男女問わず、簡単に浮気する人というのが世の中には存在する。もちろん男性のほうが多いのだろうが、それは「男は浮気してもいい」という謎の共通認識があるからだろう。だが、「気軽に」浮気するからこそ、配偶者は傷つく。
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結婚式後のパーティーに現れた夫の元カノ

「10年、がんばってきましたけど、やっぱりもうダメだとぷつりと糸が切れ、2カ月前に離婚しました。今はすっきりした気持ちです」

穏やかに笑いながらそう言うのは、ナツコさん(40歳)だ。30歳のとき、友だち主催の飲み会で知り合った2歳年上のトオルさんと結婚した。

「お互いに一目惚れだったんです。すごく惹かれるものがあった。彼から声をかけられて、その飲み会を抜けてふたりだけで別の店に行きました。そしてそのまま彼の部屋へ。そんなことをしたのは初めてです」

それだけ彼が魅力的だったのだろう。そこからすぐに結婚を決め、3カ月後には簡単な式を挙げた。

「飲み会を主催した友人は、『あいつは軽いと思うよ。気をつけて』と結婚には渋い顔をしていました。でも彼がモテるから嫉妬しているのかな、なんて軽い気持ちでいたんです。結果的には友人の反応のほうが正しかったんですけどね」

結婚式のあと、レストランを貸し切ってパーティーを開いた。ふたりとも友人は多いほうで、店内はかなりごった返していたという。

「パーティーも終わりに近づいたころ、女性の大声が聞こえたんです。見ると入り口で、女性が彼の友人たちに止められている。私と目が合ったその女性は、『私、トオルと昨日の夜も寝たんだからね!』と叫んだんです。彼女は連れていかれてしまいましたが、トオルを見るとやたら瞬きを繰り返している。どういうことなのと尋ねたら、『いや、わからない』って」

確かに前の晩、トオルさんには電話がつながらない時間があった。仕事の件で呼び出されていたと言い訳をしていたが、怪しいとは思っていたとナツコさんは言う。

結婚してからも、彼の怪しい言動は続いた。ときおり帰りが遅くなる、外泊をすることもある。だが浮気の証拠はつかめない。ナツコさん自身、つかもうとしなかった面もある。修羅場になるのが怖かったのだ。

2年後に娘が生まれてからも、夫は変わらなかった。

「共働きだし、あまり相手の行動を把握するのも好きじゃないので、基本的には信頼感に基づいて家庭を作っていきたいと思っていました。ただ、子どもが生まれてからも『早く帰る』と言いながら日付が変わってからだったりする。私ひとりならいいけど、子どもがいるととにかく忙しいので、たまには子どもの面倒を見てよとけんかになることも増えていきました」

けんかになると、しばらくはおとなしく帰ってくるのだが、ほとぼりが冷めるとまたふいに帰宅が遅くなる。
 

3人の女性たちから連絡が来て

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半年ほど前のこと。ある日、自宅に、ある会社の封筒が送られてきた。宛名はナツコさん、差出人の名前はない。

「こんな会社、知らないなぁと思って開封したら、個人的な手紙でした。女性3人の連名で、『あなたの夫とつきあっていた女たちです』と。3人がそれぞれ事情を説明していました。ひとりは彼が独身だと嘘をついていた、ひとりは離婚すると言っていたのにそんな気配がない、もうひとりはいきなり別れを告げられた、と。夫の恋愛のことですから、冷静に考えれば私には関係ないんだけど、3人の女性が徒党を組んで私に手紙をつきつけてくるって尋常じゃないですよね。それはそのまま夫に見せました」

夫はあわてふためき、「みんな誤解だよ、誤解」とだけ言い続けた。私は怒っていないから、事情を説明せよとナツコさんは詰問した。3人の女性は、どうやらSNS等で互いの存在を知ったらしい。夫によれば、ひとりの女性と会っているとき別の女性と偶然、遭遇したこともあるようだ。

「それでも夫は、不倫関係ではないと言い張っていました。女性たちも書いていましたが、結局、“軽い”んですよね。トオルにとっては、家庭も恋人も重さがみな同じ、しかも軽い。その場しのぎで適当なことを言うから、あとから女性たちの怒りを買う。人を人とも思っていないのかもしれません。悪い人じゃないし、やさしいところもあるんですが、ふわふわ生きているだけなんだなあ、と。振り返れば、10年間、あの結婚パーティーのときから私は夫をまったく信じていなかった。ただ、子どものためにも離婚は避けたいと思っていました。でも手紙を見て、こんなゲスな男とはさっさと別れたほうが子どものためにもいいと決意したんです」

離婚しよう。そう言うとトオルさんはぎょっとしたように彼女を見た。そして、「そりゃそうだよね」とつぶやいたという。

「離婚にあたってびっくりしたのは、彼にほとんど貯金がなかったこと。女性にお金を使っていたんでしょうね。養育費だけは払うと書面を取り交わしましたが、慰謝料なんて払える状態にはないんだと泣かれてしまって……。しかたがないので家の中にあっためぼしいものを売り払って慰謝料代わりにもらいました。彼が大事にしていたサッカー選手がらみのグッズなども勝手に売り払ってやりましたよ。私は実家近くにアパートを借り、娘とふたりで生活しています」

疑わしい、信じられないという思いを抱いたまま生活していた10年間を、「無駄な時間だった」とナツコさんはばっさり切り捨てる。すっきりした気持ちで暮らすと日々が楽しいのにね、と彼女はにっこり笑った。

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