今回はこのJR総武本線にまつわる10のトリビアを紹介する。
1. ゼロキロポストは東京駅と御茶ノ水駅に!
総武本線の起点を示すゼロキロポストは、東京駅の丸の内側地下深くに位置する総武線快速ホームにある。横須賀線とつながっていて直通する電車が多いので、起点という感じはあまりしないが、ここが総武本線の現在の起点だ。ところで、この地下ホームができたのは1972年7月のことで、それほど古いわけではない。それまでは、総武線は複々線ではなく、現在の緩行線(各駅停車)のみが御茶ノ水駅から千葉方面へ向けて走っていたのだ。
黄色い電車(現在は帯のみ)=総武線と認識している人が多いけれど、厳密にいえば、御茶ノ水駅以西は中央線に乗り入れている形を取っていて、御茶ノ水駅を起点として秋葉原を経由して千葉方面へ向かうのが総武線なのだ。
そうした歴史的事実があるので、現在でも御茶ノ水駅2番線と3番線の間には総武本線のゼロキロポストが残っている。なお、錦糸町駅~御茶ノ水駅間は現在では総武本線の支線扱いだ。
2. 隅田川橋梁は歴史的建造物
黄色い帯の総武線各駅停車に乗り、秋葉原駅、浅草橋駅と停車していくと両国駅の手前で隅田川を渡る。1932年に竣工したこの橋梁は日本最初のランガー桁鉄道橋で、その優美な姿は景観によくマッチしている。関東大震災後の復興事業のひとつとして田中豊博士が設計した。この鉄橋の完成によって千葉方面から都心への乗り入れができるようになったのだ。3. かつてのターミナル両国駅の今
都心から千葉方面へ向かう列車のターミナル駅として賑わった両国駅。とくに夏休みになると海水浴客で混雑し、房総の各方面へ向けて列車が発車していった。上野駅と似た駅舎は今なお始発駅の風格を漂わせている。しかし、1972年7月に東京地下駅への乗り入れが始まると、総武線のメインルートが変更になり、新線は隅田川を地下トンネルでくぐるため、両国駅に快速線用のホームを設けることはできなかった。
代わりに隣の錦糸町駅が快速や特急停車駅となったため、錦糸町駅が発展する一方で、両国は急速に衰えていくことになる。かつての列車ホームは1面1線が残るのみで、臨時列車の発着やイベント用となり、普段は閑散としている。
4. 23区内の貨物支線
亀戸駅付近で、南から合流し、総武本線を跨いで北側に移る単線の線路がある。架線の張られていない非電化路線だ。これは貨物専用の越中島支線である。現在、コンテナなどから組成される貨物列車はなく、もっぱら工事用のレールの輸送を行っている。 新小岩駅の千葉寄りには貨物列車が待機する新小岩信号場がある。ここより北にカーブして常磐線の金町駅に至るのが新金(しんきん)線であり、こちらも貨物線だ。電化されていて、この路線は電気機関車牽引による貨物列車が走っている。まれに、臨時で旅客列車が走行することもある。5. 比較的新しい2つの駅、東船橋駅&幕張本郷駅
1972年7月の総武快速線開業時、船橋駅から千葉駅までの駅は、津田沼、幕張、新検見川、稲毛、西千葉だった。その後、1981年10月、複々線区間が津田沼駅から千葉駅まで延伸開業すると同時に、東船橋駅と幕張本郷駅が新設された。駅間距離が首都圏近郊区間では比較的長い上に地元からの要望があったので、それに応えたものである。また、このとき、稲毛駅が快速停車駅となっている。
6. 東京と千葉を結ぶライバル路線
1969年3月、地下鉄東西線の東陽町~西船橋間が開通し、総武線と京成本線に続く、都心と千葉方面を結ぶ第3の鉄道が完成した。その後も、1989年3月に都営新宿線が本八幡駅まで延伸、1990年3月にJR京葉線が東京駅まで乗り入れるようになり、総武線を含めていくつもの路線が東京と千葉方面を結び現在に至っている。この中で、複々線の施設を持つのが総武本線であり、代表する路線として活躍している。7. 総武本線を全線走破する特急「しおさい」
特急「しおさい」は、東京駅と銚子駅を1時間50分程度で結ぶ特急列車である。下りが6本、上りが5本運転され、このほか成東までの区間運転列車が1往復、上りの佐倉発東京行きが1本運転されている。2015年3月までは、銚子駅発最終の「しおさい」は新宿行きで、御茶ノ水駅は通過するものの、本来の総武本線を全線走破する列車だった。ダイヤ改正で東京行きとなってしまったのは、ある意味残念である。
千葉エリアの特急列車は高速バスとの競争で苦戦していて、廃止に追い込まれた列車もあり、「しおさい」の将来も決して安泰ではない。現在、使用している255系電車の寿命が尽きたときどうなるか、気がかりである。
8. 総武本線には単線区間がある!
都心部では複々線区間が続き大動脈の趣がある総武線。千葉駅からは複線区間となる。しかし、佐倉駅を出ると、本来は支線扱いの成田線が複線なのに対し、総武本線は単線となり、肩身が狭そうに成田線の脇を並走し、やがて寂しそうに分かれていく。そのまま単線の線路は終点・銚子駅まで65kmも続いていくのである。都心の総武線とは全く雰囲気の異なる姿だ。9. 総武線を走った復活蒸気機関車
1969年に千葉県内の国鉄線から蒸気機関車は姿を消した。その後、単発ではあったが1987年に毎日新聞社がスポンサーとなる「SL毎日号」が千葉~木更津、千葉~成田間で運転され、JR西日本から借りたC56形160号機が総武本線に限ると千葉駅~佐倉駅間を走行した。2000年代になると、イベントSL列車が千葉県内の路線でたびたび運転された。走行線区は京葉線、内房線、外房線、成田線である。残念ながら総武本線をメインに運転されたことはなかった。しかし、2013年2月に運転されたC61形、2016年1月に運転されたD51形はともに成田線(佐原~松岸)の走行がメインではあったものの、松岸駅と銚子駅の一駅間は総武本線に乗り入れて、その雄姿を総武本線の終点・銚子駅で見ることができた。
10. 終点・銚子駅より先に延びる線路があった!
総武本線の終点は銚子駅だが、1978年まではさらに東へ800mほど線路が延びていて、貨物専用の新生(あらおい)駅があった。廃止後40年以上になるが、銚子駅の東側、銚子電鉄が走る妙見堂踏切の脇には、御茶ノ水駅起点120.017kmという標柱が立っている。総武本線が銚子駅よりも東側に延びていたことを示す証だ。 また踏切を渡ったところには、銚子電鉄から分岐する線路と車止めがあり、かつて総武本線が新生駅まで延びていたことを偲ばせる。以上、総武本線にまつわる知る人ぞ知るトピックを中心にまとめてみた。新たな発見があれば幸いである。
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