「スマートフォン市場を一気に変えてやる」とは思っていない。本当の狙いは15年後
――BALMUDA Phoneの目標台数は?寺尾氏:そんなこだわりがいろいろ詰まっているBALMUDA Phoneですが、だからといって、いきなりこのスマートフォン市場を一気に変えてやる! なんてつもりはありません。今回私があくまで意識したのは、1人のスマートフォンユーザーとして、自分が今抱えているフラストレーションを、他のたくさんの方々も感じているんじゃないだろうかと想像しただけで。もっと変化も欲しいし、新たな選択肢も欲しいと思っている人は想像以上に多くいるのではないかと思っています。
ただ、そんなユーザーの思いに対して、あまりにも供給側が準備できていないから、それに対してチャレンジしようと思いました。もちろん我々はメーカーですから、やってみたいからやりましたではダメなんですけど。自分たちが新しいものを作るからには、その先がどうなっていくのか、そういった未来をちゃんと見据えないといけません。 私の野望というか本当の狙いは15年後にあります。その頃、スマートフォンが現状のスマートフォンのママかと言うと、おそらくそれにはかなり懐疑的だと考えてます。おそらく別の何かに変わっていることでしょう。過去の歴史などを見てみると、大体こういうキーデバイスというのは30年周期で大きく変わっていて、今、既にスマートフォンが世の中に出てから15年くらい経っています。だから、残り15年くらいで次の何かに変わるのかなと。
結局のところ、スマートフォンというのはコミュニケーターですし、コミュニケーターというのはずっと売れ続けているんですね。人類には常に必要なツールなんですよ。結局みんなコミュニケーションを必要としているんです。
コミュニケーターとして紙が生まれ、便利だから今も当然残っていますが、その前にあった文字や言葉なども、すごい勢いで普及したはずなんです。そういったコミュニケーションにまつわるテクノロジーというのは、人類がずっと必要とし続けていて、その最新版がスマートフォンだと思うんです。でも、15年後はもしかしたら、全員が量子コンピューターを持っている時代かもしれないとか、必ず何か何かに置き換わるはずだと確信しています。私はそこに必ず関与したいと思っています。
プレゼンテーションでも述べたように、シリコンバレーの輝かしい時代に、その物語をロックンローラーとして読んでいて、実は羨ましいなって思っていました。だから、その後に物作りしようと思った時に、まずはコンピューターの冷却台を作ったのも、そこへの憧れというか、自分の中に執着があったのだと思います。そこからいろいろなもの作ってきましたが、改めて今回BALMUDA Phoneを発表して、当然それで終わりということは全く考えていなくて。人類がこの先もずっと必要とし続けているコミュニケーターが、スマートフォンに止まるとは考えていません。
BALMUDA Phoneをコミュニケーターとして考えた場合、当然次の世代には新しい何かになるはずで、その時に、その市場という海でパドリングできていれば、私は誰よりもうまく波に乗る自信がある、というふうに根拠のない自信があります。つまりBALMUDA Phoneは私にとって、パドリングするためのサーフボードです(笑)。その波が来る海で泳いでいたプレーヤーたちだけが波に乗る権利があって、当然波から落ちてしまうものもいますし、乗り切るものもいます。
乗り切ったときにすごいサービスや商品が生まれて、少しずつ世界が変わっていく。できたらそういうプレーヤーになりたい、そういうサーファーになりたいと考えています。今回のBALMUDA Phoneはその第一歩だと私は認識しています。
発表会後のインタビューにて、寺尾氏が語ったことは以上となる。なぜ「BALMUDA Phone」を開発したのか、発表会では述べられなかった寺尾氏の本当の野望を聞いた気がする。
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