年金・老後のお金クリニック/雇用保険(失業給付、高年齢再就職給付金、高年齢雇用継続給付など)についてのQA

厚生年金の長期特例が適用される場合、年金と失業給付を同時にもらうにはどうしたらいいのですか?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、長期特例の特別支給の老齢厚生年金をもらえる人からの質問です。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、長期特例の特別支給の老齢厚生年金をもらえる人からの質問です。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:厚生年金の長期特例が適用される場合、失業給付も同時にもらいたいのですが、どうしたらいいのですか?

「1960年(昭和35年)5月生まれの男性です。今後も厚生年金保険料を払い続け、長期加入者44年特例の権利を得る予定です。その後は64歳11カ月で退職し、65歳で年金と雇用保険の基本手当(失業給付)を受給したいと考えています。65歳で両方を受給するためには、どうしたらいいのでしょうか? それから、64歳からもらえる『長期特例の特別支給の老齢厚生年金』は、64歳で受給することができるのでしょうか?」(再雇用社員)
 
長期加入者の特例の年金と、基本手当(失業給付)を同時にもらいたいが……

長期加入者の特例の年金と、基本手当(失業給付)を同時にもらいたいが……

 

A:65歳からは年金と基本手当(失業給付)は同時に受給できます。ただし、65歳前に支給される「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」は、基本手当(失業給付)とは併給できず、どちらかしかもらえません

まず「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」は、60代前半でもらえる「特別支給の老齢厚生年金」の一種。そもそも「特別支給の老齢厚生年金」は男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前生まれの人のみが受けられる特例です。「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」は厚生年金加入期間が44年(528カ月)以上ある人が、退職後、65歳までの間、報酬比例部分に加えて、定額部分や加給年金を受給できる制度です。ただし、「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」と基本手当(失業給付)は併給できません。

相談者は昭和35年5月生まれで、「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」は64歳から支給されます。64歳から退職するまでは、在職中なので(定額部分が支給されるため)長期特例の扱いにはならず、年収と調整された在職老齢年金(報酬比例部分)のみの受給となります。その後、相談者が64歳11カ月で退職してハローワークに行った場合、基本手当(失業給付)の支給制限期間がなければ、数日の待期期間ののち、振り込みは翌月になるものの、当月分として基本手当(失業給付)が支給されます。ただし、基本手当と併給できないという決まりから、「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」は受給できないこととなります。一連の手続き(ハローワークに行き、求職の申し込み、離職票の提出、失業の認定を受ける)をすると基本手当(失業給付)が優先的に支給されます。なお、ハローワークで、基本手当(失業給付)の金額を確認、再就職先を探す等の利用のみであれば、年金の支給が止まることはありません。

ただし、自己都合退職等で、基本手当(失業給付)に数カ月の支給制限の期間がある場合は、64歳11カ月で退職しハローワークで手続きした翌月(65歳に到達する月)は、基本手当が支給されないため、併給したことにはならず「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」が1カ月分は支給されるでしょう。また「長期特例の特別支給の老齢厚生年金」が口座に振り込まれるのは、基本手当の受給が終わった3カ月後になるので注意してください。

なお、65歳からは老齢厚生年金・老齢基礎年金と基本手当(失業給付)は併給できます。年金請求は64歳11カ月で行っても65歳以降の年金受給には問題ありません。
 
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