新型コロナワクチン3回目接種体験談…予約・副反応・注意点など

【薬剤師が解説】オミクロン株の流行を受け、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が医療従事者を皮切りに前倒しで始まりました。本記事では私自身の3回目接種の体験談、予約から、ファイザー・モデルナなどの製薬会社別に受付が設置された会場の雰囲気、副反応とその対策法についてお伝えします。

吉田 健吾

執筆者:吉田 健吾

薬剤師 / 薬・漢方・医療ニュースガイド

新型コロナウイルスワクチン3回目接種(ブースター)体験記

ワクチン接種

新型コロナウイルスに対するワクチンの3回目接種(ブースター接種)は段階的に拡大する見通し

新型コロナウイルスに対抗する切り札の一つであるワクチンの接種。2022年1月現在、日本国民の約8割が2回の接種を終えています。その一方でワクチンの効果は漸減することが分かっており、医療従事者を先行させて3回目の接種、いわゆるブースター接種が開始されました。
 
本記事では3回目のワクチン接種における予約、接種会場までのアクセスや現地の雰囲気、そして副反応、その対策などについて、私自身の接種体験談をベースに、レポート・解説していきます。
 

オミクロン株流行で3回目接種が前倒しに……接種券の受け取り

今回受けた3回目接種のスタートは意外な形でした。当初、3回目の接種は原則として2回目接種から8カ月以上が経過してからと報道で聞いていたからです。私は2回目の接種を2021年5月に終えたので、当初の予定は2022年1月以降になるのだと考えていました。しかしながら、オミクロン株の世界的な拡大を受けて、急遽、医療従事者については6カ月以上の間隔に短縮されたのです。
 
ちょうど、期間短縮のニュースが入ってきた直後に自治体(私の場合は東京都豊島区)から郵送で接種券と関係資料が届きました。資料にはまだ「2回目接種から8カ月以降に……」と書かれていたので「実際にいつから接種可能なのか?」と少々混乱しました。
 

3回目ワクチン接種も無料……今回は東京都設営の大規模接種会場を予約

結論として医療従事者は原則6カ月間隔での接種が可能でした。他にも厚生労働省のホームページによれば、重症化リスクの高い高齢者施設入所者なども短縮した期間が適用されるとのことです。本記事執筆の段階で医療従事者などには該当しない一般の方は2回目接種から原則7カ月後という方針が示されましたが、さらなる前倒しの可能性もあるので最新情報を自治体ホームページなどから得るのがいいでしょう。
 
郵送で手元に接種券は届きましたが接種予約ができなければ始まりません。前回の1回目、2回目接種の際は接種可能かどうかを病院に手あたり次第に電話連絡しなければならず、病院側に少なからず迷惑をかけてしまった苦い記憶がありました。一方、付き添いで利用した自衛隊設営の大規模接種センターは専用施設だったこともあり、とてもスムーズでした。
 
そこで今回は東京都が設営している都庁北展望台の大規模接種会場を利用することにしました。なお、大規模接種会場は複数ありますが都庁北展望台は3回目接種だけではなく都内在住者を中心に現在も1・2回目接種も行っています(詳しくはこちらの「都が設置するワクチン大規模接種会場に関する情報について」をご参照ください)。自衛隊設営を含む多くの大規模接種会場は2021年秋~冬に運用を終えているので都庁の会場は貴重な存在といえます。
 
大規模接種会場への予約はネット上から行いました。郵送されてきた接種券に記載されている接種券番号や自治体番号、そして接種希望日などを入力して予約完了です。3回目接種も無料で受けられるので、クレジットカードの情報などは必要ありません。
 

3回目接種後の副反応を想定して予約日を決定

私は2回目接種後の2日目に副反応でダウン(詳しくは「新型コロナウイルスワクチン接種体験談…実際の副反応と対策ポイント」)してしまったので今回は薬局定休日(水曜日)の前日朝一番、つまり火曜日の午前中に接種を行うことにしました。

そうすれば接種2日目に前回同様に副反応が出ても、定休日なので実務に影響は出ないと踏んだからです。もし接種初日に副反応が出たり、副反応が長引いたら……と不安にもなりましたが考えても仕方がないので予約ボタンをクリック。
 

3回目ワクチン接種会場へ……ファイザー・モデルナなど企業別に受付設置

当日は接種券や予診票、そして身分証明証を持参して都庁北展望台を目指しました。地下鉄の都営大江戸線を利用して会場最寄りの都庁前駅へ。A4出口を利用すればツインタワー(都庁第一本庁舎)の真横に出ます。そこから都庁の入り口まで丁寧にポスターなどで誘導されているので私みたいな方向音痴でも問題なしで入庁。
 
入口から進むと、ファイザー・モデルナ・アストラゼネカと製薬会社ごとに受付が設置されていました。急遽決まった3回目接種だった為なのか、歩を進めるごとに「メーカーと回数を教えて下さい」と非常に念入りに確認されたのが印象に残っています。
 
接種券や身分証明証などの確認後、エレベーターで一気に45階の展望台へと進みます。普段は文字通り、展望台として東京一円が見渡せるはずですが細かく仮設パーティションで区切られていて外を望むことはできませんでした。売店なども閉鎖されており非常事態下であることを感じさせます。自動販売機は利用できますがスタッフの方の誘導を受ける必要があるので、飲み物は持参するのがいいでしょう。
 
45階に到着後はほぼ止まることなく進み、健康状態の確認を終えると3回目の接種(ファイザー社製)となりました。左腕上部に針の圧力は感じるものの、痛みは少なく接種完了。15分間の経過観察のために着座して時間を待ちます。まだ医療従事者のみの接種だったので空席の方が目立ちました。リラックス効果を狙ってなのかモニターにはパンダがじゃれている映像が映し出されていました。
 
時間の点呼で15分が過ぎたことが知らされ、パンダ鑑賞は終了。エレベーターを利用し都庁内のエントランスホールまで誘導されてブースター接種は完了となりました。以前利用した自衛隊の大規模接種会場と同様に、極めて順調に接種を終えることができました。ひと気の無いホールを軽く散策しながら、ここが近いうちにフル稼働するようになるのかと思うと複雑な気持ちでした。
 

3回目接種後の副反応……接種初日から2日目以降の副反応の経緯

午前中に接種を終え、いつもの定時よりやや遅れで勤務先の薬局へ出勤。少々の心配はありましたがこれまでの接種と同様に問題なく仕事をこなします。一方で接種から6時間ほど経過すると接種部位に外観の変化はありませんが鈍い痛みが起こり始めました。
 
勤務後、食欲は普段通りあったので晩御飯を済ませましたが、接種から12時間程が過ぎた夜になると全身のほてり感とともに体温も37度台へ上昇。解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンを服用して早めに就寝しました。
 
2日目は予想していた通り38度台の発熱と重だるさに見舞われました。接種した左腕上部の痛みにくわえて左脇あたりにも痛みが走ります。食欲もむらがあり、菓子パンなど摂れるものを摂る状態。解熱鎮痛薬を服用しても38度台以下になることはありませんでした。当日は予定通り仕事の無い定休日だったので助かりましたが、終日、横になって2日目は終了。
 
勤務もある3日目。発熱は治まり、接種部と脇の痛みを残すのみでほぼ全快で起床し、勤務もこなすことができました。棚の上のファイルを取る時は痛みで難儀しましたが、それ以外に困ることはほぼありませんでした。2回目接種後と見事に同じ反応であり「いつか来た道」をなぞるような経過でした。痛みについても5日目くらいにはすっかり無くなりました。
 

他のスタッフの3回目接種後の副反応

私以外にも薬局に努める2人のスタッフが日にちをずらして都庁北展望台でブースター接種を行いました。なお2人とも事前に副反応を考慮して接種2日目は欠勤のシフトにしていました。今回のブースター接種と前回の2回目接種を比較すると副反応については、

・40代女性……前回の2回目接種後は2日目に38度台後半の発熱と強い頭痛で完全にダウン、3日目には何とか勤務できるほどまでに回復していました。今回のブースター接種後はやはり2日目に37度台の発熱、だるさ、そして接種部の痛みと脇の痛みがでました。しかし、その症状は前回と比べて大幅に軽減。3日目には患部の痛みが残る程度でした。

・70代女性……前回の2回目接種後は2日目に微熱や重だるさがある程度で、勤務に大きな支障が出ることはありませんでした。一方、今回はブースター接種後初日の夜に強い悪寒、2日目に38度台の発熱やだるさなどが出ました。結果として2回目より副反応が強く発現。

という結果でした。このように副反応の現れ方は2回目と比較してそれぞれ異なっていました。一方で全員、不快症状が長引くことは無く患部の痛みが5日間ほど残る程度でした。
 

3回目接種後のまとめ

今後、段階的に一般の方にもブースター接種が広がっていく予定です。自治体によって確保されるワクチン量に濃淡が出てくることも予想されます。そのような場合は私たちが利用した自治体設営の集団接種会場や、2022年1月に再開した自衛隊設営の会場を積極的に利用するのもいいでしょう。ワクチン接種に特化された施設なので非常にスムーズに接種が行えます。
 
副反応については公開され始めている厚生労働省の情報と同様に、軽重の差はありましたがおおむね2回目と似た傾向がありました。接種直後から数日は大切な仕事や用事は入れないといった自衛策が必要だと改めて感じます。学生の場合も副反応の発現を想定して長期休暇中や休日前日などに接種するのがいいでしょう。高頻度で高熱が報告されているので解熱鎮痛薬、簡単に食べられる食品や飲料を事前に用意しておくと安心できるでしょう。

やや変則的なケースですが、親戚の医療従事者に起きたトラブルを挙げさせて頂きます。この方は、とある自治体A市で1・2回目の接種を行っていました。その後にご結婚してB市へお引越し。その際、接種情報が引き継がれなかったのかB市側はこの方が1・2回目の接種を行っていないと認識していたようです。双方の連絡によって誤解は解消しましたが、結果的に3回目の接種券が遅配となってしまいました。もし自治体が発表している接種券発送スケジュールから大きく遅れている場合は念のために問い合わせを行う方がいいでしょう。
 
世界に先駆けてワクチン接種を開始したイスラエルではすでに4回目の「再ブースター接種」も始まっています。オミクロン株のような変異株が生まれ続ける以上、日本でも検討に上がることはほぼ間違いないでしょう。今後、新型コロナウイルスとの共存にはワクチンともうまい付き合い方を構築する必要があります。本記事がその一助になれば幸いです。
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