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1台のスマホで2枚のSIMが使える「デュアルSIM」のメリットと注意点

「デュアルSIM」は1枚のスマートフォンに2枚のSIMを挿入し、2つの回線を同時に活用できる仕組み。最近ではiPhoneが採用するなど対応機種が増えており、賢く使えば通信料の大幅な節約もできるのですが、有効活用する上ではいくつか知っておくべきこともあります。

佐野 正弘

執筆者:佐野 正弘

携帯電話・スマートフォンガイド

2枚のSIMで同時に通話待ち受け、通信料の節約にも

スマートフォンに詳しい人なら耳にしたことがあるであろう「デュアルSIM」という言葉。これは一体何なのかといいますと、要はスマートフォンに2枚のSIMを挿入して利用できる仕組みのことを指します。

実はスマートフォンの中には、SIMカードを挿入するスロットが1つだけのものと、2つあるものが存在します。このうちデュアルSIMに対応しているのは後者で、スロットに2枚のSIMを挿入することで、1台のスマートフォンで2つのSIMの回線を利用できるのです。
デュアルSIM

「デュアルSIM」対応のスマートフォンにはSIMスロットが2つ用意されている

【メリット1】1台のスマートフォンで2つの電話番号が使える
デュアルSIMの最も分かりやすいメリットは、1台のスマートフォンで2つの電話番号による発着信ができることです。例えば1つ目のSIMスロットにプライベート回線のSIM、2つ目のスロットに仕事用回線のSIMを入れておけば、プライベート用と仕事用のスマートフォンを別々に持ち歩く必要なく、1台でどちらの通話もこなせるわけです。
デュアルSIM

デュアルSIM対応端末に2つのSIMを入れておくと、電話発信時にどちらのSIMの回線を使うか選ぶこともできる

【メリット2】通信量を節約できる
そしてもう1つのメリットは、通信料の節約に活用できることです。例えば1つ目のスロットに音声サービスが充実している携帯大手のSIM、2つ目のスロットに低価格で大容量のデータ通信ができるMVNOのSIMを入れておき、通話は携帯大手のSIM、データ通信はMVNOのSIMでこなすようにすれば、携帯大手の大容量プランを契約するよりも料金を抑えやすくなります。
 
デュアルSIM

デュアルSIM対応端末ではどちらのSIMでデータ通信するかを選べるので、安価なサービスのSIMを入れておき、そちらでデータ通信をこなせば節約にもつながる

さらにその応用技として、1枚目のSIMのデータ通信量を使い切ったら2枚目のSIMに切り替えることで節約するという手もあります。

例えば楽天モバイルの「Rauten UN-LIMIT VI」は、月当たりの通信量が1GB以下であれば月額0円で済みます。そこでメインで使っている回線のSIMと、楽天モバイルのSIMをデュアルSIMで運用し、データ通信をうまく切り替えて使用すれば、通常の通信量に無料で1GBを毎月追加できる訳です。この手法は特に、MVNOやサブブランドの2~3GBといった小容量のプランを利用している人にとってメリットが大きいといえるでしょう。

参考記事:1GB以下なら0円、楽天モバイルの“常識超え”新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を解説
 

「DSDS」と「DSDV」の違いや5Gでの利用に注意

ちなみにデュアルSIMにはいくつかの種類があり、その違いによってできることに違いがあります。国内で販売されているデュアルSIM対応スマートフォンの多くは、そうした種類のうち「DSDS」と「DSDV」のいずれかに対応していることが多いようです。

・「DSDS」とは
「DSDS」は「Dual SIM Dual Standby」の略で、2枚のSIMを挿入し、両方のSIMの電話回線で待ち受けができるというもの。通話できるのは一方の回線のみですが、一方のSIMでデータ通信しながら、もう一方のSIMで通話することは可能です。ただし一方のSIMは4Gで利用できますが、もう一方は2G、または3Gでしか利用できないという制約があります。

・「DSDV」とは
一方の「DSDV」は「Dual SIM Dual VoLTE」の略。仕組み自体はDSDSと同じなのですが、どちらのSIMも4G、そしてVoLTEによる高音質通話が利用できるというのが大きな違いになります。KDDIが2022年に3Gのサービスを終了予定であるなど、各社の3Gサービス終了時期が近づいていることもあってか、現在はDSDVが主流となりつつあるようです。

また最近では5Gに対応したデュアルSIMスマートフォンも出てきていますが、一方のSIMが5Gで利用できるものの、もう一方は4Gでしか利用できないものが多いようです。ただiPhone 12シリーズは、iOS 14.5以降でSIMカードとeSIMのどちらも5G回線で利用できるようになったことから、完全5G対応のデュアルSIMスマートフォンも今後は増えていくことでしょう。
 
デュアルSIM

iPhone 12シリーズはeSIMを搭載していることから実はSIMカード+eSIMのデュアルSIMで運用可能であり、どちらのSIMも5G通信が可能だ

 

デュアルSIM対応スマートフォンを入手するには

うまく活用すればとても便利なデュアルSIMなのですが、残念ながら全てのスマートフォンがデュアルSIMに対応している訳ではありません。特に携帯大手から販売されているスマートフォンの多くは、自社回線以外で利用されるメリットがないということもあって、SIMスロットが1つしかない「シングルSIM」のものがほとんどを占めています。
デュアルSIM

携帯大手3社から販売されているスマートフォンの多くはシングルSIM構成で、2枚のSIMを挿入して利用することはできない

【方法1】家電量販店やECサイトなどで「SIMフリースマートフォン」を探す
ではデュアルSIM対応スマートフォンはどうやって手に入れればいいのでしょうか。方法の1つは、家電量販店やECサイトなどで「SIMフリースマートフォン」として販売されているものの中から探す方法です。

SIMフリースマートフォンは、特定の携帯電話会社のSIMでしか利用できない「SIMロック」が最初からかかっていないスマートフォン。携帯大手からMVNOまで幅広いサービスのSIMで利用されることを意識していることから、デュアルSIMに対応したスマートフォンも多く提供されているのです。その多くはオッポやシャオミなど中国系のメーカー製ですが、最近ではシャープやソニーなどの国内メーカーも、デュアルSIM対応のSIMフリースマートフォンを販売しています。

【方法2】アップルの「iPhone」シリーズやグーグルの「Pixel」シリーズを選ぶ
そしてもう1つは、アップルの「iPhone」シリーズやグーグルの「Pixel」シリーズを選ぶことです。iPhoneシリーズは2018年の「iPhone XS」シリーズ以降、Pixelシリーズは国内では2019年の「Pixel 4」シリーズ以降の機種で、通常のSIMスロットに加え組み込み型の「eSIM」も搭載しており、実はSIMカードとeSIMによるデュアルSIMでの利用が可能なのです。
デュアルSIM

iPhoneだけでなく、グーグルの「Pixel」シリーズも「Pixel 4」以降からeSIMを搭載しており、SIMカードとeSIMのデュアルSIMによる運用が可能だ

ただ一方のSIMがeSIMなので、利用できるサービスはeSIMに対応しているもの、具体的には「楽天モバイル」「povo」「LINEMO」「IIJmio」などに限られます。ですがそれでも、有効活用すればデュアルSIMのメリットを生かせることに間違いありません。

なお、デュアルSIMは異なる携帯電話会社のSIMを使わないとメリットを発揮できないので、SIMロック解除は必須です。携帯大手からiPhoneやPixelを購入したという人は、必ずSIMロック解除をしてからデュアルSIMの設定をするようにしてください。

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