亀山早苗の恋愛コラム

夫に自分のスケジュールを教えない妻は変ですか?自分の頑なさに反省した、娘からのひと言

夫婦間、もしくは家族間で互いのスケジュールを共有するか否か。先日あるバラエティ番組で芸人の陣内智則さんが妻に「まったく教えていない」と話して話題になったが、こうした例はめずらしい話ではないようだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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先日、バラエティ番組で、お笑い芸人の陣内智則さんが妻に自分のスケジュールを「まったく教えていない」と話し、話題になった。夫婦は互いのスケジュールを把握しあう必要があるのか、また、帰宅時間をきちんと言わないといけないのか。
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当事者の性格や過去にも関係があるのだろうが、どうしても夫にスケジュールを知らせたくないという妻もいるようだ。
 

かつては伝えていたけれど……

結婚以来、共働きで子どもを育ててきたミユキさん(45歳)。14歳の長男と11歳の長女は、今や親より料理上手になっている。

「ふたりとも小さいときから料理に興味をもっていたんですよ。私が適当なものばかり作っていたからか(笑)、子どもがレシピ通りに作ったもののほうがおいしいです」

子どもたちが小さいころは、夫とその日のスケジュールをすりあわせ、どちらが保育園に迎えに行くかを決めていた。

「下の子が小学校に上がったころ、夫の会社が完全フレックス制になったんです。そこで夫が家庭にかかわる比重が増えた。夕方早めに帰ってきてくれるので、私は思い切り残業ができるようになりました」

そもそも、仕事への考え方も違うとミユキさんは言う。彼女は「仕事が大好きだし、仕事で自分を生かしたいと思う」タイプ。夫は「仕事より家庭生活を重視したい。趣味も含めてプライベートが大事」と考えている。

「だから夫は早く仕事をあがって家に帰り、子どもと一緒に過ごすのが大好きなんです。そうなってから私は帰宅時間を夫に告げたこともないし、日々のスケジュールも言わなくなりました。そういえばつきあっているころから、『明日は何してる?』と聞かれるのが嫌いだったんですよ。なんか監視されているような気がして。子どもが生まれてからはやむを得ず伝えていましたが、夫とはいえ他人にスケジュールを言わなければいけないのが嫌でしたね」

とはいえ、彼女が家庭を蔑ろにしてきたわけではない。残業が続けば、今日は早く帰って子どもたちと過ごそうと、自分ではバランスを心がけてきたつもりだ。ただ、毎日、何時に帰るとか今日のスケジュールはこうだとかいうことを家族にも言いたくなかっただけ。

夫や子どもたちがそれについて文句を言うことはなかった。
 

母親の予定を知りたい子どもたち

だがコロナ禍に入って、少し様子が変わった。夫は基本的にリモートワークになり、一時期は月に1回ほどしか出社しなかった。今も週2、3日程度の出社となっている。

ミユキさんは、業種の関係上、それまでと変わらず出社していた。残業もむしろ増えてしまったという。

「私は変わりなく淡々と仕事をしていたんですが、あるとき娘が『いちばん外に出ているママが、いちばんコロナにかかりやすいよね。ちゃんと対策してね』と言い出して。だいたい、ママは会社にずっといる仕事じゃないでしょ、どこで何をしているかわからないから危ないよね、と。そんなふうに子どもに思わせていたんだとショックを受けました。確かに外回りも、人との接触も多い仕事なので、心配させてしまったと反省したんです」

夫に「私が1日、何をしているか気になる?」と聞いてみると、「オレは気にならないけど、子どもたちは心配してるよ。何時に帰ってくるのかも本当は気になっていると思う」と言われた。もちろん、特別遅くなるときは連絡しているが、普段は細かく伝えてはいない。子どもたちが成長したからこそ、母親の帰宅時間を知りたいと思うのかもしれないと夫はつぶやいた。

「自分が頑なだったのかと思ったんです。そこでホワイトボードを買ってきて、そこに帰宅予定時間を書くようにしました。あくまで“予定”として。会社にあるホワイトボードのノリだと書けるんですよね。どこまでも仕事に毒されているのかもしれませんが(笑)」

それ以来、ホワイトボードは伝言板のようになり、ミユキさんの帰宅が深夜になるとわかると、子どもたちがそこに一言書き入れてくれることが増えた。

「ママ、お疲れさま、なんて書いてあると帰宅してほろっとしたり。手書きがまた、いいんですよね。そうなると私も気持ちがほぐれて、朝、出がけに『今日は早く帰れるから、○○のケーキを買ってくるね』と書いておいたり。このボードを通して、日頃の会話だけでは見えない子どもの心が少し見えるような気がしています」

情報公開は重要なのかもしれないとミユキさんは感じている。もしかしたら、自分は家族にさえどこか心を閉ざしていたのかもしれない。

「どこかで、仕事は自分だけのもの、だからそこに関わることを知らせたくないと思っていたのかなと思います。仕事に没頭していることに負い目を感じていたところもあって。でも家族は仕事人間の私を受け入れてくれている。だったら、もう少し情報開示してもいいんだと思えたんです」

いろいろな考え方があるが、ミユキさんの場合は、改めて自分の気持ちに気づいたのだろう。そこには「家庭をもつ女性が仕事に没頭することのむずかしさ」もある。仕事をすることへの「負い目」をどうやって払拭していくのか。ミユキさんだけの問題ではないはずだ。
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