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「赤ちゃんの裸」は児童ポルノ? 子どもの写真をSNSにアップする前に確認しておきたいこと

子どもの写真を保護者がSNSに公開することで、子どもから訴えられたり、子どもがいじめなどにあうことがあります。実際に起きたトラブルをご紹介するとともに、子どもの写真をSNSに公開する際に保護者が注意すべきことを解説します。

高橋 暁子

執筆者:高橋 暁子

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ニルヴァーナが1991年に発表したセカンドアルバム『Nevermind(ネバーマインド)』のアルバムジャケットに使われた写真をめぐり、訴訟が起きています。プールの中で裸の赤ちゃんが釣り糸でぶら下げられた1ドル札に手を伸ばしている写真で被写体となった男性が、性的搾取としてバンド関係者を提訴したのです。
 
現在30歳の男性は、男性と両親が写真の使用を許可する文書に署名したことはなく、全裸画像は児童ポルノであると主張しました。そして元メンバーなど15人を相手取り、それぞれ15万ドル(約1650万円)の支払いを求めて米カリフォルニアの裁判所に提訴したのです。
 
男性は成長してからも、度々ジャケットのイメージを再現した写真を撮影していたことから、「今更?」などという声も上がっています。
 
しかしこれは、子どもの写真をSNSに投稿している保護者にとっては、他人事ではないかもしれません。子どもの写真をSNSに公開する場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
 

「同意なく裸の写真を公開」と両親を訴えた例も

画像はイメージです

画像はイメージです

赤ちゃんはずっと小さいままではなく、やがて成長します。一度SNSに投稿した写真は消さない限り永遠に残り、名前と紐付いている場合は、本名で検索すると表示されることもあります。つまり将来、友人などにその写真が見られてしまう可能性があるのです。
 
2016年、オーストリア・ケルンテン州の18歳の女性が、両親が彼女の同意なく500枚の写真を掲載したとして訴えを起こしています。画像は両親のFacebook上の友達700人にシェアされていました。
 
ベビーベッドで裸で横たわっている写真やトイレに座っている写真が含まれており、女性は恥ずかしい思いをしたといいます。削除を求めたものの、父親は自分が撮影したものだから掲載の権利があると主張、削除に応じなかったために訴訟となったというわけです。
 
Instagramを見ると、子どもの裸の写真や、トイレにまたがった写真はたくさん投稿されています。成長した後に子どもがこの女性のような気持ちを抱く可能性は十分にあるでしょう。
 
このような問題は世界中で起きています。フランスで同年3月、本人の同意なしに子どものプライベートな写真をFacebookなどに公開すると、1年の懲役や4万5000ユーロの罰金が課せられる可能性があるという新しい法律が施行されました
 
このような写真は、将来的に子どもを傷つける可能性があります。子どもが将来恥ずかしい思いをする写真は、決して公開するべきではないのです。
 

「子どもの許可を得て公開」が基本

このように親が子どもの写真や情報をオンラインでシェアすることは、「シェアレンティング」と呼ばれます。「シェア」と「ペアレンティング(育児)」を組み合わせた造語です。
 
では、裸の写真など恥ずかしい写真でなければいいのかというと、子どもにとっては必ずしもそうではないようです。
 
2019年に女優グウィネス・パルトロウさんが14歳になる娘のアップルさんとスキー場で一緒に撮影した写真を勝手にInstagramに投稿しました。するとアップルさんは自分のInstagramのアカウントから母親に対して、「ママ、前にも言ったよね。私の同意なしに投稿しないで」と連絡をしてきたそうです。
 
エストニアのタルトゥ大学アンドラ・シーバク教授は、「シェアレンティング」について研究しています。9~13歳のエストニアの子どもを対象にした調査によると、子どもは「自分について良いことを親がシェアする」のは喜ぶ一方で、何を『良い写真』ととらえるかについては、親と子どもで大きな差があったそうです。
 
「子どもは写りが良くないと思う写真を親がシェアするのを嫌がります。髪が乱れていたり好きじゃない服を着ている写真も含まれます。親はそういうことを軽視しがちですが、子どもにとっては自己像を左右しかねないことです」と教授は言います。ものによっては、ネットいじめにもつながりかねません。
 
筆者も、Facebookでつながっている友人が、「娘に娘の写真を公開したことがバレて叱られたので、削除しました」などと投稿をしているのを見かけたことが何度もあります。
 
大人同士の場合、他人の写真を勝手に公開することはマナー違反と感じる人は多いでしょう。これと同様で、少なくともある年齢以上になった子どもの写真は、本人の許可を得た上で公開すべきなのです。
 

子どもの写真公開で絶対守りたい2つのポイント

それでも、子どもの写真をSNSに公開したいと考える保護者は多く、これは必ずしも悪いこととばかりは言えないと考えています。
 
保護者が子どもの写真をSNSに公開する理由は、いくつかあります。子育ては苦労が多いので、SNS上の友達に「かわいいね」などと言われることは喜びや励みとなります。SNSでつながる人たちへの子どもの成長報告、子どもの成長記録として使っている人もたくさんいます。
 
子育てで孤独に陥っている人が、SNS上で同じ年代の子どもを育てている人とつながったり、先輩パパママたちからアドバイスや情報をもらうきっかけとなっているのをよく見かけます。そのような人にとってはSNSの利用が支えとなっているのです。
 
子どもの写真や情報をSNSで投稿したい場合は、少なくとも2つの点は絶対に守るようにしましょう。つまり、裸の写真など将来子どもが恥ずかしい思いをする写真は公開しないこと、映り込みで自宅や園、学校などが特定されるような写真も公開しないことです。このとき、できれば公開範囲を限定して利用するほうがより安心で、子どもの名前もネット上には公開しないほうがいいかもしれません。
 
また、顔ができあがってくる年令になったら公開をひかえたり、少なくとも本人に許可を得てから公開するようにするといいのではないでしょうか。


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