亀山早苗の恋愛コラム

「きみの老いを見たくない」。“超”年下夫に離婚を切り出されて…

女優の熊谷真実さん(61歳)が、18歳年下の夫・書道家の中澤希水氏と離婚した。熟年になってからの年の差結婚には、無理があるのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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超年下夫と添い遂げるのはむずかしい?

歳の差婚

女優の熊谷真実さん(61歳)が、18歳年下の夫・書道家の中澤希水氏と9年間の結婚生活にピリオドを打ち、離婚した。ふたりはそれぞれにコメントを出したが、中澤氏は「私のわがままからの結果ですが」と言っており、彼から離婚を切り出したのであろうことが想像できる。ひと言でいえば、将来への意見の不一致なのだろうが、熟年になってからの年の差結婚には、無理があるのだろうか。

 

同じ方向を見なくてもいいという達観

「それぞれが好きなことをする、だけど一緒にいるというのが私たちのスタンスです。この先はわからないけど、同じ方向を見なくてもいいよねと話し合ったことはありますね」

アユミさん(47歳)は、3年前に29歳の男性と結婚した。15歳差だ。彼女は外資系の会社員、彼はバーで働いている。仕事も年齢も、もちろん将来の夢もまったく違うふたりだが、一緒にいる理由は「なんだか心地いい」というふんわりしたものだ。

「周りの友人たちは、絶対に1年もたないと言ったけど、とりあえず3年は超えました。生活はすれ違いだらけ。平日は彼が夕飯を作って、自分は食べてから仕事に出かける。私は帰ってきてからそれを食べる。朝は私が作って、それを彼は昼に起きて食べるという感じ。洗濯や掃除は気づいたほうがやるけど便利な家電があるから、そんなに手間はかからない。お互いにひとり暮らしが長かったので、自分のことをやるついでに相手のこともやっているだけ」

夫は日曜日と平日1日が休み。平日の休みは趣味のフットサルに汗を流し、ひとりでのんびりしているようだ。日曜はふたりでドッグカフェに出かけるのが現在のお気に入り。

「日曜だけはできる限り一緒にいる。他に決めていることはほとんどありません」

夫は将来、自分の店をもちたいという希望がある。アユミさんは、もう一度、海外で働きたいという夢をもっている。どちらかが実現したとき、ふたりはどうやって歩み寄るかを話し合うことになっているという。

「離婚という選択はしたくない。たぶん別居しても離婚はしないんじゃないかなあ。ただ、彼が子どもをほしいと思ったら、私は止めようがないですよね。結婚するとき、彼は『子どもはいらない』と断言しましたし、今もそれは変わっていないというけど、こればかりはわからない。でも今は、ふたりで歩んでいこうと言ってくれています」

どこまでも自由に生きる。その上で一緒にいる。それがふたりのありようだ。

 

彼の言葉が今も心を傷つける

一方、うまくいかなかったケースももちろん少なからずある。

「人は変わるんですよね。変わったのか、あるとき気づいたのかわからないけど。私の場合は、彼にストレートに言われました。『きみの老いを見たくない』って。ショックでした」

そう言うのは、フユコさん(51歳)だ。10年前の41歳のとき、27歳の男性と結婚した。彼は自ら「年上女性こそ魅力的。中でもあなたは最高に素敵だ」と言い、猛烈にアプローチしてきたという。つきあって半年後、ふたりは結婚した。

「デートしているときは、こちらもきれいに着飾っていきますからね。だけど結婚は生活だから、お互い見なくてもいいところまで見えてしまう。彼はそれでも『僕はあなたのどんなところも好き』と最初は言ってくれたんです」

ただ、不幸だったのは彼女の更年期症状が早めに現れてきたこと。結婚して3年後には頭痛やホットフラッシュに悩まされた。仕事が休みの週末、たまに寝込むこともあった。

「彼にとっては想定外だったんでしょうね。横になっていると『なんだか辛気くさいなあ、もっと軽やかな生活をしたかったのに』と言ったり、『一緒にテニスしたかったけど無理だよね』とひとりで出かけてしまったり。私も婦人科に通って体調を整えようとがんばったけど、なかなか思うようにいかなかった」

新婚なのに、鬱々としている年上の妻を見るのは、彼もつらかっただろうとフユコさんは想像する。そして彼女が50歳になったその日に、彼は離婚を口にした。もうこれ以上、あなたが老いていくのを見たくないと彼は言ったのだ。

「白髪やシミが一気に増えた。そういうのを見るとせつなくなるって。カラーリングはしていたけど、彼にとっては私の髪色が変わるたびに白髪を意識せざるを得ないわけだし……。ただ、どうにもならないことを言われて離婚を突きつけられるのは、不本意でした。あなたと結婚しなければこんなに傷つかないですんだのに、と言ってやりました。彼も、こっちだってそんなに早く老化するとは思ってなかったよって。ひどいでしょう」

今だから言えるけど、当時はショックがひどくて誰にも言えなかったと彼女は顔を歪めた。一緒にいて楽しくなくなったとき、そして彼には想像できない「老い」が妻に見えたとき、超年下夫が急に冷たくなることも起こりうるのかもしれない。そこで初めて、愛に浮かれていた目が現実を見定めるようになる。残酷な話ではあるが、こういった事実もあるのだ。
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