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「楽天モバイル」で後悔をしないために、知っておきたい5つのこと

自身でネットワークを整備する携帯電話会社ながら、1GBまでなら月額0円、自社エリア内ならどれだけ使っても月額3278円という驚異的な低価格で注目されている楽天モバイル。ですが利用する上ではいくつか注意が必要なポイントもあります。契約後に後悔しないためにも、楽天モバイルを契約する上での注意点について説明しましょう。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

2019年より携帯電話会社としてのサービスを開始した楽天モバイル。現在提供している料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」は段階制の仕組みを採用し、月当たりの通信量が1GBまでなら0円で、楽天モバイル回線のエリア内であればどれだけ使っても月額3278円という低価格。専用の「Rakuten Link」というアプリを使えば国内通話も無料と、従来の常識を覆す料金プランで注目を集めています。
楽天モバイルは1GB以下なら月額0円、どれだけ使っても月額3278円という料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」が注目を集めている

楽天モバイルは1GB以下なら月額0円、どれだけ使っても月額3278円という料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」が注目を集めている

しかも楽天モバイルは、2022年2月に4Gにおける自社回線エリアの人口カバー率96%を達成したことを発表するなど、課題とされてきたエリアも改善が進みつつあります。そうしたことから契約数も、2022年2月には550万(以前MVNOとして提供していたサービスの契約者も含む)と短期間のうちに大きく伸びているようです。

最近ではテレビCMなどで積極的なプロモーションも実施しており知名度も高まっていることから、楽天モバイルが気になる、あるいは乗り換えを検討しているという人も増えていることでしょう。

ですが楽天モバイルは本格的にサービスを開始してまだ間もないこと、そしてサービス内容にやや特殊な部分もあることなどから、契約する前に注意すべき点がいくつかあることを覚えておく必要があります。
 

1. 通信量制約のある楽天モバイル回線外エリアはまだ多い

最も注意が必要なのはエリアです。楽天モバイルは人口カバー率96%を達成したとはいえ、既に4Gで99.9%を超える人口カバー率を達成している大手3社と比べればまだエリアが狭いのです。
楽天モバイルの2021年度通期決算資料より。4Gのエリアは2022年2月に人口カバー率96%を達成したが、99.9%超を達成している大手3社と比べるとまだ狭い

楽天モバイルの2021年度通期決算資料より。4Gのエリアは2022年2月に人口カバー率96%を達成したが、99.9%超を達成している大手3社と比べるとまだ狭い

たった4%程度の違いと思われるかもしれませんが、とりわけ地方においては、例えば山道やゴルフ場など、周辺に人はあまり住んでいないけれど何らかの形で日常的に利用されている場所も少なからずあり、そうした場所で楽天モバイルの回線がフルに利用できなければ不便が生じてしまうでしょう。

都市部においても、だいぶ減ってきているとはいえ地下や建物内などでまだ楽天モバイルの電波が入らないというケースは見られることから、そうした場所での利用にも注意が必要です。

現状、そうした場所の多くはKDDIの回線にローミングする形で通話や通信ができることが多いですが、Rakuten UN-LIMIT VIはローミング回線で利用した時の通信量上限は5GBと使い放題にはならず、それ以降は通信速度が最大1Mbpsに低下してしまいます。楽天モバイルはエリア拡大とともに地方での販売も強化しているだけに、エリアの違いにはまだ注意しておく必要があるでしょう。
 

2. 5Gのエリアは当分狭い

ここ最近携帯各社は5Gのエリア拡大に力を入れており、KDDIとソフトバンクは2022年の春以降人口カバー率90%を、5Gらしい高速大容量にこだわるNTTドコモも2022年3月末までに人口カバー率55%を達成予定です。

一方で、楽天モバイルはまだ4Gのエリア整備に注力していることもあって、5Gのエリア整備は他の3社と比べ遅れています。エリアマップを見ると5Gのエリアも徐々に広まっているようですが、他の3社と比べるとそのスピードは遅く、当面5Gのエリアは狭いことを覚えておくべきでしょう。
楽天モバイルのサービスエリアマップ(2022年3月4日時点、楽天モバイルのWebサイトより)。東京都心部でも5Gのエリア(黄色と青の点)はまだ狭いことが分かる

楽天モバイルのサービスエリアマップ(2022年3月4日時点、楽天モバイルのWebサイトより)。東京都心部でも5Gのエリア(黄色と青の点)はまだ狭いことが分かる

 

3. 長期間利用しない場合や2回線目以降の契約に注意

「1GB以下であれば月額0円」というのがRakuten UN-LIMIT VIの大きな特徴のひとつとなっていますが、この料金が適用されるのは1人当たり1回線までとなります。2回線目以降は0~3GBまでで月額1078円と、必ず月額料金がかかってしまい無料で維持することはできません。

また1回線目についても、一定期間利用しない場合は回線の利用停止、あるいは解約されてしまう場合があります。契約したまま回線を使わず放置していたら、解約されてしまった……ということも起こり得るので注意してください。
 

4. iPhoneでは「Rakuten Link」での無料通話・SMSに制約がある

楽天モバイルは「Rakuten Link」というアプリを使うことで、国内向けの通話発信やSMSの送信を無料でできる(一部を除く)ことも特徴のひとつとなっているのですが、iPhoneでRakuten Linkを利用する場合、大きな制約があるのです。

詳しくは「iPhoneで楽天モバイルを使う人は要注意、iOS版「Rakuten Link」仕様変更への対処法」をご覧いただきたいのですが、1つはiOSでの通話着信はRakuten Linkを通さず、OS標準の電話アプリのみで着信する仕様だということ。着信通知や履歴からそのまま折り返し発信してしまうと、iOS標準の通話アプリで発信するため通常の料金(30秒22円)がかかってしまいます。

もう1つは、SMSです。現状iOS版のRakuten Linkでは、同じRakuten Linkの利用者以外にSMSを送ることができなくなっています。

そうしたこともあって楽天モバイルでは現在、Rakuten Link以外のアプリで電話をかけても1回当たり10分間の通話がし放題になる、「10分(標準)通話かけ放題」というサービスを提供しています。月額1100円を追加する必要があり支払額が上がってしまうのが難点ですが、うっかり折り返し発信してしまうことが多い人は契約しておくとよいかもしれません。
楽天モバイルの「10分(標準)通話かけ放題」の説明ページより。標準の通話アプリを使っても1回10分間の通話がし放題になるサービスで、主としてRakuten Linkが利用しづらいiPhoneユーザーに向けたものといえる

楽天モバイルの「10分(標準)通話かけ放題」の説明ページより。標準の通話アプリを使っても1回10分間の通話がし放題になるサービスで、主としてRakuten Linkが利用しづらいiPhoneユーザーに向けたものといえる

 

5. 無料で店舗でのサポートを受けるのは難しい

楽天モバイル独自の店舗「楽天モバイルショップ」は2022年3月8日に1000店舗を突破するなど拡大していますが、そこで提供されているサービスは他の大手3社のショップと必ずしも同じ訳ではありません。

というのも楽天モバイルショップの店舗で無料で受け付けているのは、新規・番号ポータビリティによる乗り換えの申し込みや、契約内容の変更や解約、そして名義変更手続きと、楽天モバイルオリジナルスマートフォンの故障受付(「Rakuten Hand 5G」「Rakuten BIG s」など)のみとなっています。

それ以外のサポート、例えばiPhoneなど楽天モバイル以外が提供するスマートフォンのサポートは基本的に自らメーカーに連絡する形となります。

楽天モバイルの製品やアプリなどの使い方をスタッフが対面でサポートするには月額550円の「あんしん操作サポート」を、新しいスマートフォンにデータを移行する作業をサポートするには1回当たり1100~2200円の「データ移行サポート」を利用する必要があり、いずれもお金がかかってしまいます。
楽天モバイルのWebサイトより。楽天モバイルショップで提供されているサービスは携帯大手3社と同じではなく、特にサポート関連は有料となることが多い

楽天モバイルのWebサイトより。楽天モバイルショップで提供されているサービスは携帯大手3社と同じではなく、特にサポート関連は有料となることが多い

楽天モバイルの料金が安い理由はいくつかありますが、他の大手3社と比べサポートにかけるコストを抑えていることも大きな理由であることを忘れてはなりません。従来の携帯電話会社のショップと同様、スタッフによる無料で手厚いサポートを期待しているならば他社サービスを検討した方がいいでしょう。


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