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暑い日に着るべき服の色は「白」ではなく意外なあの色 体感温度が変わる素材・色とは?

これからやってくる夏の季節、少しでも涼しく快適に過ごしたいですよね。黒っぽい服は熱をため込んで暑そうな印象は何となくイメージができますが、実際のところはどうなのでしょうか。快適に過ごせる色や素材を知っていますか?

北 徹朗

執筆者:北 徹朗

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暑熱環境下でどんな服を着たら暑くない?

これからやってくる夏の季節、少しでも涼しく快適に過ごしたいですよね。黒っぽい服は熱をため込んで暑そうな印象は何となくイメージができますが、実際のところはどうなのでしょうか。快適に過ごせる色や素材を知っていますか?

 

麦わら帽子に白いTシャツが人気。夏に選ばれる色と素材とは?

500名を対象とした今回のアンケート調査の結果をみると以下の様な結果になりました。

「白」(33.8%)が最も多い

「白」(33.8%)が最も多い

暑熱環境下で選ばれる帽子の色としては「白」(33.8%)が最も多く、次いで「黒」(19.2%)、「考えたことがない」(15.4%)、「その他」(12.6%)、「グレー」(12.2%)といった色が比較的多く挙げられました。「その他」と回答した人に具体的に尋ねたところ、麦わら帽子が多く挙げられました。
「綿」(22.2%)、「麻」(21.2%)、「綿ポリ」(13.0%)、「ポリエステル」(11.6%)

「綿」(22.2%)、「麻」(21.2%)、「綿ポリ」(13.0%)、「ポリエステル」(11.6%)

次に帽子の素材を見てみると、「考えたことがない」(24.6%)が最も多く、次いで「綿」(22.2%)、「麻」(21.2%)、「綿ポリ」(13.0%)、「ポリエステル」(11.6%)といった素材が比較的多く挙げられました。
「白」(61.0%)がダントツ

「白」(61.0%)がダントツ

暑熱環境下で選ばれるTシャツの色としては「白」(61.0%)がダントツであり、次いで「考えたことがない」(12.0%)が多い結果となりました。
「綿」(44.2%)、「綿ポリ」(20.6%)、「考えたことがない」(16.2%)、「ポリエステル」(13.6%)

「綿」(44.2%)、「綿ポリ」(20.6%)、「考えたことがない」(16.2%)、「ポリエステル」(13.6%)

Tシャツの素材としては、「綿」(44.2%)、「綿ポリ」(20.6%)、「考えたことがない」(16.2%)、「ポリエステル」(13.6%)が比較的多く挙げられました。

 

暑い日に選ぶべき色と素材とは?

真夏の暑熱環境下を少しでも快適に過ごすために、着るべき色や素材、サイズ感はどのようなものが適するのでしょうか? 過去の研究結果を踏まえて見ていきたいと思います。

〇暑熱環境下での着用に適した色

何十年も前から海外の論文を中心に、「暑熱環境下では明るい色を着用すること」の有用性が多くの研究で示されてきました。ただ、「明るい色」には様々ありますので、具体的には何色が効果的なのか気になるところです。

2020年に発表された一ノ瀬の研究では、黒・紫・深緑・緑・青・赤・黄・灰・白の9色のポロシャツを屋外の炎天下に5分間置いた際の、表面温度の経時変化の比較実験があります。これによれば「白」のポロシャツが30℃だったのに対し、黒色や緑色は45℃を超えたとされています。

筆者(北徹朗ら)も、帽子を用いた同様の実験を行っています。実験に使用した帽子の色は、黒・赤・青・ピンク・黄・白・グレーの7色でした。後述する7つの素材を用いて、炎天下に30分間置いた際の帽子内温度を比較すると、最も成績の良かった色は「ピンク」(38.3℃)でした。その他、黒・赤・青などの色では帽子内温度が43℃近くまで上昇するものが見られました。

〇暑熱環境下での着用に適した素材とサイズ

筆者らの研究では、前述の帽子の実験において、色とともに様々な素材の違いについても比較検討してきました。実験で使用した素材は、綿・ポリエステル・麻・綿ポリ・ナイロン・レーヨン・絹の7種類でした。

結果としては、「綿ポリ」帽子内温度が低い結果となり、暑熱環境下での成績が最も優れていました。ちなみに、実験で使用した綿ポリの割合は、ポリエステル65%+綿35%でした。海外の文献を見ても暑熱環境下における合成繊維着用の有効性を示している研究論文が複数見られます。

サイズについては「ゆったりとした着衣」の有用性が先行研究では示されています。真夏の暑熱環境下では、ボディラインに沿うようなピッチリとしたシャツよりも、薄くゆとりのあるサイズのウエアを着ることで、着衣内の気流が増すことや、発汗率を高め皮膚への空気の流れを増大させます。それにより、蒸発と対流による放熱を増大させ、蓄熱量を減らすことに役立つことが指摘されています。

 

今年もくる猛暑日に備え、服装について考えてみよう

暑熱環境下においては、熱の蒸散を妨げるようなウエアの着用が熱中症の一因となり得ることが指摘されています。筆者らの研究や関連した先行研究からは、暑熱環境下では「ピンク」や「白」といった色で、なおかつ「綿ポリ製」の衣類を選ぶことがポイントです。

2019年5月26日に北海道で39.5度の観測史上最高気温が記録されています。地球温暖化の影響により、近年、従来では考え難かった地域や季節にも猛暑に見舞われています。この年を境にファン付きウエア市場も急拡大したそうです。

今回の調査では、素材や色について「考えたことがない」という回答が多くみられましたが、身体への負担を少しでも軽減し快適に過ごすために、暑熱環境に有効な色や素材を知っておくことは、今後ますます重要になるでしょう。


<引用文献・参考文献>
・一ノ瀬俊明(2020)最小スケール気候変動適応策としての被服色彩選択効果について、2020年度日本地理学会春季学術大会発表要旨集p.97
・北 徹朗ら(2021)帽子の素材・色・形状が暑熱環境下でのスポーツ実施中の帽子内温湿度に及ぼす影響、第75回日本体力医学会(2021年9月発表予定)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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