人間関係

「セクハラ」や「性加害」という言葉が溢れる昨今。夫の“軽口”にイラッとする自分は神経過敏なのか

昨今、世間をにぎわせている「セクハラ」や「性加害」という言葉。コンプライアンスが重要視される時代のなかで、夫が繰り出す下ネタやダジャレにイラつくことは過剰反応なのだろうか。それとも、夫のほうに脳内のアップデートが必要なのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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昨今、世間をにぎわせている「セクハラ」や「性加害」という言葉。実際にそういった目にあっている場合には声を大にして糾弾すべきなのだろうが、女性の中には神経過敏になりすぎている人もいるようだ。
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夫の言動にイラッとする

「自分でもちょっと“セクハラ”を気にしすぎているとは思っています」

ケイコさん(40歳)は、ため息とともにそう言った。以前なら見過ごせた「夫の下ネタ」や「女性への言動」が、どうにも不快になっているというのだ。

「5歳年上の夫は軽いノリの人なんです。下ネタ大好き、ダジャレ大好きというタイプ。社内恋愛で結婚したので、今も同期と連絡をとりあっていますが、彼女たちによると夫の下ネタ好きは変わらないよう。そういう人だと認証されているし、カラッとした冗談だから大丈夫だと言われるんですが、このご時世だから気になりますね」

8歳と5歳の娘がいるが、夫が娘たちの容姿について何か言うたび、それもセクハラだと心の中でツッコんでしまう自分がいるとケイコさんは言う。

「褒めてるんですけどね。長女は目が二重じゃないことを気にしているんですが、切れ長の目がかっこいいんだよ、そういう目をしている女性はモテるんだ、と言う。次女は子どもながら手の指が長い。指の長い女は色っぽいからね、と夫。前からそういう発言は多かったような気もするんですが、今だからよけい気になるんですかねえ」

娘の友だちに関しても、容姿への言及は多い。もちろん、言うのはケイコさんにだけだ。そのあたりは夫もわかっている。

「何でもエッチな方向に結びつけることも多々あるんです。貝などを食べるときはたいてい女性器に見立てて何か言う。独身のころは私もそれでクスッと笑ったこともありましたが、娘ふたりがいる今は笑えないし、そんな夫に『やめてよ』と本気で怒ってしまう。『そんなに怒らなくても』と夫には言われます」

芸能人のセクハラ報道を見ても、夫は「よくあることじゃん。悪気はなかったんだろうに」と擁護する。それを聞くとさらにイラッとすると彼女は言う。
 

夫の脳内をアップデートしてほしい

今は何でもコンプライアンスが重要と言われてしまう時代。実際に人を傷つけない冗談と、セクハラだと指摘されることの間に、どれだけ違いがあるのかは若干、曖昧なところもある。

「だからこそ調子に乗ってよけいなことは言わないほうがいいと私は思っています。夫には『ちゃんと今どきのコンプラに脳内アップデートしてよね』と言うんですが、夫は『きみは神経質になりすぎだよ』と。上の子の担任に『○○ちゃんは笑顔がいいですね』と言われたとき、この先生、娘に変なことをしようとしているんじゃないかしらと疑念を持ってしまったのも事実。実際にはすごくいい先生だったんです。私が神経質になっているのは確かだけど、娘が被害にあわないようにと思うと、どうしても細かくなります」

それが娘を萎縮させることにつながるのではないかと夫は言う。そう言われると、夫に対してまでセクハラだと指摘するのは間違っているのかとも思う。ケイコさん自身が揺れているのだろう。

「どんなに規定を定めても、職場ではパワハラまがい、セクハラまがいはなくならない。私自身も勤めているからよくわかります。でもせめて家庭内では、下ネタやエッチな発言、容姿への言及などは避けたい。そう言っても夫はわかってくれないから、たびたび注意することになってしまうんですが」

夫は何か言うと、「あ、こういうこと言うとまたママに怒られる」とつぶやくようになった。娘たちは笑っているが、そうやって逃げを打つ夫にケイコさんはイラつく。

「なんだかあなたのことが嫌いになりそう、と先日、言ってしまいました。夫はギョッとしたような顔をしていた。どうしたらいいのと聞かれたので、意識を変えようとしない態度が嫌なの、きちんと時代に合わせて変わってよと。夫も少しは考えたようです。最近、口数が減った。イラつかなくなったけれど、私は夫の個性を潰しているのかもしれない」

生きづらい世の中である。夫が言うように、直接的な被害を受けていない限り、もう少し寛容になったほうがいいのか、声高にセクハラを訴える人たちに同調したほうがいいのか、ケイコさんも密かに悩んでいる。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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