50代の夫婦関係……性欲ギャップ
50代夫婦の性欲ギャップ
夫婦の夜の問題を複雑にするのは、ズバリ、夫婦の「性欲ギャップ」。セックスレスであろうとセックスフルであろうと、夫婦の性欲が同じであれば、実は夫婦の寝室は平和なのです。
ともにアクティブな夫と妻、面倒だからむしろレスでいい夫と妻、これはどちらも幸せな夫婦の姿です。
問題なのは夫婦の性欲にギャップがある場合で、例えば「80歳まで現役志向」の夫と「面倒だからしたくない」妻、「セックスするよりゲームが楽しい」夫と「我を忘れるような時間が欲しい」妻、これはいずれも残念が積み重なっていく“ため息夫婦”といえるでしょう。
誘ってくれるのはありがたいのだけれど……
貴子さん(54歳・仮名)は「したくない妻」。高校の同級生だった夫と、交際期間10年で結婚。飲食店勤務の夫は、仕事で平日は夜遅いため、週末の朝が夫婦の営みタイム。浮気ひとつしたことないまじめな夫は、今でも毎朝「週末はヨロシクね」とささやいてお尻にタッチするのが日課です。
「夫には悪いですが、正直言って嫌悪感しかないです。朝から毎日、その話?ってホントは言いたいんです。友達にはセックスレスで悩んでる方も多いので、私は幸せといえるのかもしれません。肌の水分も少ないし、胸もしぼんでるし、女性としては価値がない自分を誘ってくれることに感謝しなきゃとは思います。
でも、ほとんど前戯なしだから痛くてしょうがない。勘弁して欲しいです。『もうちょっと頑張る!』って汗をかく夫に『頑張らなくていいから、早く終わらせてよう』って思いながら、演技して。でも、一度でも断ったらもう二度と誘ってもらえなくなると思うと、週に1回ぐらいは我慢するしかないのかな……と思っています」
布団の距離は心の距離?
信之さん(51歳・仮名)の妻も「したくない妻」。夫婦の寝室は布団を並べて敷く和室。昔と比べると明らかに布団と布団の距離が広くなっているということです。
「妻も仕事をしているので、平日は疲れているだろうから誘いませんが、週末ぐらいはちょっと肌と肌をあわせてリラックスしたいなあと思っています。なるべく妻の寝るタイミングに合わせてこちらも就寝。電気を消して隣の布団に手を伸ばし、髪をなでたりして誘うのですが、妻は寝たふりで無視。ならばと妻の布団に入っていくんですが、クルリと背中を向けて、怖い声で『眠いから無理』と言われます。
別の時には、『肩もみしようか?』からスタートし、このまま徐々に手を肩から前へと思ったところで『もう大丈夫。ありがとう』と言われて終了。こんなことをかれこれ2年ほど続けています。
なんでこんな風になってしまったのかというと、実は僕の浮気が原因です。3年前に半年ぐらいだけですが、部下の女性と浮気をしていたのが妻にばれてしまい、それ以来、夫婦の営みは一切拒否されています。
浮気が発覚する前は2~3週間に1回ぐらいは、僕から誘えば応じてくれていたんですが。自業自得と言われればそれまでですね。そろそろ妻も許してくれてもいいんじゃないかと思ってるんです。お詫びの気持ちも含めて、愛情表現のつもりで誘っているんですが、一度閉ざされた門を開くのはなかなか大変ですね」
早いうちに夫婦でしっかり話し合って
したくない妻の場合、はっきり断るタイプと、言わないけど心の中では拒否しているタイプの2通りがあります。はっきり断るタイプの場合は何かしら原因があるはずなので、それを取り除くしかありません。上記の例のように「浮気が原因」という場合はベッドの中だけでなく、日常生活の中でも妻の許しを得られるような言動が必要でしょう。愛情が冷めきった夫に求められるのは苦行です。日々、妻が何を考えているか、どうしてほしいかを観察して、まず「妻を知る」のがレス改善の一歩です。
とはいえ妻側の声を聞くと、「夫のことは生理的に受け付けない。臭いを嗅ぎたくない」という“男女としては終わっているカップル”の方が少なくないという事実もあります。
それほど自分を嫌っている妻と営みをしようと努力することは100%無駄骨です。セックスレス改善以前の熟年離婚対策、あるいは徹底した夫婦仲修復をゼロベースから開始しなければ老後は真っ暗です。
また、男性側は自分が気持ちよければ相手も気持ちいいと勝手に判断しないこと。「思い込みセックス」を続けていると、日常でも妻に避けられるようになります。
妻の表情やリアクションにもしっかり気を配り、妻が本当に楽しんでいるかどうかをしっかり見極めてください。
そして妻の側も、仕方ないからと言って演技をし続けている限り、夫のテクニックが上達することはない、という事実を認識してください。「夫だけが気持ちいい俺様セックス」を断ち切るために、今こそ勇気をもって声を出すことが大切です。
人生節目の50代。夜の営みに関して、今、話し合っておかないとあっという間に還暦です。
付き合い始めたばかりの初々しい二人にはできない「恥ずかしい会話」も、酸いも甘いも経験済みのアラフィフであればできるはずです。アラフィフ世代、この先、夫婦間セックスを終了するのか継続するのか、話し合う最後のチャンスと思って、寝室事情会議を開催するのです。今しかありません。
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