ディズニー最新作『ミラベルと魔法だらけの家』。物語に深みをもたらす「鮮やかな色づかい」の意味とは？

ディズニー最新作の舞台は南米コロンビア

映画史に残る大ヒットを記録した『アナと雪の女王』など、数々の名作を生み出してきた、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。長編アニメーション60作目となるオリジナル・ミュージカル・ファンタジー『ミラベルと魔法だらけの家』が、日本でも公開されました。

本作の舞台は、南米コロンビアの山奥、“エンカント”と呼ばれる魔法の力に包まれた不思議な家。彩り豊かな映像と陽気なラテンのリズムに乗って、魔法だらけの不思議な家の様子と南米の大家族のにぎやかな暮らしぶりが描かれます。

この家で生まれたマドリガル家の大家族は、みなそれぞれ5歳になると、家から“魔法のギフト（才能）”と呼ばれる特別な力が授けられます。本作のヒロインであるミラベルは、三姉妹の末っ子。長姉のイザベラは、“花の魔法”で家中を美しくカラフルな花で彩り、次姉のルイーサは、“力（パワー）の魔法”で家族を助けるなど、家族のみんなはそれぞれユニークな魔法を使えるのに、ミラベルだけは何の魔法も使えません。ミラベルは、持ち前の明るさで毎日を過ごしていますが、心の奥底には疎外感や不安を抱えているようです。
 

ギフトを持つ者と持たない者

ある日、ミラベルは家の中に大きな“亀裂”があることに気づき、魔法だらけの家に隠された、驚くべき秘密に向き合うことになります。“魔法のギフト”を持たない“普通”の女の子だからこそ、世界から魔法が失われる危機を救える唯一の希望となりうることに気づき、奇跡を起こすのです。

『アナと雪の女王』では、触れるものを凍らせる特別な力を持つ姉のエルサが、トラウマを克服し、妹アナとの絆を取り戻していく様子が描かれました。エルサは、常に自分はどこか周りと違うという漠然とした不安や悩みのようなものを抱えていましたが、ミラベルもまた、「どうして自分だけが普通なの？」と思い悩みます。特別な力を持っていても、特別な力を持っていなくても、周囲の人々との違いに思い悩むのが、人間というものなのかもしれません。

ディズニーのヒロインには、エルサのように「持つ者」もいれば、ミラベルのように「持たない者」もいます。私たちもまた、あるときは「持つ者」になり、またあるときは「持たない者」になることを示唆しているのではないでしょうか。ディズニー作品には、主なる神の恵みは、あらゆる人に与えられるというキリスト教の考え方がベースにあるのかもしれません。
 

物語への理解が深まる。「鮮やかな色使い」に託された意味とは？

古今東西、色はさまざまな意味を与えられてきました。キリスト教では、自然の恵み、生命や成長を連想させる緑は、希望のシンボルです。希望がなくては、悲しみに満ちた現世を乗り越えることはできません。美しい花々を連想させるピンクは、荘厳な喜びが近づいていることを示します。こうしたキリスト教における色の意味を意識してみると、本作の世界観を理解する手助けとなるのではないでしょうか。

愛情を込めた食事によって人々を癒す“癒しのギフト”、感情で天気をコントロールする“天気のギフト”、頭で思った人物の見た目に一瞬で変わることができる“変身のギフト”、小さな声でも聞こえてしまう“聴力のギフト”、動物とコミュニケーションが取れる“動物のギフト”など、ユニークで多種多様な魔法が、南米の大家族のにぎやかな暮らしに彩りをもたらしています。

本作を手がけたのは、アカデミー賞（R）長編アニメーション賞を受賞した『ズートピア』以来の再タッグとなる2人の監督、バイロン・ハワードとジャレド・ブッシュ。陽気で色鮮やかな映像で、心躍るような魔法の世界を作り上げています。

コロナウイルスの影響下で、海外旅行はまだまだ難しい時期が続きそうです。鮮やかな彩りと陽気なラテンのリズムは、私たちの心に希望と喜びをもたらしてくれるでしょう。

 


作品名：『ミラベルと魔法だらけの家』
URL：Disney.jp/MIRABEL
11月26日（金）より全国ロードショー
（c） 2021 Disney. All Rights Reserved."

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