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50歳になると「もう少しで定年……。老後の生活はどうなるんだろう?」と考える方が多いのではないでしょうか。老後のライフプランを考える際には、将来、年金がいくらもらえるかがとても重要です。そこで確認したいのが、毎年誕生月になったら送られてくる「ねんきん定期便」。とくに、50歳を境にその内容は、老後生活をよりリアルに考えることができる内容になっています。今回は、ねんきん定期便で確認しておきたい項目や、活用術などをまとめます。
ねんきん定期便で確認する項目は2つ
はがき形式のねんきん定期便が届いたら、裏面の2つの項目をまず確認しましょう。 【1】「これまでの年金加入期間」をチェックまずは、年金加入期間をチェック。その理由は、65歳から年金を受給するには、60歳までに、10年(120カ月)以上の年金保険料を納めることが必要だからです。もし、これを満たしていなければ、老齢年金は1円も受け取ることができません。
【2】「老齢年金の種類と見込額(年額)」をチェック
次は、老齢年金の種類と見込額です。この項目は、50歳以上に送られる「ねんきん定期便」から掲載されるようになり、国民年金に入っていると65歳から受け取る老齢基礎年金の見込み額のほか、厚生年金に加入している人は老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金も含む)の見込額が記されています。現時点での納付状況が60歳まで続くことを想定したシミュレーションとなっているため、実際の受給額に近い数字となっています。老後のライフプランを考えるときの「軸」になる情報といえます。
老齢年金の見込額を見て、多くの人が思うこと
「ねんきん定期便」の年金見込額を見て、もしかしたら「思ったよりも少ない……」と感じた方もいるかもしれません。ご参考までに、厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和3年)で、老齢年金の受給権を持つ人の月額の平均支給額を確認してみると、国民年金の平均は5万6368円、厚生年金の平均は14万3965円(老齢基礎年金含む)となっています。
公的年金の老齢年金は、1階部分にあたる国民年金は、加入年数が同じであれば全員が基本的に同額となり、2階部分にあたる厚生年金は、現役時代の収入や加入年数に応じて異なっており、人によってばらつきがあります。
ねんきん定期便を「将来の老齢年金を増やすため」に活用する
「ねんきん定期便」の年金見込額が、意外に低いことがわかり「年金額って増やせないの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。大丈夫、将来の老齢年金を増やすことは可能です。50代の「ねんきん定期便」に記載される年金見込額は、60歳まで今のまま働き、年金を掛けることが前提になっています。そもそも、厚生年金は、60歳までではなく、最大70歳まで加入することができます。そのため、もし、定年後も今まで同様に働き、年金を掛け続けることができれば、その分、将来受け取る年金が増えます。60歳以後の年金加入情報を含めた、より細かな年金見込額を試算するには日本年金機構の「ねんきんネット」が便利です。ねんきんネットを検索して、パソコンでアクセスした後の手順は以下のとおりです。
【1】「ご利用登録」からスタート
ねんきんネットの利用に必要なものは以下の2つです。
・年金手帳に記載されている基礎年金番号
・ねんきん定期便の裏面左下に記載されている17桁の「お客様のアクセスキー」
ただし、お客様のアクセスキーの有効期限は、ねんきん定期便が届いてからの3カ月のみ。その後は、ユーザIDを別途発行してもらってからの利用になります。
なお、ねんきんネットは、スマートフォンでも利用可能です。その際は、はがき形式のねんきん定期便の裏面にあるQRコードを使いましょう。試算に必要な情報が自動入力されます。
ねんきんネットのユーザID取得が面倒だと感じたら、マイナポータルからの登録もできます。
マイナポータル
https://myna.go.jp/
マイナポータルの利用に必要なものは以下の2つです。
・マイナンバーカード
・メールアドレス
パソコンもしくはスマートフォンからマイナポータルにログインして、「年金記録・見込額を見る(ねんきんネット)」から「ねんきんネット」への連携手続きをします。
【2】「年金見込額試算」でシミュレーション
年金を受け取りながら、70歳まで働き続けた場合、どのくらい年金が増えるのか?など、人生設計にあわせ、具体的にシミュレーションできます。
たとえば、60歳~65歳まで、年収300万円で働く、年収250万円で働くというように、自分の老後の蓄え、体調などを考慮した細かな設定で見込み額が試算できます。
老後のお金に関する不安を払拭するには、自分が受け取る老齢年金を知ることから
老後のお金の不安は誰にでもあるもの。そのために自助努力が必要なことは、多くの方が理解していらっしゃるのではないでしょうか。しかし「なかなか、事情があってできない」という話も多いもの。ただ、どんな方でも公的年金には加入されています。将来のお金に不安を感じたら、まず、自分が今まで保険料を掛けてきた「公的年金」について知ることからはじめてみませんか。そして、自分が積み上げてきた年金をどうやったらもっと増やせるかを、考えてみるようにしましょう。
まとめ
はがき形式の「ねんきん定期便」が届いたら、裏面の情報をすべてチェックすることをおすすめします。【関連記事をチェック!】
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