子育て

マンガを読む小学生は読書時間も長い?“夢中になる時間”がもたらすマンガのポジティブな効果5つ

小学生とマンガの付き合い方について考えます。マンガのポジティブな効果をご紹介するとともに、「マンガだけではなく本も読んでほしい」「何を読めばいいのか」など、よくある悩みに関して原因や対処法の例をご紹介します。

高橋 真生

執筆者:高橋 真生

子育て・教育ガイド

良質なマンガにはよい効果がたくさん! 小学生とマンガとの付き合い方

子どもへの悪影響が心配されがちなマンガ。強く否定される場面は減ってきているように感じますが、子どもがマンガを読むことに心理的抵抗や不安のある親の声は、折に触れてさまざまなメディアで取り上げられています。

けれどもマンガについて心配する原因が、単なる「悪いイメージ」ということはないでしょうか?
小学生とマンガの付き合い方

好きなものに夢中になる体験は、子どもにとって必ずプラスになるもの。ポジティブな効果を知ることで、親も一緒にマンガを楽しめるようになるかもしれません

たとえば、「マンガを読むと本は読まなくなる」と思う人も多いようですが、実はマンガ・雑誌を読む時間が長い児童・生徒は読書時間も長く、これらの活動は読書時間を阻害しているわけではないと考えられるという調査結果もあります(「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」(平成28年度 文部科学省委託調査)。マンガは読書のさまたげにならないということですね。

マンガであっても傑作は傑作、たとえ学習マンガでなくとも、良質なマンガにはよい効果がたくさんあります。

「何を読めばいいのか」「マンガだけしか読まない子どもにならないようにするには、どうすればいいのか」などのお悩みと合わせて、小学生とマンガの付き合い方について、考えてみましょう。
 

マンガは小学生にもおすすめできる! ポジティブな5つの効果

まずは、マンガの良い面を見ていきましょう。

1. 絵とことばでできているため、読みやすく、理解しやすい
マンガは、活字だけの本に比べて、読みやすいといわれます。それは、視覚的な情報が多い分、内容を理解しやすいから。

たとえば、小学生になじみのない国、歴史や科学などを扱った文章は、注を追わなければ理解できないことがあります。けれどもマンガなら、その国や時代の雰囲気も、特殊な道具も、一目でわかります。わからないことや知らないことを、絵が補ってくれるのです。

逆にいうと、自分で想像する力を育むという点では、活字のみの本に軍配が上がります。けれども、新しいジャンルや苦手なジャンルへの導入には、マンガは有効だといえるでしょう。

なお、絵とことばのどちらが理解しやすいかには個人差があるものです。ただ、小学生が楽しめるシンプルなストーリーであれば、活字よりもマンガの方がわかりやすいことが多いでしょう。

2. やる気が出る、興味が湧く
登場人物が自分の目標になり、やる気を引き出すというのは、他のメディアにも当てはまります。けれどもマンガの場合、読みやすく、またビジュアルが伴いますから、憧れや共感・興味の対象になりやすいのです。

小学生でも「推し」のキャラクターがいることってありますよね。

スポーツマンガを読んで、その競技に興味が湧いたり、挑戦してみたくなったりすることも、同様のポジティブな効果です。

3. 長編を読む楽しさを味わえる
数十巻、100巻に届くほどの長編マンガを読み通す充実感。我を忘れて没頭する気持ちよさ。これらは、他のメディアでは味わいにくい、マンガならではの楽しみです。

4. 海外の人とのコミュニケーションに役立つ
日本のマンガ・アニメに対する、海外からの関心は高いものです。『鬼滅の刃』『呪術廻戦』などの新しい作品から、『ドラゴンボール』『幽遊白書』など親世代も親しみのある作品まで、日本のアニメやマンガが好きという人は世界中にいますし、マンガの技術を取り入れたMANGAも描かれています。

私の小学生の息子も、英語の先生と「『呪術廻戦』は好き?」「誰が一番強いと思う?」という話題で盛り上がり、すっかり英語の時間が好きになりました。そして、固有名詞とボディランゲージで乗り切ったその体験が「英語を話せるようになりたい」というモチベーションにつながったようです。
  5. メディアの特性を考えるきっかけになる
今は、マンガ・アニメ・小説などさまざまなメディアミックスが盛んに行われています。好きな作品であれば、それぞれに興味が湧くでしょうから、各メディアの特性について考えてみるのもいいですね。
 
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“デメリット”とどう付き合うかは家庭で考えたい

小学生とマンガの付き合い方

マンガを含め、さまざまなメディアとの付き合い方について、それぞれの家庭で考え、メリット・デメリット、内容の是非を学ぶ必要があります

今は、子どもであっても、多くのメディアを利用する時代です。どんなものにも良い面・悪い面はありますから、不都合があるものをすべて避けるのは難しいものです。

マンガについても、紙媒体を禁止したところで、WEBコミック配信サイト・マンガ投稿サイト・SNSなど、インターネットでもさまざまなマンガを読むことができます。

さらに、マンガそのものではなく、マンガに掲載されている特定の情報や描写を避けたいという場合は、テレビやインターネット、ゲームなどについても対策を考える必要があります。

親が子どもの接するすべてのメディアやコンテンツをコントロールするのは、実質不可能ですから、子どもが小さなころから、それらとどう付き合っていくかを考えることが大切です。
 

こんなときどうする? マンガとの付き合い方でよくあるお悩みの対処法

私は、子どもが読んでいるマンガについて話すときには、大人も、ある程度は読んでおく必要があると考えています。

「この作者はだめ」「このコミック誌に掲載されていた単行本は買わない」など広い範囲を対象として禁止すると、子どもに不満が残り、隠れて読もうとするようになってしまうからです。大変かもしれませんが、数年のことと割り切って、数ページでも読んでから話をしてみることをおすすめします。

では、ここからは、マンガのデメリットと思われる部分に触れながら、小学生とマンガに関するお悩みについて、具体的に考えていきます。

Q. 刺激が強いマンガを読ませたくないときは?
「子どもが読みたいものを読む」というのが大前提ですが、特に小学校低学年のうちは、暴力シーンや性的な描写が多いなど、刺激があまりに強いマンガについては、ある程度選別してもいいと思います。

ただ、頭ごなしに禁止するのではなく、「こわい場面が多くて、一人で寝られなくなるのが心配だから、こっちのマンガはどう?」と代案を示したり、「こういう行動はマンガの中のものだから、まねはしないでほしい」などと、親としての考えを示したりするといいでしょう。

Q. マンガだけでなく、本も読んでほしい!
もともと読書習慣のある子どもは、マンガと出会っても、自然と本とマンガの両方を読むことが多いように思います。ただ、以下のような理由で、読むものがマンガに偏ることもありますから、注意してみてください。
  • 本を読むことが難しい
    絵本から児童書へ移行するタイミングに、マンガばかり読むようになってきたら、「文字が読めても、内容が理解できない」「文章だけで、物語の世界を想像するのが難しい」などのつまずきから、マンガを選んでいる可能性もあります。これは、読みたくても読めず、サポートを必要としている状態です。絵の多い読みもの(幼年童話など)を一緒に読んでみたり、子どもに読んでもらったりするとよいでしょう。「文字が読めるようになった」という理由で読み聞かせをやめていたら、ぜひ再開してください。
  • 読みたい本に出会えていない
    マンガで興味を持ったジャンルの本を紹介するなど、本の世界を広げてあげたいところです。図書館(図書室)で司書に相談することをすすめてもよいでしょう。
  • 疲れている
    子どもでも、疲れから本が読めない(読みたくない)ときがあります。マンガは、気軽な気分転換になりますから、様子をみてはいかがでしょうか。

Q. 小学校低学年がマンガを読むなら、何がおすすめ?
『ドラえもん』には、学年別の名作選があり、主人公ののび太が、その学年に設定されています。『ちびまる子ちゃん』なども読みやすいです。
    学習マンガでも、イラストがかわいい歴史マンガや、「科学漫画サバイバル」シリーズなどコメディタッチのものは喜ばれます。
  また、いろいろなマンガに出会えるという意味では、コミック誌もおすすめです。『コロコロ』『最強ジャンプ』『ちゃお』などは、小学校低学年にも人気です。どんな内容か心配な場合は、大人が先に見ておきましょう。

Q. 「歴史もののマンガ= 史実」と思い込んでしまうのが不安
確かに、子どもは、すべてが事実だと思い込んでしまうことがあります。気になったときには、「それはマンガの中だけのことかもしれないね」と教えてあげたらよいでしょう。

ただ、個人的には、マンガの正確性にあまりこだわりはありません。用語は変わるものですし、厳密に何が「歴史上の事実」なのかは判断できませんから、マンガは、歴史に親しむきっかけになればよいと思っています。中学・高校生くらいには、作品によって全く違う歴史の解釈や人物像なども楽しめるようになります。
 

親の方がはまるかも!? 家族でマンガを楽しんで

私は、お子さんがマンガを読みたがったら、保護者の方にもぜひ読んでみてほしいと思っています。特に、マンガをあまり読んだことがなく、「なんとなく嫌だな」と感じているなら、その意外な奥深さに気付けるかもしれません。

おすすめしたいのは、子ども向けの作品ではなく、自分の好み・興味にあった作品を読むこと。今は、子育て・仕事・グルメ・文化・ファンタジーなどなど幅広いジャンルのマンガがありますし、ドラマ化されている作品も多いので、好きなマンガが見つかりやすいと思います。子どもにもいつか読んでほしいと思えるような、マンガとの出会いがあるかもしれませんね。

選書プロジェクト「これも学習マンガだ!」では、新しい世界を発見できるマンガや学びにつながるマンガが選出・発表されています。いわゆる「学習マンガ」ではなく、「楽しみながら学ぶこと(=edutainment)」のできるマンガです。

サイトでは、「歴史」「職業」「多様性」など11のジャンルから選ぶことができ、「小学生からOK」のみを表示させることもできますので、一度ご覧ください(ただ、「小学生からOK」のマンガについての感じ方はそれぞれですから、ご注意ください)。

また、マンガミュージアムなどの博物館、マンガ家の記念館や美術館が全国各地にありますから、家族で訪ねてみてもよいでしょう。

自分が心から好きなものを、親が好きだったり認めてくれたりするということは、子どもにとって、とてもうれしいことです。マンガが家族のコミュニケーションを活発にしてくれるかもしれません。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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