住宅手当が出る今のうちにマンションを購入したいのです

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、賃貸住宅に住んでいるものの騒音がひどく、マンション購入を考えている48歳の契約社員の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
マンション購入をしたいと思います

マンション購入をしたいと思います


■相談者
まる子さん
女性/契約社員/48歳
東北/借家
 
■家族構成
ひとり暮らし
 
■相談内容(原文ママ)
現在、賃貸住宅に住んでいますが、中古マンションを購入したいと考えています。賃貸住宅では騒音がひどくあまり眠れない、帰宅時間が遅く、帰宅後も仕事があるため、体力を維持するため通勤時間を短縮したい、住宅手当が出る今のうちにマンションを購入したい、ということから、購入を考えています。
 
そこで、
・中古マンションが買えるか、買えるならいくらぐらいの価格が妥当か
・老後のための資金は今からどのぐらい準備していけばいいか
について、相談させていただければ、ありがたいです。
 
以上、どうぞよろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「まる子」さんの家計収支データ

相談者「まる子」さんの家計収支データ


 ■家計収支データ補足
(1)収入について
フリーランスから契約社員となったため、今後7年は経済的に安定しています。また、10万円程度ではありますが、残業などの仕事により毎年収入が別途あります(手取り月収には入れていません。これらは家電の買い替えや娯楽費になっています)。7年後は、他の会社で契約社員を探すか、それが難しければフリーランスに戻らなければなりません。ただ、業界的には見通しが明るく、将来もこの業界は人材不足で見通しが明るいため、社会保険には加入できませんが、毎月の給与は60歳頃までは現在の収入程度は維持できそうです。60歳以降も体が健康な限り、働こうと思っています。
 
契約が終了してから予測される収入は、55~60歳は年収450万円、61~65歳は年収350万円、66~70歳は250万円と考えています。70歳を超えても、元気なうちは働き続ける予定です。年金受給が遅い方がよいなら、70歳に繰り下げたいです。
 
(2)投資商品について
底値のときに買いましたが、今は上がったり下がったりで利益が少ないため、もっと上がってから売却予定です。
 
(3)家計収支について
毎月の支出のうち、通信費は新聞、NHK受信料、スマホで8000円。雑費は猫(保険、餌など)、衣類、化粧品、美容院にかかる費用で4万3500円。
 
(4)加入保険について
終身医療保険(65歳まで支払い、病気死亡30万円、入院1万円、通院給付金3000円、先進医療給付特約2000万円付き)=毎月の保険料6500円
 
保険料の中に、iDeCoも入れています。毎月1万2000円を積み立て、国内株35%、海外株式40%、国内債券25%です。iDeCoは現在までで89万6000円で、貯蓄の中には入れていません。
 
(5)住宅購入について
1人なので、将来何かあったときに売却できる(甥に残すため)マンションを購入したいと考えています。ネットでいろいろ見てみると3500万円ぐらいのマンションが良さそうですが、これは無理ではないかと考えています。会社から賃貸は3万円、住宅購入すると2万円の手当が毎月支給されます。契約社員の7年のうちに購入しておきたいと考えています。
 
(6)年金について
これまで、フリーランスで年金を支払っていない期間も何年かあったため、ねんきん定期便の年金受取額は月3万円です。あるサイトで将来予測される年収を入れて試算すると、65歳から老齢基礎年金月額5万1600円、老齢厚生年金月額2万2800円と出ました。
 
(7)家族について
両親が他界しており、兄が1人います。私の死後、財産整理などは甥がすることになると思いますので、迷惑がかからないようにしたく、また少しでも残せる財産があるなら、甥に残したい、と考えています。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 2200万円が上限。ローン返済と並行して貯蓄は継続
アドバイス2 65歳で一括繰り上げ返済し、住宅ローンは完済させる
アドバイス3 70歳まで働いて年金のリカバリーをし、繰り下げ受給
 

アドバイス1 2200万円が上限。ローン返済と並行して貯蓄は継続

中古マンションを購入したいという希望が叶うか、順番に試算してみましょう。来年49歳のときに購入することとしますが、返済は長期にわたります。元気なうちは働き続ける、との覚悟もあるようなので、少し厳しい試算になると思いますが、検討してみてください。
 
来年購入であれば、毎月18万円の貯蓄、1年間で216万円が上乗せできます。現在の貯蓄600万円と合わせて816万円です。ここから頭金や諸費用を捻出します。手元資金も残しておかなければなりませんので、頭金は400万円、諸費用で150万円。合計550万円。貯蓄の残りは266万円です。
 
住宅ローンは、20年返済(ご相談者が69歳まで)、金利1.5%でシミュレーションします。借り入れが1500万円だと毎月の返済額は約7万2000円。1800万円だと毎月の返済額は約8万7000円。これに管理費や修繕積立金が毎月3万円かかるとすると、住居費は、それぞれ10万2000円、11万7000円となります。
 
借り入れが1500万円の場合、現在の住居費から5万円の増加となり、所有している間のコストとして、固定資産税などの費用等が新たにかかってきますので、実際には、毎月10万円の貯蓄ができればいいでしょう。
 
毎月10万円、年間で120万円。55歳になるまでの6年間で720万円です。マンション購入時に手元に残った266万円と合わせると、986万円。約1000万円です。ここで一息つけますね。
 
55歳以降、年収が減った場合、毎月の貯蓄は5万円程度になる可能性が高いです。60歳までに貯められる金額は300万円。60歳時点で1300万円です。
 
借り入れを1800万円とした場合は、毎月の貯蓄は1万5000円ほど減額すると考えます。16年間で300万円の減額となり、60歳時点での貯蓄額は、約1000万円。これでヨシとするならば、物件価格は2200万円で、これが上限になると考えてください。
 

アドバイス2 65歳で一括繰り上げ返済し、住宅ローンは完済させる

60歳から65歳までの5年間は、年収がさらに下がると、貯蓄は難しくなるかもしれませんが、貯蓄を取り崩さなければ、60歳時点での約1500万円(または1200万円)は残っているはずです。住宅ローンは残り4年になっています。
 
そこで、65歳で住宅ローンを完済してしまいます。おそらく住宅ローンは300万円程度まで減っているはずです。繰り上げ返済後の貯蓄は1200万円(または900万円)となりますが、その後の収入減を考慮すると、65歳で住宅ローンを一括で繰り上げ返済し、完済してしまうのが望ましいでしょう。
 
65歳からは、毎月の収支がプラスマイナスゼロになるようにコントロールすることが重要です。ローン返済がなくなれば、毎月の支出は16万~17万円になっているはずです。貯蓄を取り崩さないように、支出に見合った収入を得るようにしてください。
 

アドバイス3 70歳まで働いて年金のリカバリーをし、繰り下げ受給

そして、70歳になるまで公的年金に加入する形で働き、加入月数の不足分をリカバリーします。ご相談者も書かれていますが、公的年金の受給は70歳に繰り上げれば、月額12万~13万円まで増やすことができるでしょう。
 
70歳以降は、公的年金での不足分を貯蓄から取り崩しながら生活していくことになり、その時点での貯蓄額次第では、もう一段、生活をコンパクトにして、支出を抑えなければならないかもしれません。
 
ぎりぎりのラインで試算すると、以上のような内容になります。70歳まで働くこと、中古マンションを購入するにしても2200万円が上限であることなど、ご相談者の意向に沿えない内容かもしれません。また、収入が思うように得られなかった場合のリスクもあります。
 
そうしたことも加味して、マンション購入は慎重に考えていただければと思います。
 
現在の賃貸が問題ならば、3万円程度上乗せして、条件のいい賃貸に住み替えるという考え方があってもいいと思います。毎月の貯蓄は15万円に減りますが、それでも、60歳までの12年間で2160万円貯めることができます。マンション購入を急がないのであれば、60歳、65歳時点の貯蓄額にあったマンションを現金で購入することも検討してみてください。
 
ただ、少し心配なのは、住み替えするにしろ、中古マンションを購入するにしろ、ペット可の物件で条件に合うものが見つかるかどうかという点。特に古い中古マンションは管理規約が更新されていないと、ペット不可ということもあり得ますので、物件探しの際はご注意ください。
 
ともあれ、甥御さんを思う気持ちは大切ですし、何かしらの財産を残したいという思いもわかります。しかしながら、まる子さんが健康でいること、住宅ローンの返済がストレスにならないこと、ご自身の生活が充実していることが一番大切です。そのことだけは忘れないでください。
 

相談者「まる子」さんから寄せられた感想

今回はアドバイスをいただき、大変ありがたく思います。広い視野でアドバイスいただきましたこと、いくつもの方法で試算してくださったこと、住宅購入にもいくつか方法があることを教えてくださったことなど、いずれも今後のライフプランを考える上で、大変役立ちました。コロナが落ち着くまでは動けそうにないので、もう少しよく考えてから、マンション購入をしたいと思います。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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