便器と床のスキマ汚れはトイレの臭いの原因に
リフォームの専門家である筆者がトイレの解体時によく見るのが、便器を外した後の床の汚れ。こちらはリフォーム前のトイレの様子なのですが、便器を外した後の床には、便器の跡がくっきりと残り、そこからお馴染みの“トイレの臭い”がしていました。こちらのお住まいでは、男性が立って小便をするせいか特に汚れがひどく、手前側には尿石も見られました。尿石とは小便の成分が固まったもので、トイレの臭いの原因になります。
また座って小便をしていても、尿が先端の縁から便器を伝わって床に垂れることがあり、それが便器と床のスキマに入り込んでしまうことも。
トイレ掃除の際には、このスキマにお掃除用シートを差し込んでいる方も多いと思いますが、トイレは狭いので屈むのもひと苦労。また奥までキレイにするのは難しく、どうしても汚れと臭いが残ってしまいます。
床から浮いている便器ならスキマ無し、立ったまま掃除ができる
フロアモップで立ったまま掃除ができる、床から浮いている便器。掃除が格段に楽になる(フロート トイレ / LIXIL)
浮いている便器は、メンテナンスがしやすいため、これまで主に公共のトイレで使われてきましたが、もっと掃除を楽にしたい!という要望に応え、家庭用トイレにも登場しています。
これなら悪臭の原因となっていた汚れがたまるスキマはなく、床を掃除する際も、立ったまま楽な姿勢で、お掃除モップなどでさっとキレイにできます。
床面が見えると、トイレの個室もスッキリ広く見える
足もとがスッキリするとトイレが広く感じられるように。丸みを帯びたデザインがとてもキュート。背面には間接照明(フロート トイレ / LIXIL)
またタンクや配管、コード類を背面のキャビネット内に隠すことができるので、余計なものが見えず、すっきりとした印象になります。
何キロまで耐えられる? 設置の注意点も
独自のフレーム構造で浮かせるフロート トイレ。フレームはキャビネット内に納められ、そこにタンクを設置します(フロート トイレ / LIXIL)
浮いているトイレは、便器を支えるフレームを背面パネルの中に設置する構造です。床と壁で荷重を分散させるように設計されていて、強度実験で、先端近くに220kgの荷重を10分間加えた時でも便器が破損しないことを確認しています。
注意したいのが、背面のキャビネット内に架台やタンク、コード類を隠す仕組みなので、上の写真の場合は、便器+キャビネットで87cmの寸法が必要になること。
トイレスペースは、便器寸法+40cmが最小寸法となり、できれば余裕をもって+55cmは欲しいところ。そうなると、トイレの奥行き寸法は142cm以上あるといいでしょう。
また荷重を支えるためには、壁と床の強度が必要です。取り付けリフォームができるかどうかは、工事店と相談しながら進めましょう。
日本のお家芸ともいえる、便利で快適なトイレ設備。上手に取り入れて毎日をさらに便利に快適にお過ごしくださいね。
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