーバーは日替わりでベーグル15~20種類、米粉の蒸しパンは2~5種類。選ぶ楽しさも届けている

パンの種類はベーグルと米粉の蒸しパンで、フレーバーは日替わりでいろいろ。卵とミルクを使っていないので、アレルギーを持つ子でも食べやすく、みんながほっとひと息つける温かなおやつになっています。
 

美食スポット3:新鮮な野菜が並ぶ「FARM CIRCUS」

新鮮な食材がずらりと並ぶ「FARM CIRCUS」

新鮮な食材がずらりと並ぶ「FARM CIRCUS」

生産者との距離が近く、新鮮な野菜がすぐに手に入るのも里山の魅力です。「道の駅 神戸フルーツ・フラワーパーク大沢」に併設された「FARM CIRCUS(ファームサーカス)」(神戸市北区)には、採れたての地域の野菜や果物がずらりと並んでいて、このエリアの豊かさを実感できます。レストランやカフェもあり、地産地消のメニューを楽しめます。
 

美食スポット4:絶景と味わう但馬牛「空のダイニング」

空のダイニング

絶景と共に料理を味わえる「空のダイニング」。ディナーコースには但馬牛も並ぶ

少し特別なシチュエーションで地産地消を堪能するなら、六甲山サイレンスリゾートに併設されたレストラン「空のダイニング」(神戸市灘区)がおすすめ。

名前のとおり、空に浮かんでいるようなレストランで、天気がよければ淡路島や関西国際空港、遠くは和歌山まで見渡せます。食材には、神戸ならではの但馬牛や地元の有機野菜を使用。神戸の里山には有機野菜を作っている農家も多いそうで、塩やオリーブオイルなどのシンプルな味付けで、その滋味を最大限引き出しています。
六甲山サイレンスリゾート

六甲山サイレンスリゾートの美しい大階段。端の石は開業当時のもの

レストランと同時に訪れたいのが、「六甲山サイレンスリゾート」。長らく宝塚ホテルの別棟、六甲山ホテルとして親しまれ、国の近代化産業遺産にも選ばれていましたが、耐震性などへの課題からクローズ。2019年に「六甲山サイレンスリゾート」として再オープンしました。

古くなった建物は、壊して作り直したほうが早いことが少なくありません。しかし、この建物の美しさを見たイタリアデザイン界を代表する巨匠ミケーレ・デ・ルッキ氏が、修復して残すべきだと提案。共に開業当時の姿をよみがえらせることにしたそうです。天井や梁、れんが、壁などは当時のまま。いまはカフェとギャラリーのみですが、数年以内にホテルもオープン予定です。
 

滞在スポット1:元病院をリノベーション「ヌフ松森医院」

  ヌフ松森医院

元病院を再生した「ヌフ松森医院」。レンタサイクル(アシスト付き)の用意もあり、里山をぐるりと巡ることもできる

後半は滞在できるスポットを紹介。里山暮らしを体験したい人におすすめの施設が、「ヌフ松森医院」(神戸市北区)です。

名前のとおり、病院をリノベしているのですが、いわれなければ気づかないと思います。1階には駄菓子屋とカフェとコッペパン屋があり、昭和レトロな懐かしい雰囲気。ワンちゃん連れOKで、ドライブやツーリングの途中で立ち寄る人が多いそうです。
ヌフ松森医院

建物の2階はコワーキングスペースやお試し住居として利用できる

2階には里山暮らしに興味関心がある人が、神戸市初の「お試し住居」として利用できる部屋が用意されており、リーズナブルに利用できます(2泊3日5000円、以後1日1000円、最大30日まで)。週末を中心に利用が多く、移住希望のファミリーも多いとのこと。実際にしばらく滞在してみることで、よりリアルな暮らしをイメージできそうです。
 

滞在スポット2:お試し移住ができる古民家「一十土」

お試し移住ができる「一十土」。レンタルスペースやコワーキングスペースとしても開放

お試し移住ができる「一十土」。レンタルスペースやコワーキングスペースとしても開放

もう一つ、お試し移住と農村体験ができる隠れ家風の施設が「一十土(いっとうち)」(神戸市北区)です。民泊の施設として開放しており、畑の体験ができる農泊も提案しています。2022年9月から予約を開始したところ、週末はほぼ満室。一棟貸しなので6~7人で利用するケースが多いそうです

「一十土」を運営する吉田さんご夫婦

「一十土」を運営する吉田さんご夫婦

オーナーで移住者の吉田さん夫婦は、田舎暮らしに興味があり、地域おこし協力隊としてこの地にやってきました。「テラスから見える景色が好きです。民家がまったく見えないでしょう。東京にいたときよりコンビニは遠くなりましたが、ネットでなんでも買える時代。気軽に飲みにも行けなくなりましたが、そのぶん家庭農園やサイクリングやトレランといった好きなアウトドアを楽しむ時間が増えました」と吉田彰さん。

三宮まで30分、伊丹空港まで30分、新幹線の新神戸駅まで30分というアクセスのよさも気に入っているそうです。
古民家「一十土」

部屋からの眺めも癒し。都会とは違う違う時間の流れを感じる

 

滞在スポット3:森の中のシェアオフィス「ROKKONOMAD」

森の中の泊まれるシェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」

森の中の泊まれるシェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」

気軽なワーケーションにおすすめなのが、六甲山の森の中に2021年3月にオープンした「ROKKONOMAD(ロコノマド)」(神戸市灘区)です。三宮から車で40分、公共交通機関なら六甲ケーブルの六甲山上駅から徒歩12分で、この非日常感! 海と山をつなぐような立地です。
ロコノマドから見える景色

神戸の街が眼下に広がる

清々しい森の中で絶景を見ながら仕事をすれば、いつもとは違う脳が刺激されてクリエイティビティを発揮できそう。泊まれる施設もあるので、ワーケーションも楽しめます。BBQもできるコテージタイプの客室もあり、仕事とは関係なくレジャーで予約する人もいます。
ロコノマド。ワーケーションにもおすすめ

宿泊もできるのでワーケーションにもおすすめ

「六甲山が働く場所として認知される足掛かりのような場所になれたら……」との思いで作られたこのスポット。すでに利用をきっかけに近隣エリアに引っ越した人もいるとか!
 

番外編:人気の有馬温泉も実は神戸市内

有馬温泉

そぞろ歩きが楽しい有馬温泉

最後はちょっと足を伸ばして有馬温泉へ。日本三古湯に数えられる「有馬温泉」も住所としては神戸市内です。名湯に気軽にアクセスできるのも神戸の魅力といえるでしょう。
有馬温泉最古の宿「陶泉 御所坊」の温泉(金泉)

有馬温泉最古の宿「陶泉 御所坊」の温泉(金泉)

有馬温泉には寺や神社も多いので、「リラックス効果に加えて、心理的にリセットする効果もあると思います」と有馬温泉最古の宿「陶泉 御所坊」の若女将・金井ラミアさんは話します。
有馬温泉「芸妓カフェ一糸」

お茶と和菓子などを楽しみながら踊りを鑑賞、和楽器体験もできる「芸妓カフェ一糸」

ユニークなお店もいろいろ。たとえば、芸妓の踊りやお座敷遊びを気軽に体験できるカフェ「芸妓カフェ一糸(いと)」があったり。
日本一のジェラートを味わえる「アリマジェラテリア スタジオーネ」

日本一のジェラートを味わえる「アリマジェラテリア スタジオーネ」

“ジェラートワールドツアージャパン2019横浜”で優勝した日本一のジェラートが味わえる「アリマジェラテリア スタジオーネ」があったりと、そぞろ歩きが楽しい温泉街です。

港町のイメージが強い神戸ですが、実はかなり表情豊か。旅するにも暮らすにもいい神戸の里山で、のんびり癒しの時間を過ごしてみませんか。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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