Q:5年間ほど会社員だった過去が。65歳より前に、厚生年金をもらえますか
「私は昭和43年(1968年)6月生まれで現在55歳のパート主婦です。最近年金のことが気になって調べているのですが、以前会社員だった人は、65歳になる前から年金を少しもらえると聞きました。私は結婚する前に5年間ほど、会社勤めをしており、厚生年金を払っていました。私も65歳になる前に年金をもらえるのでしょうか?」(埼玉県・会社員・女性)昔、会社員だったことがあったら、年金はどうなる?
A:「特別支給の老齢厚生年金」は受給できない
年金の受給に関しましては、原則として65歳からとなっていますが、昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際に、受給開始年齢を段階的に引き上げる「特別支給の老齢厚生年金」の制度ができました。この「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るためには以下の要件をすべて満たしている必要があります。
【1】男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
【2】老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
【3】厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
【4】生年月日に応じた受給開始年齢に達していること。
相談者の場合、昭和43年(1968年)6月生まれとのことですので【1】の要件を満たしておらず、65歳になる前から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることはできないことになります。
もし60代前半で受け取りたい場合は、繰上げ受給という制度もあります。これは、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に年金を繰り上げて受け取ることができる制度です。
注意点としては、繰上げ受給の請求をすると、請求した時点から65歳に達する日(もしくは特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達する日)の前月までの月数に応じて年金が減額されてしまう点です。減額率は令和4年4月以降は1カ月あたり0.4%で(1962年4月2日以降に生まれた人が対象。それ以前生まれの人は0.5%)、繰り上げ受給による年金額の減額は、一生涯続くことになります。
また、障害基礎年金や寡婦年金などを受け取ることができなくなる可能性もありますし、繰上げ受給は取り消すことができませんので、慎重に判断するとよいでしょう。
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