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新規国債112兆円は、国民の借金?生活への影響は?

政府が発行する2020年度の新規国債額は、112兆円超。財政健全化の名のもと、わたしたち国民は、消費税増税などに耐えなければならないのでしょうか。家計への影響を心配されている方が多いため、そもそものお金の仕組みについても、考えてみましょう。

執筆者:大島 浩之

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国債の残高を増やすことは、後代にツケを残すことなのか?

政府が発行する2020年度の新規国債額は、112兆円超。これまでの最大であるリーマン・ショック後の2009年度(52兆円)の2倍を超えるため、あまりにもインパクトが大きいのではないでしょうか。そのため、財政健全化の名のもと、コロナ収束後には、消費税増税などをはじめ、ますます、わたしたち国民は、我慢しなければならない生活を送らざるをえないのかと、心配されている方も多くいらっしゃいます。
 
そこで、国債発行という政府の借金について、後代にツケを残さないためにも、国債発行を抑え、発行したとしても、税金を財源として、返済しなければならないのか、貨幣観も含めて、検討していきましょう。
 

これまでの考え方であれば……

これまでの考え方である、「政府の借金は、国民の借金。借金が膨れ上がっているのだから、国民にも、我慢を強いなければならない」という論法が正しいのであれば、デフレ(需要が、供給を下回るため、物を作っても売れず、価格がどんどん安くなる流れ)という経済的に厳しい状況であっても、消費税などは、増税されることになります。
 
また、「国債の発行が増えると、国債に対する信用力が落ちることから、リスクを負担させる分だけ、国債の金利は上がる」というのが、これまでの教科書的な結論です。そして、住宅ローンの金利の中には、国債の金利に連動する仕組みとなっているものもあるため、国債の金利が上がれば、ローン金利は上昇に転じることになります。
 
さらに、家計への影響として、「借金が膨れ上がっているのだから、緊縮財政は善である」という流れにおいては、公共事業なども制限され続けます。そのため、仕事が増えなければ、雇用も確保されないため、コロナ禍と同様に、収入が増えるどころか、不安定になる可能性が高くなります。
 
生活全般についても、「財源がないのであれば、やむなし」ということで、公共サービスが低下し、教育や科学技術などの未来への投資も期待できず、防災・減災の取り組みである「国土強靭化」の未達成も当たり前のものとして、受け止めなければならないでしょう。これでは、豊かな生活とは程遠い生活になることは、容易に想像できます。
 
そのため、個人ができる家計対策としては、ただ、ただ、節約、我慢となります。さらに、最悪なことに、これがデフレ・スパイラルとなり、バブル崩壊後の失われた20年、30年が、今後も続くことになるのです。
 

国民の借金ではない?

「借金は、返すべきもの」というのは、常識。しかし、これは、あくまでも、個人や家計での話なのです。そのため、政府とわたしたちとの違いでもある、通貨発行権の有無について、着目しなければなりません。
 
そして、財務省のホームページ「外国格付け会社宛意見書要旨」にもあるように、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」との説明こそが、「政府の借金は、返す必要がない」という結論を導くのです。
 
つまり、デフォルト(債務不履行のことで、借りたお金を返せなくなること)しないのですから、過度なインフレにだけは気をつけながら、国債の発行を進めればいいのです。
 
そのため、消費税などは、好景気に転じた際に、増税すれば良いのであって、コロナ以前でもデフレであった現在の厳しい経済状況では、消費税の減税や凍結が、正しい選択なのではないでしょうか。
 
また、住宅ローンなどの金利は、金利が多少高くても借りたい人が増えるような好景気になれば、上がるのであって、これまでの国債発行額と金利の動きのデータからもわかるように、上がる可能性は極めて低いでしょう。

さらに、家計への影響としては、公共事業などをはじめ、仕事が増えることで、雇用も確保され、収入が安定し、増えることも期待できます。
 
生活全般についても、公共サービスが充実し、教育や科学技術などの未来への投資も期待できます。また、防災・減災の取り組みである「国土強靭化」も達成することで、豊かな生活基盤を後代に継承することが可能となるのです。
 

個人ができる家計対策は?

個人ができる家計対策としては、ただ、ただ、節約、我慢すること以上に、大切なことがあります。それは、第一に、「お金の仕組みを知る」ことです。

たとえば、YouTubeなどを検索すれば、「国債を発行し、公共投資を拡大することで、デフレを脱却すべき」と主張する政治家や学者などの動画を簡単に確認することができます。
 
したがって、もし、「国債は国民の借金ではない」と思えたのであれば、選挙権の行使をはじめ、消費税の減税や凍結、積極財政を推進する政党を支持することこそが、抜本的な家計対策になるのではないかと考えます。
 
●参照
外国格付け会社宛意見書要旨(財務省ホームページ)
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

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