婚活やめた!? コロナ禍で方針転換する女性たち

婚活やめた

最近、「婚活中断」「婚活やめた」という30代女性たちの声をよく聞く。このコロナ禍でオンライン婚活も増えていると聞いていたのだが、「恋に至らないままにオンラインの中でさまようことに疲れた」らしい。

 

結局、オンラインでは何もわからない

「オンラインで婚活を始めたのは昨年末。コロナ禍で恋人と別れて寂しかったから、話し相手がほしかったし、そろそろ本気で婚活もしたいと思ったので」

そう言うのはタキコさん(34歳)だ。友人に教えてもらった婚活アプリに登録した。

「最初はおもしろかったんですよね、いろいろな人とやりとりできるから。条件に合わない人をどんどん振り落としていくのもちょっと快感だった(笑)。実生活でそんな失礼なことはできないですもんね」

数人に絞り込んで、なおかつこのコロナ禍で「会うことを強要しない人」のほうが好意をもてると判断した。ところがそうなると、会う機会はなかなかやってこない。

「それでも勤務先の近い人がいて、お互い在宅ワークなんだけど会いましょうということになったんです。私の出社日に彼も出社するから、午後からお茶でもということで。どうしても会社で片付けなければならないことがある日に連絡して会ったことがあります。でもなんだか落ち着かなかったですね。メッセージのやりとりなら盛り上がるのに、実際に会ってみたら話が続かない。私自身、ちょっと人見知りなところがあるんですが、彼もそうだったみたいです」

顔を見て話してから会ったほうがいいのかもしれない。そう思ったので、次に気になった人とはオンラインデートをしてみた。

「でもなんだか昔の映画で見るようなお見合い状態になってしまって……。こういうのって人見知りの私には無理なのかなあとどんどん自信をなくしていきました」

半年で10人ほどとオンラインデートをしたが、どの人ともうまくいかず、恋愛どころか会う前にダメになってしまうことが続き、彼女は落ち込んでいった。

「どんなことにも向き不向きがあるよと友だちに言われて、少し救われました。やっぱり私は友だちとして会いながら、だんだん関係を深めていくほうが向いているみたい。前の彼もただの友だち期間が数年あって、あるとき周りに冷やかされて急に意識するようになったんです。そういう接近のほうが向いているんでしょうね」

親しくなるのに必要な時間は人によってまちまちだ。ただ、タキコさんが言うように、現在の首都圏では、すぐに会いましょうと言いづらいのが実態。

「コロナ禍だから婚活できないというのを言い訳にしながら生きていってもいいんですが、いつまで待てばいいのか、最近、ちょっと焦り気味です」

 

毎日がんばっていたけれど

同じように、毎日マッチングアプリにかじりついていたものの急に「気乗りがしなくなって婚活やめました」というのは、サキさん(30歳)だ。

「私は親と同居しているので、在宅勤務になると親と顔をつきあわせる時間が長くなったんです。2歳上の兄も未婚なのですが、やはり在宅が多くなった。父もです。大人4人が同じ家で毎日、同じ時間に食事をしていると、なんだかみんながイライラギスギスしてしまって。ごく普通の家族だったのに、ちょっとしたことで衝突ばかり」

そんな中で彼女がはまったのがマッチングアプリだった。仕事が終わると、まずは婚活に精を出す日々が続いた。

「気がつくと2時間も3時間もやっていた。そのうちオンラインデートをするようになったけど、相手の些細な一言に傷ついたり、私のほうが不用意なことを言ってしまったり。お互いに知らない相手なのだから、もっと気を遣わなくてはという思いが強くなっていって、さらに長時間やるようになる」

3カ月ほどたったとき、ひどいめまいに見舞われて食事もせずに倒れ込んだ。携帯電話に起こされて時間を見ると、翌日の夕方近く。朝の挨拶も仕事の報告もしてこない彼女に、上司が心配してかけてきたのだ。

「体調が悪くてとその日は病欠にしてもらいましたが、実際はマッチングアプリのやりすぎなのは明らかでした。でもやらずにいられない。かっこ悪くて親にも相談できずにいたんですが、そんなとき誰も弾かなくなっていたリビングのピアノを父が弾き始めたんです。オンラインでピアノのレッスンを始めたんですって。それを見て、目から鱗が落ちた気がしました。こんな事態から脱するには結婚しかない、早く相手を見つけて結婚したいと思い込んでいましたが、他にもできることはあるのではないか、と」

視点を変え、何かしたいことはなかったっけと考えた。そういえば英会話をブラッシュアップしたいと思っていた、絵を習いたいと思っていた。次々やりたいことがでてきた。

「英会話はオンラインで、絵は近所の絵画教室へ習いに行くことにしました。広い教室に3人くらいしかいないところでマスク着用、換気もしっかりして、先生も常に距離をとってくれるので安心しています。絵を描くのがこんなに楽しいと思わなかった」

家に帰ると、父が無心にピアノを弾いている。母はリビングの隅で機織りをして楽しんでいる。兄は仕事でのスキルアップをはかっているようだ。

「それぞれがやりたいことを見つけたので、最近は家に大人が4人いてもあまり気にならなくなりました。あのままだったら、家族は崩壊していたかもしれません。私もいったん婚活をやめて、今できることに没頭したいなと思っています」

行動範囲も交友関係も狭まっている今、平常心を保ちながら暮らしていくのはそれだけで大変なことかもしれない。だが、「来るべきときに備えて、少しずつがんばっていきたい」と言う彼女は、すがすがしい笑顔になっていた。
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