転職のノウハウ

真夏を乗り越えられるか心配!? 今すぐ転職することの損得勘定 withコロナ時代の「不良求人」案件の見分け方とは(2ページ目)

転職理由には、待遇や評価への不満、人間関係の問題、仕事のやりがい等が複雑に絡み合うものだ。コロナ禍が収まらず、さまざまな気遣いに疲れがたまる中、今年も暑い夏がやってきた。この時期、毎日仕事に向かうだけでも体力的、精神的に辛いものだ。コロナ禍の長期化が予想される今、人材コンサルタントの小松俊明がwith コロナの転職のあり方や、今すぐ転職することの損得勘定について詳しく解説する。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

転職決断の時はコロナ禍の今か、それとも収束後まで待つべきか

次に転職するタイミングについて考えてみよう。コロナ禍の今、転職するにはいいタイミングなのか、それともコロナ禍がある程度収束するまで先延ばししたほうがいいのか、迷う人は多いはずだ。

実際、企業の中途採用の現状を見る限り、コロナ禍でも求人数は多い。この状況から考えれば、転職するチャンスはコロナ禍でも十分にあり、コロナ禍が長期化することが予想される以上、いつ訪れるかわからない収束後まで転職のタイミングを待つ合理的な理由は存在しない。

ただし、求人数や転職者数など、数の面だけで転職市場の実情を評価するのは早計であるうえに、コロナ禍ならではの新たな注意点が生まれていることを指摘しておきたい。その点について、さらに掘り下げて考えてみよう。

求人案件には主に2種類ある。それは増員と欠員補充である。会社が中途採用で増員する主な理由は、新規事業が始まるときや業績好調で事業を拡張する場合など、新たな人員が必要な時である。会社の合併や組織改革などで、新たに生まれた部署に専門知識や経験を持つ人材が必要となり、そうした社員がいない場合なども増員の採用は起きる。

欠員補充は社員の退職に伴って発生するものだが、なぜ欠員が生じているのか、そこが注目ポイントである。

コロナ禍の影響で、不本意な異動が生まれていること、また業績悪化などで社員の待遇が悪化し、モチベーションを下げた社員が会社への不満を募らせていることが原因で転職希望者が増えていることも、転職市場が活況な原因の一つである。こうした状況下の欠員募集では、新たに入社する社員が退職済の社員と同じような状況に追い込まれる可能性があり、その場合、社員が定着しない求人案件が繰り返し転職市場に出ることになる。

つまり、求人件数が多いからといって、必ずしも良い内容の求人案件が転職市場に多いというわけではないため、そこには注意をする必要がある。
 

コロナ禍の求人案件に「不良物件」が含まれている可能性

ではどうすれば、不動産で「不良物件」や「事故物件」といわれるような条件の悪い求人案件を見分けることができるのだろうか。

人材紹介会社など、求人案件の紹介をしてくれる仲介者がいる場合、求人案件の募集背景をまずは聞いてみるといいだろう。一方、正しい情報を人材紹介会社が持っていないことや、誠意をもって正しい情報を詳しく教えてくれないリスク(求職者にとって不都合な情報を隠すなど)もあるので注意が必要だ。

間違った情報を掴まないために、自分が同時にやっておくべきことは、その求人案件がネット上で他の人材紹介会社や転職サイト(例:マイナビ)に掲載されていないか、そして求人案件の掲載日はいつかなどを調べ、その求人案件が発生したタイミングを細かく確認してみよう。

もし、どのサイトでも掲載日が3カ月以内であり、複数のサイトで掲載日に大きな違いがない場合、その求人案件は同時期に新しく発生した同一のものであることがうかがえる。

しかし、同じ求人案件が過去にも何度か掲載されている履歴が残っていて、その掲載日が過去2年以内にわたって異なるタイミングで複数のサイトに複数回掲載されている履歴を見つけた場合は、その求人案件で採用された人が短期間で退職したことがうかがえる。その対応として、求人企業は、同じ中途採用を繰り返している場合があり、「難あり」の求人案件である可能性がある。

好況、不況を問わず、中途採用の転職市場には必ず一定数の求人案件がある。好況の時は増員が理由の求人案件が増え、不況の時や先行き不透明なコロナ禍の中での採用には通常時とは異なる難ありの求人案件が増えてくる。

転職の判断には、本人の個別事情に沿ってタイミングを選ぶことが大切であり、コロナ禍だから転職をしない、もしくは先延ばしを考える必要はない。ただし、人が辞めた後に、その空席に自分が座るのが欠員募集の採用であり、だからこそ応募する企業の募集背景については、いろいろな方法で正しい情報を得られるよう努力を惜しまないようにしたい。

with コロナの時代の転職活動には、良質な求人案件を見極める目を持つことが、より一層大切であることを肝に銘じたい。
 
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