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単身世帯の金融資産保有額は平均値で1044万円、3年連続減少

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)」が、2021年1月下旬に公表されました。単身世帯の金融資産保有額は、3年連続減少の1044万円になっています。2人以上世帯の保有額は増加したことから、真逆な状況となっています。その要因を探るとともに単身世帯が保有する金融資産額の詳細を見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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単身世帯が保有する金融資産額は、平均値で1044万円、中央値で300万円

金融広報中央委員会が2021年1月29日に公表した「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、単身世帯が保有する金融資産額は、平均値で1044万円、中央値で300万円となりました。中央値こそ2019年と同額でしたが、平均値は前年比15万円の減額と3年連続の減少となりました。2017年の最高額1771万円と比較すると727万円もの減少です。

金融資産を保有していない世帯を含めた場合の保有額は、平均値で653万円、中央値は50万円でした。2019年と比較して平均値は8万円、中央値は5万円増加と金融資産を保有している世帯と異なる状況となっています。

金融商品別の構成比をみると、預貯金が前年比2ポイント減少した42.2%となった一方、有価証券(債券、株式、投資信託)は同2.6ポイントの増加の36.6%となりました。また、生命保険は同0.1ポイント増加の8.5%、個人年金保険は同0.2ポイント増加の7.9%となっています。

一般NISAを保有している世帯の保有額は176万円と前年と比較して5万円の減少となっています。なお、つみたてNISAや他の非課税投資制度の保有額は公表されていません。
 

株式や債券価格の下落が金融資産保有額減の要因か

金融資産保有世帯において、金融資産構成の前年との比較では「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた」とした世帯は前年比4.7ポイント増加して16.4%、反対に「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」とした世帯は同0.1ポイント増加の5.6%となりました。

有価証券保有世帯(保有額が1万円以上)でみると、「現金や流動性の高い預貯金から、長期運用型やリスク資産に振り向けた」とした世帯は同7.5ポイント増加して29.1%、反対に「長期運用型やリスク資産から、現金や流動性の高い預貯金に振り向けた」とした世帯は同0.9ポイント減少の7.1%となりました。単身世帯は投資に積極的に動いたことがうかがえます。

現在の金融資産残高が1年前と比べて「増えた」と回答した世帯は前年比1.6ポイント上昇の36.3%、他方、「減った」と回答した世帯は同1.2ポイント減少の25.5%となっています。

金融資産残高が増加した世帯では、その理由について「定期的な収入が増加したから」が前年比8.8ポイント減少の35.4%、「配当や金利収入があったから」が同1.3ポイント減少の18.0%となりました。他方、「定期的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が同3.6ポイント増加の30.7%、「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」が同5ポイント増加の17.6%となっています。

金融資産残高が減少した世帯では、「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が同2.1ポイント減少の42.8%と最も高く、「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」が7.6ポイント増加の35.9%となっています。単身世帯の金融資産額の減少は株安などが影響している可能性が高いと考えられます。

金融資産保有の目的では、「老後の生活資金」が前年比0.9ポイント減少の56.1%、次いで「病気や不時の災害への備え」が同1.5ポイント増加の48.9%となりました。

今後保有を希望する金融商品は、預貯金が前年比1.9ポイント増加の54.5%、いずれかの有価証券の保有を希望している世帯は同6.9ポイント増加の29.3%となっています。有価証券の中では、株式が前年比6.1ポイント増加の21%、株式投資信託が同2.2ポイント増加の12.6%となっています。
 

借入のある世帯は減少している

借入金のある世帯は前年比1.7ポイント減少の17.6%となりました。借入金がある世帯は減少していますが、借入金額自体は増加しています。

借入金のない世帯も含む全世帯では、借入金の平均額は前年比24万円増加の88万円、中央値は前年と変わらず100万円となりました。借入金のある世帯のみでは、借入金の平均額は前年比172万円増加の513万円、このうち住宅ローンは同146万円増加の326万円となっています。
 

老後の生活への心配は80%超を継続

老後の生活について「非常に心配である」が前年比4.5ポイント減少の49.3%、「多少心配である」が同2.4ポイント増加の34.2%でした。合計すると83.5%となりますが、前年比では2.1ポイント減少しています。

心配の理由は「十分な金融資産がないから」が前年比2.6ポイント減少の73.6%と最も高く、次いで「年金や保険が十分ではないから」が同5.4ポイント減少の52.5%でした。

2020年版の家計の金融資産に関する世論調査は、調査がコロナ禍であったことから例年とはやや異なる結果だったかもしれません。時期尚早ですが、2021年版はどのような結果になるのでしょうか。

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