アドバイス1 余裕はあまりないが、現状維持で心配しなくていい
おひとりで、よくここまで頑張ってこられましたね。下の子が大学を卒業するまで、あと少しです。頑張りすぎず、健康第一で過ごしてくださいね。家計も無駄がなく、堅実です。現状の収支で今後のマネープランを考えてみましょう。毎月3万円、ボーナスから10万円の貯蓄ができているのも立派です。年間46万円貯めることができ、60歳になるまでの18年間で828万円、現在の貯蓄・投資額を合わせると約1900万円になります。
あと3年は教育費として年間20万円、3年で60万円は貯蓄から出ていくとのこと。車の買い換えも3回程度はあるでしょう。1回の予算100万円として300万円。これらを差し引くと、60歳時点の金融資産は約1500万円です。
ただ、3年後には下の子が大学を卒業しますから、家計からでている教育費と子どもの通信費はなくなります。月2万円は貯蓄に上乗せできますから、60歳までで360万円。都合1860万円ほどが、老後資金となるわけです。
余裕があるわけではありませんが、一人の老後資金としては、ひとまず安心していいのではないでしょうか。
アドバイス2 60歳以降も無理のない範囲で収入を得ること
60歳定年後も65歳までは、現在の職場で働けるなら老後資金を取り崩すこともありません。貯蓄はできなくなるかもしれませんが、毎月の生活費がまかなえる程度のパート収入を得るようにしてください。厚生年金に加入できる働き方ができれば、国民年金の免除期間のカバーができます。もちろん体調優先ですので、無理は禁物です。65歳からは公的年金だけで生活費がまかなえればいいのですが、その点はやはり厳しいと言わざるを得ません。公的年金での不足分を貯蓄から取り崩していくことになりますが、そのスピードを遅くすることが大切になってきます。
現時点での年金見込み額が月4万~5万円ですから、5万円程度は不足します。年間で60万円です。老後資金として1860万円準備できています。単純に考えれば、30年、95歳までもちます。ただ、これは毎月の生活費の分のみですから、不意の出費や旅行などの楽しみのための費用は含まれていません。
月に3万円でも収入があれば、自分の楽しみのために使うことができます。このことは65歳時点での体調次第ですから、今から考える必要はありませんが、現状のコンパクトな生活を意識していくようにしてください。
アドバイス3 投資は、半分程度は現金化して、リスクに備える
ご相談者の一番のリスクは働けなくなることです。持病を抱えながら働き続けるのはつらいことです。症状が重くならないようにすることが大事だと思いますが、万一働けなくなるような事態になった場合は、手元にどれだけの現預金があるかが重要です。ご自身も書かれていますが、資産全体に対して投資の割合が多く、先の老後資金の資産も時価評価で計上していますが、損失が多くなれば、老後資金そのものが減ってしまうことになります。半分程度は利益確定し、現金化をすすめてください。
加えて、iDeCoとNISAを増額するとのことですが、どちらかひとつに絞ってもいいと思います。解約のしやすさを考慮するとNISAだけ継続し、いったんiDeCoは3年程度中断し、現金化が進んだ段階で再開するといいでしょう。所得控除などのメリットはありますが、現状は現預金を増やしておくことが優先です。
あと少しで子育ては終わります。よく頑張ってこられました。まだまだこの先の人生は長いです。お子さんたちのためにも、健康第一で、心穏やかにお過ごしください。
相談者「ぶらり」さんから寄せられた感想
深野先生のアドバイス、読ませていただきました。労いの言葉までいただき本当にうれしい限りです。漠然とした不安を抱えていましたが、具体的な数字を出していただいたおかげで心が軽くなりました。さっそく、外貨預金は利益がでていたので半分は日本円の普通預金にしました。これからも体調と相談しながら少しでも長く働けるように、今の倹約生活を楽しみながら続けていきたいと思います。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談はすべて無料になります)
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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/伊藤加奈子
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