Q:年金の繰り下げ受給の期間は半年でもいいの?
「年金を増やしたくて、65歳からもらう年金の繰り下げ受給をしたいのですが、65歳からの生活費に自信がないため、様子を見たく半年ぐらい繰り下げ受給して、途中で、繰り下げをやめたりすることもできるんでしょうか? 手続きの注意点とか、いくら増えるのかについて教えてください」(会社員・59歳)年金の繰り下げ受給ができる期間とは
A:66歳以降(1年経過後)から、1カ月単位で繰り下げできます。65歳から半年間(6カ月)の繰り下げ受給はできません
通常、老齢年金は、65歳になると請求して受け取れますが、66歳以降、最長75歳までの間で、受給開始時期を1カ月単位で選択できます。
なお、75歳まで繰り下げできる方は、令和4年4月1日以降に70歳に到達する人(昭和27年4月2日以降に生まれた人)です。
繰り下げ受給をすると、1カ月繰り下げるごとに0.7%、年金額が増額されます。増額率は以下のように計算します。
・増額率=(65歳到達月から繰り下げ申し出月の前月までの月数)×0.007
繰り下げには、老齢基礎年金の繰り下げと老齢厚生年金の繰り下げがありますので、片方だけ、両方同時に繰り下げすることもできます。
繰り下げた期間に応じて増額された年金を生涯にわたって受け取れます。相談者は半年(6カ月・つまり65歳からの半年間)だけ繰り下げとのことですが、繰り下げ受給の請求は、66歳以降から請求できる制度です。最短でも1年間(12カ月)待ってからになります。65歳から半年間(6カ月)だけ繰り下げすることはできません。66歳以降になると、1カ月単位で繰り下げできます。
例えば相談者が、66歳になった時点で繰り下げ請求をすると、増額率は以下のようになります。
・増額率=0.7%×12カ月=8.4%
このように、8.4%増えた年金額を一生涯受け取れます。老齢基礎年金を満額79万5000円(令和5年度、新規裁定者)受け取れる場合、86万1780円(年額)受け取れます。計算式は以下のようになります。
・79万5000円×(1+0.084)=86万1780円
なお、2カ月ごとに支給される年金額に、1円未満の端数が生じた場合は切り捨てられ、切り捨てられた端数の合計額は、2月に支給される年金額に加算されます。端数の合計額に1円未満が生じたときは、端数が切り捨てられます。
また、繰り下げ受給の手続きについてですが、65歳の誕生月に「年金請求書」が届きますので、その書類を返送しないままにすると、65歳の間は年金を受給しないことになります。
そして66歳以降に、「老齢基礎/厚生年金支給繰下げ請求書」を年金事務所に提出すると、66歳から繰り下げ受給ができるということです。繰り下げの手続きをした後は、原則取り消しや修正はできません。一度決まった、増えた年金を受け取り続けることになります。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
【関連記事をチェック!】
62歳現在も厚生年金に加入していますが、何歳まで加入するのがいいの?
55歳、預貯金が5000万円あります。父親の介護のため無職なのですが、60歳から年金をもらうべき?