Q:61歳から年金を受け取ることは可能ですか?
「65歳から支給される年金を、61歳から受け取ることは可能ですか?」(Tさん)61歳から年金を受給できますか?
A:年金を繰り上げすれば、61歳から年金を受け取ることができます
老齢基礎年金(国民年金)も老齢厚生年金(厚生年金)も本来は65歳に受け取り開始ですが、60歳~64歳11カ月までの間、繰り上げて受け取ることもできます。ただし、1カ月早く受け取るごとに0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの人は0.5%)減額されます。仮に、相談者が60歳までの加入実績で、65歳以降、老齢基礎年金79万5000円(令和5年度)、老齢厚生年金108万円、合計187万5000円受給できるとし、下記の2つのケースで繰り上げ請求した場合を計算してみます。
<ケース1>
相談者が昭和37年4月2日生まれで、61歳3カ月(令和5年7月15日時点)で繰り上げ請求した場合
このケースは、65歳で請求するよりも45カ月早く請求することになります。また、この場合は、1カ月当たり0.4%の減額率が適用され、計算式は以下のようになります。
187万5000円×(100%-減額率0.4%×45カ月)=187万5000円×(100%-18%)
=187万5000円×82%=153万7500円
したがって、ケース1の場合は年額153万7500円が支給されます。
<ケース2>
相談者が昭和37年3月2日生まれで、61歳4カ月(令和5年7月15日時点)で繰り上げ請求した場合
このケースは、65歳で請求するよりも44カ月早く請求することになります。また、この場合は、1カ月当たり0.5%の減額率が適用され、計算式は以下のようになります。
187万5000円×(100%-減額率0.5%×44カ月)=187万5000円×(100%-22%)
=187万5000円×78%=146万2500円
したがって、ケース2の場合は年額146万2500円が支給されます。
*注、物価、賃金、経済マクロスライド等で調整されるので金額の増減が若干あります。
年金の繰り上げの注意点としては、以下のようなデメリットがあることです。
・老齢年金の繰り上げ請求は、老齢基礎年金・老齢厚生年金を同時にしなければならず、一生減額されます。
・65歳までの間、会社員(厚生年金加入者)として在職する場合、繰り上げた老齢厚生年金は、在職老齢年金制度によって一部または全部、支給停止になることもあります。
・ハローワークで失業給付(基本手当)を受ける場合、老齢厚生年金は支給停止となり、併給はできません。
・老齢基礎年金、老齢厚生年金を繰り上げ受給した場合、65歳までの間に、万が一事故に遭って大けがをしたり、持病が悪化したりすることで、障害を抱えても、障害基礎年金、障害厚生年金は請求できません。
・65歳までの間、国民年金保険料を任意で支払って、65歳以後の老齢基礎年金を増やすこともできません。
よく検討してから繰り上げ受給は行いましょう。
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