家計に重くのしかかる奨学金返済。昇給分は繰り上げ返済する?
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、毎月手取り給与の2割を超える奨学金を返済している33歳の会社員女性。5万円の昇給が決まりましたが、これを繰り上げ返済に充てるべきか、それとも投資で増やすべきか……。迷える女性の味方、ファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんがアドバイスします。毎月手取り給与の2割を超える奨学金を返済しています
■相談者
ぱぴこんさん(仮名)
女性/会社員/33歳
関東/賃貸住宅
■家族構成
一人暮らし
■相談内容(原文ママ)
額面で5万円の昇給が決まりましたがそれをどう使うべきか悩んでいます。大学を卒業して5年間教育関係の仕事についていましたが、精神面の調子を崩したので事務職に転職しました。手取り13万円という非常に低収入ではありますが、一人暮らしを送れており、少額ではありますが貯金もでき、半年分の生活費は貯めることができました。
奨学金を毎月2万7000円返済しておりこれがずっと悩みです。定期昇給のない会社ですが、このたび額面で5万円の昇給が決まりました。悩んでいるのはこの昇給分を貯蓄、投資、奨学金の繰り上げ返済のどれに充てるべきかです。調べたところおそらく17万円と少しが手取りになるかと思います。
有利子の奨学金(日本学生支援機構の第二種奨学金)の返済に充てて少しでも早く返済を終えたいのが本音ですが、月の貯金額を増やして貯蓄のペースを上げるべき(生活防衛費として年収分くらいは貯めておいたほうが)か、投資に回すべきか、迷っています。つみたてNISAの口座は作りましたがまだ投資は始めていません。
昇給が決まる前は、月の貯蓄1万円のうち、5000円ほどを投資に回そうかと考えていたのですが、この額を上げて時間をかけてお金を増やしていったほうがいいでしょうか。
投資のリスクは承知ですがこの先もひとりで生きていくにはやはり先立つものが必要なので、ある程度のリスクを取ってでも財産は増やしたいです。奨学金の返済を終えた40代からでも老後の生活費の用意が間に合うのかも不安です。
結婚の予定はなく、転職もまだしばらくは様子見、いまの職場は退職金はなく、今後の定期昇給は未定です。
趣味は自宅でのネットサーフィンなので光回線を引いています。できれば通信費は削りたくありません。親との折り合いが非常に悪く、頼れる実家ではないので保険は心の安定のために加入していますが、月額が高いので見直そうか検討中です。
■家計収支データ
■家計収支データ補足
(1)昇給について
現在の手取り13万円が、17万円ほどになる予定。ボーナスは不明だが、上昇しない前提でマネープランを立てたい。
(2)奨学金について
毎月2万7000円の返済、ぱぴこんさんが45歳の時点で完済する。二種(有利子で金利は1.187%)。残額345万円。
(3)定年について
退職金制度はなし。一族経営であり、事務職で定年まで勤めた人がいないため不明。おそらく60歳定年。延長や再雇用は不明。60歳退職でマネープランを立てたい。
(4)定年後ついて・続き 体調面で不安なこと
あまり体調は良くないものの日常生活に支障はない。歳を重ねたときの懸念はあるが、できる限り働くつもり。
(5)保険料7000円の内訳について
生命保険(45歳で更新予定)に加入している。死亡保障500万円(65歳まで)、要介護一時金400万円(65歳まで)、三大成人病100万円(80歳まで)、がん診断給付金110万円(80歳まで)、入院保障一時金4万5000円、入院保障1日5000円等あり。
保険会社の担当者に言われるまま契約したのでよくわからない。喘息があり、他にも病気があるため、安心のために加入した。
(6)支出について
2年に一度、火災保険更新2万円前後。1年に一度、賃貸の更新1万円
雑費は日用品(シャンプーや化粧品、ペットの餌代)
趣味娯楽 読書が趣味なので本や雑誌の購入。服飾費。
(7)相続について
母子家庭で、母親は遠くの借家に住んでおり、相続する資産は一切ない。万が一あったとしても、兄弟(母の面倒を見てくれているので)に譲る予定。親が介護状態になったとしても、直接支援をする予定はない。父親とは一切連絡を取っていないため所在も不明。
■FP豊田眞弓の3つのアドバイス
アドバイス1 昇給分は繰り上げ返済と貯蓄、つみたてNISA、自己投資に
アドバイス2 今加入している保険が妥当かを考える
アドバイス3 このままの生活サイズで資産形成も行えば、老後は心配なさそう
アドバイスの詳細はこちら>>