亀山早苗の恋愛コラム

妻の怒りがさっぱりわからない夫の心理、「怒ってる?」と聞かれてさらにムカつく妻の心理

「どうして妻がいつも怒っているのかわからない」とこぼす夫は多い。妻にしてみれば「無神経に人を傷つけるような言葉」を言うのが許せないのだが……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫の無神経さに腹を立てている妻は多いが、その原因を夫が察することはまずないといっていいだろう。夫側からは「どうして妻がいつも怒っているのかわからない」という声が聞こえてくる。
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無神経な言葉。なのに「どうして怒ってるの」って……

「うちの夫は本当に無神経。『なんか、うちっていつも汚れてるよね』と言うけど、10歳を頭に3人の子がいて、私はパートで働きながら家事育児をすべてやっている。夫は朝のゴミ出しだけ。先日、『そんなに言うなら自分で掃除してよ』と言ったら、どうしてオレが掃除しないといけないのと不思議そうな顔をしていたので本当に腹が立ちました」

ヒサエさん(40歳)は苦笑しながらそう言った。夫には「家族の一員」である自覚がないのではないかと彼女は続けた。

「私は仕事から帰ると、座る暇もなく夕飯の支度をして、子どもたちの話を聞いたり宿題を見たり。いちばん下は3歳なので世話も必要です。子どもたちが寝てほっとしたころに夫が帰宅、おかずを温め直したりして今度は夫の世話。自分でできることはしてほしいと思うけど、『帰ってきてひとりでご飯を食べるのは虚しい。何のために働いているんだと思う』と言うので私が給仕したり愚痴を聞いたりするわけです」

それでいて、家が汚れていると言われたり、子どもの成績がいまひとつなのを「おまえのせい」と言われたりするのは釈然としない。だからつい無口になる。そうすると夫は「妻はいつも怒っている」と感じるのだ。

「夫の言うことに逆らうと話が長くなってめんどう。眠る時間を確保したいので、私はあまり言葉を発しないようにしています。そのほうがぶつからないから。夫には私がいつも不機嫌だとうつるかもしれませんが、夫と話さないほうが精神衛生上もいいんですよね」

週末には長男が一緒にスーパーに行ってくれる。10歳にもなるとけっこう力持ちだ。アイスひとつで立派に荷物持ちの役目を果たしてくれるし、メニューの相談にも乗ってくれる。その上、文句は言わない。夫より長男のほうがずっと役に立つ。
 

「怒ってる?」と言われることに腹が立つ

「夫は人を尊重することを知らない。先日も、しみじみと私の顔を見ながら、『結婚したころはこんなふうになるとは思わなかったよ』って。年をとったと言いたいんでしょう。それはこっちだって同じよと言ったら、『オレは着実に社内で役職もついて人間として成長してる。おまえは年を食っただけ』って。あなたが家庭のために何をした、と言ってやりたかった。家事も育児もワンオペで、子どもが熱を出したときだって私ひとりで病院に運んで……。そもそも役職がつくくらい仕事ができたのも、私が家事育児をしていたからでしょう」

リエさん(43歳)はそう言って憤る。とはいえ、リエさんもまた、そういうことを夫には直接言わない。なぜならやはり「めんどうだから」だ。今さら夫と口論しても物事は進展しない。

日々、関係を改善していこうとするのはお互いの気持ちが何よりも重要だが、その状況にないというのがリエさんの言い分。

「夫は自分が上に立っていると思っていれば満足なわけです。わざわざ関係を対等にするために議論をしかけるのは、私にとって時間と気持ちを削られるだけ。だから夫が文句を言っても黙っています。返事もしない。すると夫は少しうろたえて『怒ってる?』って。だから別に、と言って黙々と家事を続ける。感情を乱さないようにすることに慣れました」

怒らせているのは誰なのか。本来はそこから考えないといけないのだが、そのためには根本的に関係を見つめ直さなければならない。日々、やることが多すぎて、そこまで手が回らないのが実情なのだろう。

「怒ってる?」と聞く夫に、「妻が怒っているならきちんと向き合おう」という意図はないとリエさんは言う。

「場つなぎのための『怒ってる?』発言なんですよ。そうすれば私が普通に話すと思ってる。だから言ってるだけ。私が怒ったってメリットはないよと言いたいのかもしれない。ちゃんと関係を考え直そうと歩み寄ってくれるなら、こっちもきちんと考えますが、そういう雰囲気じゃありませんから」

「怒ってる?」と聞くことで、自分は心をオープンにしているのに冷たいのは妻のほうだと訴えている可能性もある。そもそも「怒ってる?」と聞かれても答えようがないだろう、子どもじゃあるまいしとリエさんは苦笑いした。

「夫婦としての関係が危ういなと思うことはあります。言いたいことも言えないのは、何か言うと争いになってしまうから。そこで夫は権威を振りかざし、私は黙る。子どもたちが巣立ったときが今から心配ですが、こうやって日々は流れていってしまうんだなと実感もしている。今すぐどうこうできる話ではないんですよね」

ただ、黙って流れていくだけではいけないとも感じているという。近い将来のいつか、腹を据えて「夫と闘う」ことを視野に入れているそうだ。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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