知人に紹介されて会ったというが、実際、その後も会う関係だったのかどうかはわからない。ただ、彼女によれば頻繁に電話をかけてきたりLINEで卑猥なメッセージを送ってきたりしたそうだ。 彼に限ったことではなく、「ちょっと会っただけ」の男性が、あたかもつきあっている恋人かのようなメッセージを送って寄越すことは少なくないと女性たちは言う。
単なる「仕事」の関係なのに
「仕事で会った他社の人と、必要だからとLINE交換をしたことがあります。最初は仕事上の事務的なやりとりでした。あるとき、たまたま私が何人かとの打ち合わせに時間ギリギリで飛び込んだことがあった。彼があとから『いつもは早く来るタイプだから心配してた』とLINEをくれたので、つい『このところ忙しすぎて……』と軽く愚痴ったら、その後のメッセージの雰囲気が変わったんです」そう言うのはタカエさん(36歳)だ。彼からは「かわいそう。僕がマッサージしてあげたい」という返信が来た。相手は15歳も年上の既婚男性。親しみを込めた冗談だと受け取ったタカエさんは、「ありがとうございます」と送った。
「その晩、『今、何してるの?』というLINEが来たんです。ちょうど持ち帰った仕事をしていたのでそう返信すると、『仕事はやめて、外に出て空を眺めたほうがいいよ、今日は星がきれいだよ』って。そう言われて見てみたら、本当に星がきれいでした。すると『きみと一緒に星が見たい。ふたりで肩を並べて、僕がきみの肩を抱いて……』みたいな展開になっていった。はあ?って感じですよね(笑)」
タカエさんは、彼に私的な感情は一切抱いていなかったので、そのメッセージには「明日が早いので。おやすみなさい」とだけ返信した。
すると彼は「僕の隣にきみがいたら……」とエスカレート。この時点で、タカエさんは「困ったもんだ」と感じていた。
上司から「我慢しろ」と言われて
ところが彼はさらにプライベートな文言を送ってくるようになった。「きみと一緒にベッドに入ったら……みたいな話題も。ブチ切れることもできたんですが、彼はうちの会社にとっては重要な人物なんです。しかたなく上司にメッセージを見せて相談しました。上司も困り果てて、『なんとかうまくやってくれないか』と。担当を変わってほしいとも申し入れたんですが、それは先方が許可しないと。私を変えるくらいなら取引しないみたいな話になりました。じゃあ、私は病気になりますと言ったんですが、上司に泣きつかれた」
次回から上司も一緒に打ち合わせに来てくれることになった。それでもLINEはやまない。
「きみが他の男と一緒にいるのを見るだけで嫉妬がわきおこる。でもきみが僕にしか興味がないことはわかってるよ、なんていうのが来たので、もうだめだと。あげく、私と関係があるかのような書き方をしているんですよ。一度だけ仕事の帰りにお茶を飲んだことはありますが、それっきりふたりで会ったこともない。上層部が、そのLINEのすべてをプリントアウトして、相手の会社にもっていき社長に談判したそうです。もちろん彼は仕事からはずされました」
彼は「すべて冗談だった」と言い訳したそうだ。ただ、自分が非常識なことをしたのは十分わかっていたのだろう。申し訳ないことをした、公にはしないでほしいと手紙がきた。タカエさんはそれも上司に見せた。
「あとから、その時期彼は最愛の奥さんが末期がんで入院していて、LINE問題が表面化した直後に亡くなったと聞きました。彼自身、冷静な判断ができなかったんでしょうね。だからといって他人に迷惑をかけていいとは思えないけど」
彼女は彼のLINEが妙だなと思ってから1カ月で上司に相談、その後1カ月で、もう我慢できないと判断したが、無理矢理我慢を重ねる女性だったら、もっと嫌な思いをしていたことだろう。
「こういうのは早く周りに知らせて対処したほうがいい。仕事仲間としての好意を見せただけで、勘違いするような男性は仕事をする資格がないとまで私は思います」
よほどのナルシストなのか、はたまた単に女性が好きなのか。どちらにしても、「迷惑だ」と感じたら、すぐに周りに相談することが重要だ。ひとりで対処しようとがんばらないほうがいい。