1. 山手線の起点はどこ?
鉄道路線には起点と終点がある。東海道本線なら起点は東京駅で終点は神戸駅、函館本線なら起点が函館駅で終点は旭川駅というように決まっている。では、山手線に起点と終点はあるのか? 中には、東京駅のホーム下にゼロキロポストがあるから東京駅が起点では?という人もいる。しかし、それは正しくない。そもそも、運転系統としては環状運転なので東京駅も上野駅にも山手線ホームと書いてあるけれど、それは正式ではない。路線の戸籍にあたる「鉄道要覧」(国土交通省監修)には、起点は品川駅で、渋谷駅、新宿駅、池袋駅を経由して田端駅に至る20.6kmの路線が山手線とある。それゆえ、JR品川駅の改札内コンコースの片隅に山手線ゼロキロポストが設置されている。 残りの区間は、東京駅~品川駅は東海道本線、東京駅~田端駅は東北本線に乗り入れる形をとっているのだ。したがって、東京駅の3~10番線にあるゼロキロポストは、東海道本線と東北本線のものなのである。
ところで、正式の区間については、かつて、品川~新宿~池袋~赤羽が山手線の本線で、池袋~田端は支線扱いだったのだ。しかし、1972年に池袋~赤羽は山手線から独立して赤羽線となり、それに伴い、池袋~田端の支線が本線に昇格し、現在に至るのである。
また、正式には、環状区間の半分ほどしか山手線ではないけれど、JRの長距離きっぷで東京山手線内という表記があるように、運賃計算上では山手線は環状運転区間すべてを指しているから話は少々ややこしい。
2. 路線の読み方は?
最近では「やまのてせん」で統一されているけれど、半世紀ほど前までは「やまてせん」「やまのてせん」両方の読み方があった。大昔は「やまのてせん」だったけれど、第2次大戦後、GHQ(進駐軍)がYAMATEとローマ字を振ってしまったことから「やまてせん」が優勢になった。しかし、1971年に国鉄(当時)が「やまのてせん」としたことで、以後、「やまのてせん」が正式に復活し、今では「やまてせん」と呼ぶ人はほとんどいなくなった。3. みどりの山手線
国電カラー化のきっかけとなった新性能電車101系がデビューするまでは、国電といえばブドウ色あるいはチョコレート色が一般的で、路線による塗装の区別はなかった。最初に101系が導入された中央線快速電車はオレンジ色に塗られ人目を惹いた。 101系が次に導入されたのが山手線で1961年のことだったが、当初の塗装は黄色(カナリア色)だった。しかし、101系よりも山手線にふさわしい103系が導入されることになり、1963年にライトグリーン(ウグイス色)の車体が初めてデビューしたのである。黄色の101系は中央・総武線に移り、以後、ラインカラーとして定着する。もっとも、山手線の本線がウグイス色となったあとも、元々山手線だった赤羽線にはカナリア色の電車が残ることになり、埼京線開通まで活躍している。4. 外回り、内回り
環状運転の山手線では、他の路線のように下り電車、上り電車と言う表現は使っていない。代わりに外回り、内回りと表記される。東京駅から品川駅経由で渋谷駅へ行くのが外回り、逆方向が内回りだ。ところで、これを英語ではどういうのか? 車内の英語放送や英語表記を観察しても直訳していないようだ。実用的に、bound for Shibuya, Shinjuku とか bound for Shimbashi, Tokyo というように目前の主要駅を案内している。都内の地図が頭に入っていない外国人には(日本人も)この方が実用的だ。
5. 山手線は複々線?
山手線のほとんどの区間は複々線以上だ。田端~上野~東京~品川は京浜東北線と並走しているし、かなりの区間が、東海道本線や東北本線の列車線とも並走している。大崎~渋谷~新宿~池袋~駒込は、もともとは貨物専用の山手貨物線が並走していて、現在は埼京線や湘南新宿ラインがその線路を走っている。結局、複線のみの区間は、品川~大崎の一部区間、駒込~田端の一部区間だけということになる。大都市の中心部を走る路線らしく線路が輻輳しているのだ。
6. 山手線の踏切
山手線を利用すると、東京駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅周辺は高架であるし、一部掘割の中を走る区間もあり、立体交差で踏切は存在しないと思っている人も多いだろう。しかし、駒込駅と田端駅の間には、山手線唯一の踏切(第二中里踏切)が残っている。ただし、開かずの踏切であり、こどもの通学などで危険も伴うので、近隣に陸橋が完成する数年後には撤去することになっている。
7. 山手線の駅で乗り換え路線がない駅
例えば、東京駅では新幹線、東海道本線、中央線に、上野駅では東北本線や地下鉄線への乗り換えがあるというように、山手線のほとんどの駅では他の路線への乗り換えが可能だ。逆に言うと、他の路線への乗り換えがない駅はあるのだろうか?と探してみなくてはならない。田端駅~上野駅~東京駅~品川駅までは、少なくても京浜東北線への乗り換えができるので、あるとしたら、本来の山手線区間である西半分だ。そして、探してみると、新大久保駅、目白駅の2つが乗り換え路線のない駅ということになる。
8. 高輪ゲートウェイ駅
2020年3月、山手線の駅としては西日暮里駅以来、ほぼ半世紀ぶりに開業した30番目の新駅である。駅名の決め方について、公募の投票結果が極めて下位だったにもかかわらず高輪ゲートウェイに決まったことでマスコミを賑わせた。デザインは国立競技場の設計で有名になった隈研吾が担当。駅舎や駅構内は極めてユニークな造りになっている。まだ、駅周辺の再開発は途上にあるので、駅そのもの見学者が目に付き、利用者はそれほど多くない。
田町駅と品川駅の間に忽然と登場したような感がある当駅だが、都営浅草線と京急線の泉岳寺駅とは300mほどしか離れておらず、乗換駅としても利用できそうだ。
9. 山手線と地下鉄との乗り換え
上記の高輪ゲートウェイ駅と泉岳寺のように駅名は異なるけれど、乗換駅として利用可能な駅がいくつかある。隣の田町駅と都営浅草線の三田駅、浜松町駅と都営地下鉄の大門駅、御徒町駅と都営大江戸線の上野御徒町駅、東京メトロ銀座線の上野広小路駅、日比谷線の仲御徒町駅も地下でつながっている。原宿駅も東京メトロ千代田線の明治神宮前駅とは至近距離にあり、乗換駅といって差し支えない。 また、半蔵門線の三越前駅、銀座線の京橋駅は東京駅の八重洲口からは徒歩圏内にあり、雨が降っていなければ利用価値が高い。
10. 山手線の駅メロ
半世紀ほど前は、けたたましい発車ベルが鳴り響いたホームも柔らかな電子音になり、いつしか駅固有の発車メロディーが奏でられるようになった。その中でもユニークなものを紹介してみよう。 高田馬場駅の「鉄腕アトム」。作者の手塚治虫のプロダクション最寄り駅という縁から採用されている。恵比寿駅の「第三の男」。往年の映画の主題歌が、どうして恵比寿駅に? それは、恵比寿駅はエビスビールの工場があったからで、そのテレビCMにこの曲が使われていたことに由来する。
そのほか、期間限定ではあったが、2019年から2020年にかけて、駅メロとしては珍しくオペラの曲が採用された。プッチーニ「トゥーランドット」とワーグナー「マイスタージンガー」で、ホームの目の前にある東京文化会館で2つの演目が上演されたことに由来する。もっとも、「マイスタージンガー」に関してはコロナ禍の影響で延期になってしまった。駅メロも再演されるのだろうか?
以上、山手線に関するトリビアを挙げてみた。参考になれば幸いである。
【おすすめ記事】
・全部読める? 全国にあるオモシロ「難読駅」10選
・知ってた? 実は東京や首都圏にもある「無人駅」
・駅なのに降りられない、人より動物が多い!? 全国で見つけた「変な駅」10選
・バリアフリー設備が充実している駅を厳選! 知る人ぞ知る究極のバリアフリー駅はどこ?
・首都圏でノスタルジックな旅が楽しめる! 実はすごいローカル鉄道旅3選
・「観光列車」満足度ランキング! 一生に一度は乗りたいおすすめTOP10【2021年】
・「秘境駅」めぐり入門編!簡単に行ける秘境駅10選
・首都圏から日帰りで行ける、おすすめ鉄道旅5選
・子連れのお出かけにも!関東の鉄道ミュージアム10選
【こちらもおすすめ】
・今さら聞けない「きっぷの買い方」超入門
・新幹線回数券の使い方! 本当お得なのかエクスプレス予約の割引と比較をしてみた
・知ってた? 鉄道回数券が相次いで廃止に! これから激安で乗る裏技は
・グリーン車とは? 料金や乗り方、設備など普通車との違いやメリット