お金の悩みを解決!マネープランクリニック/30代シングルの方のお金悩み相談

33歳、手取り13万円で2万7000円の奨学金返済。返済と投資、どちらを優先すべきか悩んでいます(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、毎月手取り給与の2割を超える奨学金を返済している33歳の会社員女性。5万円の昇給が決まりましたが、これを繰り上げ返済に充てるべきか、それとも投資で増やすべきか……。迷える女性の味方、ファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 昇給分は繰り上げ返済と貯蓄、つみたてNISA、自己投資に

ぱぴこんさんは、現在貯蓄が100万円ありますから、予備費としては十分です。一般的に目安とされている生活費の6カ月分を超えています。ただ、今はコロナ禍ですので、今までよりもマネープランを慎重に考える必要があります。もう少し貯蓄を増やしていくことも大事かと思います。
 
月に5万円貯められるとして、まずはそのうち2万円を奨学金の繰り上げ返済に充てます。手続きの手間を考えると、毎月2万円ずつ貯めたお金で、年1回、9カ月分(24万3000円)を繰り上げ返済する形がよいでしょう。概算になりますが、年24万3000円の繰り上げ返済を続けると、5年近く期間短縮になります。ぱぴこんさんが40歳の時に完済できる予定です。
 
次に、1万5000円を預貯金にまわし貯金を増やしていきましょう。投資にも興味があるということなので、残りの1万円程度でつみたてNISAを始めてみるのもありかと思います。iDeCoという選択肢もありますが、まだ33歳とお若く、これから結婚や出産などライフプランの変化が起きる可能性を考えると、老後まで引き出せないiDeCoよりも、流動性が高いつみたてNISAがおすすめです。
 
残りの5000円は自己投資に使ってほしいです。雇用保険に加入していれば、教育訓練給付が使えます。対象の講座を終了すれば、受講費用の20~50%の給付金がもらえる制度です。スキルアップしてさらなる給料アップや転職、副業(就業規則で認められていれば可能)も狙っていきましょう。
 
年金については標準報酬月額がわからないので正確には計算できませんが、今回の昇級後の給料(約230万円)をベースに40年間加入したとして、毎月11万円弱の受取額になります。給料が低いということは、年金の受取額も低くなってしまうので、将来的に給料を上げていくチャレンジもしてほしいと思います。
 
ライフプランが固まってきたら、40歳で完済した繰り上げ返済の積立分でiDeCoを始めるとよいでしょう。会社員なら、職場の年金制度などにより毎月1万2000円、2万円、2万3000円のいずれかの上限額まで積み立てられます。
 
33歳から毎月1万円の積立を仮に3%で運用したとして、つみたてNISAだけで、60歳時に約500万円が貯まります。さらに40歳の奨学金完済後からiDeCoを月2万円で始めれば、約20年間、仮に3%で運用できたとして、約650万円がこれにプラスされます。ただし、利回りは確実なものではありません、投資にはリスクもあり、減る場合もあることは覚えておいてください。
 

アドバイス2 今加入している保険が妥当かを考える

すすめられるままに加入したという保険についてですが、要介護一時金と死亡保険金が65歳までで保障が切れてしまうのは問題だと思います。65歳以降に保障が続かなければ意味がありません。
 
喘息の持病をお持ちとのことで、新しい保険に加入するのは難しいかもしれませんから、今の保険を大事にしつつ、不要な特約等は減らすことも考えましょう。65歳までの介護一時金は中途半端ですし、お金を残す必要のある家族がいないなら、死亡保障も減らせます。万が一の時のお葬式代は貯蓄の100万円で賄えますから、予備費として死亡保障を100万円くらいに減額して、その分を貯蓄にまわしてはいかがでしょう。
 
もし一生涯の医療費が心配で、何か保険に入りたいようであれば、引き受け基準緩和型の終身医療保険もありますが、保険料が上がりますので、今後の家計状況次第で検討してみましょう。保険に頼りすぎず、医療費用貯蓄として200万円程度を目標に貯めるのもいいでしょう。
 

アドバイス3 このままの生活サイズで資産形成も行えば、老後は心配なさそう 

家計収支データを拝見する限り、資金的には問題はありません。今のペースで貯蓄して、今のペースで支出を続けていくなら大丈夫です。昇給分から毎月4万~5万円の貯蓄を続けていけば、65歳時点で、元本だけでも老後資金は1500万~1600万円になります。年金は少ないですが、できるだけ長く働き、生活費を抑えて暮らせば、やっていけることでしょう。
 
以上はずっとシングルだった場合のマネープランです。繰り返しになりますが、収入も支出も控えめの低位安定なので、老後資金の心配はありませんが、できれば自己投資をして収入アップやダブルワークなどを考えてほしいです。現代の女性は100歳まで生きると思ってマネープランを立てる必要があります。在宅でネットを使った副業(就業規則で認められていれば可能)など、できることから始めて、収入がまた増えたら積立額を増やしていきましょう。
 
これからの長い人生、楽しみも必要です。毎月5000円は自己投資のほか楽しみのために使うのもありです。余計なお世話ですが、新しい楽しみや趣味を見つけられるよう、ぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。
 

相談者「ぱぴこん」さんから寄せられた感想

一番気にかかっていた奨学金を繰り上げ返済していいとアドバイスいただき、安心しました。アドバイスの通り月2万円を繰り上げ返済していこうと思います。早く返済が終わったら、その分をiDeCoに回すというのは思いつかなかったので、それを目標にします。少しずつコツコツ返済していきます。保険は見直したほうがいいとのことで、必要なものを考えて見直したいと思います。【女性は100歳まで生きると思ってマネープランを立てる】というお言葉にハッとしました。豊田眞弓先生が親身に寄り添い、少しでも収入増を、と心配してくださっているのがとても胸に沁みました。自己投資しつつ、少しでも健康に、楽しく、人生を歩めるようにがんばります。


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教えてくれたのは……
豊田 眞弓さん
 
 

 


All About教育費・奨学金ガイド。FPラウンジ代表、大学・短大で非常勤講師を務める。子どもマネー総合研究会代表。1994年より、FPとして家計や保険、住宅ローン等の相談業務に従事しながら、講演や企業研修、記事の監修、コラム執筆などで活動。『親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本』『赤ちゃんができたら知っておきたい 教育資金の本』『他人には聞けない 夫が亡くなったときに読む本』など、著書多数


取材・文/長島美樹


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