いつまでも恋人のような夫婦関係は不可能なの?
結婚しても「恋人同士のような関係でいたい」は理想なの?
果たして、結婚しても恋人同士のような関係を維持することは、本当に不可能なのでしょうか? 筆者自身の経験とリサーチの蓄積から考察してみました。
恋愛と結婚はイコールではないが、別物でもない
筆者自身が複数回の結婚生活(現在は3人目の夫と継続中)を経験した中で、一番悩んで悟りの境地に達したことは「恋愛と結婚はイコールではない」という事実、そして「恋愛感情なしに結婚生活を持続するのは難しい」ことでした。相反する意味のように思えるかもしれませんが、その2つが同時に成立するのが結婚であり、両方が成り立ってこそ結婚生活がうまくいくともいえます。
先に「恋愛感情なしに結婚生活を持続するのは難しい」について。たとえお見合い結婚であろうと、女性は夫となった男性に対し、恋愛に近い「特別」な思いを抱きます。だからこそ夫婦の営みも受け入れられるし、家庭を築く生活を続けていけるのです。
次に「恋愛と結婚はイコールではない」について。どれほど情熱的に愛し合って結婚しても、10年も経てば夫への「ときめき」を感じる心はほぼなくなります。
そもそも「ときめき」は新鮮味とワンセット。一緒に暮らす時間に比例して安心感は増していきますが、新鮮味は反比例して薄まっていくものです。夫が意外な一面を見せたとしても、感心こそするものの、心拍数はアップしません。
それでも夫婦で居続ける──それが結婚であり、恋愛とは別のベクトルで結びついているのです。
恋愛にときめきを求めるならば、結婚しないほうがいい
ひと口に恋愛といっても、それぞれの人が思い描く恋愛の形はいろいろ。ときめきこそが恋愛という人もいれば、穏やかに寄り添う恋愛を好む人もいます。恋人同士の付き合い方についても、毎日連絡を取ることが基本という人から、月に一度会えればいいという淡泊な人まで、距離感は人によってさまざま。あるいは時間的・物理的な制約によって、頻繁に会えたり滅多に会えなかったりするケースもあります。人の数だけ多様化する恋愛観のうち「ときめく感情そのもの」を恋愛の定義とする人については、恋愛の先に結婚を望まないほうがいいと筆者は考えます。
諸先輩方が言う通り、結婚生活でときめき続けることは、ほぼ不可能です。最初の半年くらいは、一緒に生活してみなければ分からなかった相手の一面など、新鮮なことばかり続くかもしれませんが、それも慣れてしまえば他愛もないこと。あとは環境の変化(転居・転職など)や家族構成の変化(妊娠出産など)や状態の変化(浮気や不倫など)でも起こらない限り、ときめくほど心拍数をアップさせるのは難しいと思います。
実際、夫婦生活がうまくいっているのに浮気を繰り返すような人は、おそらく「ときめきこそ恋愛」なタイプなのでしょう。いけないことと知りつつ、結婚生活で欠乏したときめきをアウトソーシングに求めてしまうのは、もはや性癖。結婚というシステムには属しないほうがいいタイプです。
「安心できる相手」との恋愛は、限りなく結婚に近い
恋人との交際期間に応じて得られる信頼や安心感によって、絆が生まれます。ときめきが薄れた先に芽生えるそれらの感情は、恋愛の中でも家族愛に近いものといえるでしょう。安心感の裏でもう1つ芽生えるのは、マンネリという状態です。それらを「2人の関係が成熟した」とみなすか「ときめきを失った」と嘆くかは、人それぞれ。前者ならばこの先「結婚」という新たな関係へとシフトする未来もイメージできますが、後者ならば次に訪れるのは別離という顛末(てんまつ)でしょう。
結婚は、日常そのものです。あなたにとっての恋愛(恋人同士の交際)がエキサイティングな非日常であれば結婚は退屈なものでしかないし、逆に日常生活の延長に恋人との時間が盛り込まれているのであれば、おのずと結婚しても変わらず穏やかな生活ができるでしょう。
筆者は、他人の助言を受け入れず「恋愛と結婚がイコールにできる未来」の可能性を信じ続けたせいで、無駄に悩みを大きくし、紆余曲折する羽目になりました。あげくたどり着いたのは、穏やかな恋愛の「好き」を保ちつつ、結婚という日常を楽しむ生活でした。大人になったことで、恋愛に刺激より安心感を求めるようになったことも功を奏したのでしょう。
毎日ドキドキしているような結婚生活は疲れます(笑)。ときめきのベクトルは「推し」で満たし、穏やかに愛する人と豊かな生活を送ることが「現実味のある理想」といえるのではないでしょうか。
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