新型コロナウイルス後遺症外来の現場から

新型コロナによる嗅覚障害

新型コロナウイルス感染症の後遺症による嗅覚障害。においがわからなくなったり、異臭を感じたりいった症状があらわれます

新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、後遺症に悩む人も少なくありません。私たちのクリニックがある埼玉県では、県としてコロナウイルス後遺症に取り組んでおり、呼吸器症状は内科、ストレスなどは精神科、脱毛は皮膚科など、症状と診療科別にコロナ後遺症の指定機関を8ヶ所設けています。

私たちのクリニックも2021年10月より埼玉県の事業の一貫として「コロナウイルス後遺症外来」を始め、診療にあたっています。新型コロナウイルス感染症の後遺症は様々ですが、耳鼻科には主に嗅覚・味覚障害、めまい、耳鳴り、難聴を訴える患者さんが来院されます。コロナ後遺症でよく見られる嗅覚障害・味覚障害についてお話しします。
 

新型コロナウイルス感染症後遺症で起こる嗅覚障害の症状・原因

新型コロナウイルス感染症に多い嗅覚障害。一言で嗅覚障害といっても、
  • なんとなくにおわない
  • 何を嗅いでも同じにおいがする
  • 変なにおい(異臭)を感じる
  • 全くにおわない
の4タイプに分けられます。これらはいずれも、普通の風邪やインフルエンザ、アレルギー性鼻炎でも出ることがある症状です。コロナウイルス感染症に特異的な症状ではありません。

これらの嗅覚障害が起こる原因は、大きく2つに分けられます。

■気導性嗅覚障害
鼻づまりや鼻水のため、においが単純に嗅神経まで到達しないために起こる嗅覚障害

■嗅神経性障害
鼻づまりや鼻水のためではなく、嗅神経自体が影響受けて起こる嗅覚障害

コロナウイルス感染症の後遺症として起こっている長く続く嗅覚障害は「嗅神経性障害」によるものが多いです。多くはコロナウイルス罹患後から発症し、ほとんどが約1か月ほどで治ります。1か月以上続く場合は精査が必要なので、耳鼻科専門医を受診することをおすすめします。
 

新型コロナウイルス感染症後遺症の嗅覚障害の検査法

嗅覚障害で耳鼻科を受診した場合、まずは内視鏡などで鼻の中を診察します。炎症やポリープなどがないかをチェックするためです。また、亜鉛が不足していると発症しやすいことから、採血検査なども適宜行います。そのうえで嗅覚検査を行います。

その他にも、ビタミンの一種であるアリナミンを静脈注射してにおいの神経がどれだけ残存しているかを調べる検査や、においをかぎ分けるオルファクトメーターという検査などがあります。
 

新型コロナウイルス感染症後遺症の嗅覚障害の治療法

新型コロナウイルス感染症後遺症の嗅覚障害の治療法としては、
  • 漢方などの内服
  • ステロイドの点鼻
  • 嗅覚訓練
などがあります。嗅覚訓練とはにおいのかぎわけです。アロマなど、柑橘系、みそ、くさいにおいなどいくつかを嗅ぎ分ける訓練を行います。よいにおいだけではなく、様々なにおいを取り入れながら行います。

また、コロナ後遺症として、「嗅覚障害・味覚障害」とひとまとめに言われていることも多いようですが、味覚障害のみを単独で発症することはまれです。味覚障害の原因は亜鉛低下、心因性のものなどがありますが、嗅覚障害に合併して起こっていることがほとんどです。

いずれにせよ1か月以上嗅覚障害・味覚障害を放置してしまうと、予後が悪くなり、治りづらくなります。発症してコロナウイルス感染療養期間が過ぎても症状が残っている場合は、耳鼻科専門医を早めに受診することが重要です。
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