コロナ禍で医療のひっ迫続く……妊婦の受け入れもますます困難に
続くコロナ禍で病床がひっ迫……妊婦の入院も難しく
そして、自宅療養中の妊婦さんが救急搬送の受け入れ先が見つからず、自宅で早産に至り新生児が死亡してしまったという事例が発生しました。起きてはならないことですが、現在の医療体制として起こることが予測されるケースでもあります。
搬送の受け入れを断った病院に責任を問うことはできません。妊娠8カ月の早産ということは、たとえコロナに感染していなくても、搬送先はある程度の新生児治療が行える設備と人員的キャパシティーが必要になります。まして、コロナ感染者を手術する(帝王切開する)ための設備を完備している病院となると、かなり厳しいのが現状です。
もちろん、今後同様のケースが発生した時の受け入れシステムを、早急に作っておくことは必須の課題です。
都内でも増加が止まらない、妊婦の新型コロナウイルス感染
都内でも妊婦の感染増加が止まらず……
これまでのデータからは、妊娠中だからといって必ずしも重症化リスクが上がるとは限りませんが、年齢や体重や合併症によっては、やはり妊娠中の方が重症化するリスクが高くなることが予測されます。
また、妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、子癇前症(妊娠に伴う高血圧や蛋白尿)が約1.3倍、早産が約1.8倍、死産が約2倍、それぞれのリスクが増大するというデータがあり、その論文によれば、妊婦のICUおよび新生児のNICUへの入院リスクが、それぞれ4.8倍と3.7倍増加しています。
妊娠中は特に厳重な感染対策、ワクチンによる予防を
つまり、妊娠中は特に「感染しないための対策」をしっかり行うことが何よりも重要ということがいえます。マスクやこまめな消毒、できるだけ外出を控える、といった基本的な予防を適切な方法で行うのはいうまでもありません。それに加えて「妊娠中こそワクチンでしっかり予防する」ことを考えていただきたいのです。ワクチンの安全性と有効性については、日本産婦人科学会も追加の声明「新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第2報)」を発表しました。
現在の感染拡大状況を見ると、何か特別なことをしたから感染するのではなく、ごく普通の日常生活の中にウイルスは入ってきているといわざるを得ません。
一人一人が「うつらない」「うつさない」ために何ができるのかを「自分なりに」考えて行動に移すことが、巡り巡って今回のようなケースを予防することにつながるのだということを意識してみてください。
<参考資料>