悪名高き(!?)Go To トラベルの改変? 旅行支援キャンペーンを巡る現場のリアル
第1弾のGo To トラベル以後も続く多様なコロナ禍の観光需要喚起キャンペーンだが、“あれをやろうとすればこっちはどうする”というように、先述の通り改変に次ぐ改変で多くの混乱を招いてきた。事業に関わる者にとっては、一種、悪名高き(!?)Go To トラベルというわけで、多くの反省からさまざまな制度改変の流れになってきたといったことは記憶に新しい。今後新たなGo To トラベルの動きも勘案する必要はあるが、現場対応のリアルも引き続き注視する必要があると考えている。日々ホテルの現場取材をしている筆者は、各種キャンペーンと「対峙」する現場のリアルな声を耳にしてきたが、“対応”ではなく“対峙(じっとにらみ合って対立すること)”と書いたのも、現場レベルにおいては“Go To トラブル”と揶揄されるなど歓迎されないシーンも多々あったということだ。Go To トラベル第2弾については、陽性者の増加で延期になったこともあったが、その際も「ホッとした」というスタッフの声は意外にも多かった。
このように、盛り上げて、落とす(一転延期や中止)というような様相を呈してきた旅行支援キャンペーンだが、これまで述べたように、こうしたキャンペーンについて(経営としては)総論大歓迎、(現場レベルでは)各論……というのは実態に近かった。
「今度の全国旅行支援については、数々のキャンペーンを経てきてかなり鍛えられていますので」と自嘲気味に話すホテルスタッフもいたが、いずれにしても、疲弊してきた宿泊業界にとって待ったなしの状態が続く中、今回の延期は相当な痛手と話す経営者、マネージメント層の声が圧倒的だ。
また、いくつかのホテルへ全国旅行支援の延期によるキャンセルについて聞いてみたところ、とあるホテルの支配人は「ドッと、ということではないが徐々に増えてきており懸念している」と話し、「(今は)それでも来てもらえるような魅力的なプランを打ち出していくしかない」と苦渋の表情で語った。
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