皮膚・爪・髪の病気

蚊に刺されてかゆくても、掻いてはいけない3つの理由

【皮膚科医が解説】蚊に刺された後などの、虫刺されのかゆみ。「かゆくても掻いてはいけない」と言われるのはなぜでしょうか。それには3つの理由があります。掻くデメリットと、自宅でできるかゆさを抑える方法、皮膚科や市販薬を使っての対処法・治療法を、わかりやすく解説します。

野田 真史

執筆者:野田 真史

皮膚科医 / 皮膚の健康ガイド

虫刺されのかゆみ、掻いてはいけないのはなぜ?

かゆい虫刺されは、つい掻きむしりたくなるもの。でも掻くという対処法にはデメリットしかありません

かゆい虫刺されは、つい掻きむしりたくなるもの。でも掻くという対処法にはデメリットしかありません

蚊などの虫刺されによるかゆみ。つい掻きむしってしまい、虫刺されの跡がひどくなってしまった人はいませんか? 薬などがなかった昔は、かゆみは掻いて紛らわすしかなかったかもしれませんが、現代では薬をうまく使うことで、効果的に対処することができます。

「かゆいから掻く」という対処法には、デメリットしかありません。具体的には、
 
1. さらにかゆくなる
2. 細菌感染するリスクが上がる
3. 傷跡が残りやすくなる
 
という3つのデメリットです。1つずつ解説していきましょう。
 

かゆい虫刺されでも、掻いてはいけない3つの理由 

1. さらに炎症が悪化してかゆくなる
虫刺されを掻くと、皮膚のバリア機能が壊れ、免疫の細胞が活性化されて炎症を引き起こす物質が皮膚表面で増えます。そうするとさらにかゆみが増し、また掻き壊してしまい、さらにかゆみが増していくという悪循環に陥ります。英語では「itch-scratch cycle(かゆみと掻き壊しの悪循環)」と呼ばれています。

2. 皮膚表面がじゅくじゅくして細菌感染するリスクが上がる
皮膚表面にはもともとたくさんのブドウ球菌がいますが、皮膚のバリアが正常であれば、皮膚の中に入ってしまうことはありません。しかし、掻いて皮膚のバリア機能が壊れると、そこからブドウ球菌などの細菌が皮膚の中に入り込み、いわゆる「トビヒ」と呼ばれる皮膚の細菌感染を起こすことがあります。

3. 傷跡になり黒ずみやひきつれが残ることがある
掻いて傷になると、傷跡が盛り上がったり黒ずみが残ったりします。傷の深さによりますが、擦り傷ややけどの場合と同じ原理です。皮膚科でも、虫刺されを掻き壊してしまい、年単位で傷跡が残っている患者さんを診察することは稀ではありません。
 

虫刺されによるかゆみへの対処法・ひどいかゆみの治療法 

皮膚科では、かゆみがひどい場合は、強めのステロイドの塗り薬を処方することがスタンダードです。皮膚科を受診できるのであれば、患部を確認してもらい、処方してもらうのがベストです。虫刺されは弱めのステロイドを塗っても効果が薄いので、「強めの」ステロイドを塗ることが重要です。毛虫に刺された場合や虫刺されを放っておいて範囲が拡大している場合、飲み薬のステロイドを短期的に使うこともあります。ステロイドの飲み薬と聞くとこわいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、短期であれば大きな副作用はないので心配ありません。
 
皮膚科を受診できない場合は、ドラッグストアで市販されている「ベトネベート」などのステロイド剤が有効です。皮膚科で処方するものよりは弱めになりますが、効果は期待できます。ただし、かき壊して細菌感染しているところにステロイドを塗ると逆に悪化しますので、じゅくじゅくして細菌感染の可能性がある場合は市販品を使うのではなく皮膚科を受診しましょう。
 
これらの薬以外の方法でかゆみを和らげたい場合は、患部を冷やすことが有効です。また、お子さんであれば「ムヒパッチ」などのメントール入りのテープを使うのもよいでしょう。すっとしてかゆみが短期的に和らぐことと、パッチを貼ることで掻き壊せなくなるという効果があります。ただしこちらもかぶれるリスクがあったり、じゅくじゅくして細菌感染しているところに貼ると逆に悪化する可能性があるので、じゅくじゅくが強い場合は皮膚科を受診するのが無難です。
 
虫刺されの最大の悪化要因は掻くことです。虫に刺されたときは「掻かないことが治療の一環」と考えて、とにかく搔かないように気をつけましょう。
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