子育て

小学生の家出、深刻化する前に気付きたいSOSサインと対処方法

小学生になると行動範囲も広がり、親への反発から家出をするようなことがあります。この時、子どものSOSのサインを逃すと、その後、中学、高校と年齢が高くなるにつれて解決がより困難になってしまうことも。深刻化する前に気付きたい心のサインと対処法を紹介します。

田宮 由美

執筆者:田宮 由美

子育てガイド

<目次>

小学生の家出、楽観視してはいけない

小学生の家出

「小学生のプチ家出」と楽観視したり、放置することはとても危険です

1人で行動する範囲も広がってくる小学生は、親子間のちょっとした言い合いなどから家出をするようなことがあります。昨今、SNSや情報機器端末の普及により、子どもが思わぬ犯罪に巻き込まれることも少なくありません。「友達の家か近所の公園で少し遊べば夕方には帰宅するだろう」「小学生だからお腹が空けば直ぐに帰ってくるだろう」と安易に考えることは危険です。

親の手が離れて子育ても少しずつ楽になる小学生ですが、子ども自身は自我が芽生える第一反抗期、そしてアイデンティティが確立される第二反抗期の狭間で揺れ動く葛藤もあるでしょう。行動範囲も広がり、仲間同士の絆が強くなり、親への反発が増えるこの時期、家出を考える小学生は案外多いかもしれません。

冒険心やワクワクした刺激を求めて友達と秘密基地に潜んだり、親の目を離れてゲームなどを思う存分楽しみたいという試みから、なかなか子どもが家に帰ってこないということもあります。こういった成長過程における好奇心や友達付き合いから生じるものは、少し体験して反省すればしなくなるものです。

しかし中には、子どもが中学、高校と年齢が高くなるにつれて解決がより困難になってくる、深刻な要因を含むケースの家出もあり、そのような場合は問題が小さなうちに改善しておきたいものです。
 

親が気をつけるべきSOSサイン

子どもが家出をした際は、SOSのサインをしっかりと受け止め、深刻化する前に適切な対応をすることが大切です。家庭の背景や本人の性格などが絡みあい、ひと言で原因や対応法を言い切ることはできませんが、以下のような心当たりがある場合は、まず親自身の言動を振り返ってみる必要があります。

■1. 価値観の押し付け
嫌な習い事を強制的に続けさせたり、勉強に対する過度の期待やプレッシャーへの反発が家出のきっかけになることがあります。身に着けるものの好みから将来の進路にいたるまで、子どもが決めた選択ではなく、親の意向を優先するという過度な干渉は、「子どものため」という思いがあり子育てに熱心な親ほど陥りやすいものです。

しかし、子どもは自分の意思や思考、感情を認められることにより、自立した大人へと成長していきます。親ならではの愛情の場合もあると思いますが、「あなたのためを思って」「あなたには、こっちの方が合っているわよ」などといった言葉が多くないか、親が自分本位で価値観を押し付けていないかなどを振り返ってみてください。

■2. 無関心
反対に無関心であっても当然、親子の心の隔たりは広がります。子どもの話を聴かない、子どもとの会話がほとんどない場合、「自分は愛されていない」という寂しさの気持ちから、親の愛情を確かめたり心配してもらいたくて、家出を試みることもあるでしょう。

親はそのつもりはなくても、日々の忙しさに紛れていつの間にか子どもとゆっくり向き合っていなかったということもあります。特に聞き分けがよい子の場合、心の寂しさや不安に親が気づかない場合が少なくありません。学校での様子や友達関係などをどれくらい知っているか振り返ったり、一日の時間の過ごし方を書き出し、子どもと向き合った時間がどれくらいあるかを確認してみましょう。
 
■3. 両親の不仲
両親の言い争いが多かったり不仲な場合、子どもにとって家の居心地はよいものではありません。喧嘩ばかりしている親への反抗心、また家庭には「自分の居場所がない」と感じることが、家出につながることもあります。

子どもの前では、夫婦間の感情的な言い争いや喧嘩はできるだけ止める工夫や心がけをしたいものです。普段から冷静にお互いの考えを伝えて尊重し合い、自分自身を客観的に見るように心がけておくことも大切です。
 
■4. 学校が苦痛
友達とのちょっとした喧嘩やトラブルから、無視やいじめなど深刻なものまで、学校に行くのが苦痛な場合も家出につながることがあります。根本の要因は学校問題にありますが、家に居ることで親から「学校に行きなさい」と言われるため、家出という選択をするのです。

「親は自分の言葉に耳を傾け、理解を示してくれる」と感じていれば、学校での苦痛な体験を話しやすいですが、そうでない場合は行き詰まってしまいます。やはり日頃から、学校の様子や友達関係、子どもの興味関心などに耳を傾ける時間を作るよう心がけることが大切です。
 

帰ってきた時から新たなスタートを

小学生の家出は行動範囲も限られているからと軽視してはいけません。子どもは、家庭内で感じている苦痛や傷心をどのように対処し解決すればよいのか自分でも分からず、家出という行動を起こす場合があります。ただの“プチ家出”だろうと思っても、今後深刻な事態に発展するSOSのサインかもしれません。
 
もし子どもが家出した場合はまず、部屋を探索して何を持って出かけたか把握しましょう。GPS機能付きのスマートフォンを持って家を出たのであれば、そこから探すこともできます。お小遣いや服なども持って出ているようでしたら、計画性をもってしているため、急いで警察に連絡するなど対処が必要です。同時に行きそうな場所を探したり、学校の先生にも伝えましょう。昨今の子どもを取り巻く犯罪を考えると、大事に至る前に少しでも早く探す行動を起こすことが大切です。
「親に愛されたい」「家庭に居場所が欲しい」という愛情欲求や所属欲求が満たされていことから、「家出」という手段を取る

帰宅した時は決して叱らず、子どもをしっかり抱きしめて、みんなが心配していたことを伝えましょう

子どもが帰ってきた時、見つかった時は、決して叱らず、まずは無事を喜んでください。子どもをしっかり抱きしめて、お母さん、お父さん、みんなが心配していたことを伝えましょう。

家出をしたという行動を厳しく叱責することは、問題の解決にはなりません。親は自分の言動を振り返り「少し言い過ぎていたわね」「話を全く聞かなくて悪かったね」など、子どもの気持ちに寄り添うような言葉がけをしてあげてください。
 
そして見つかれば、それで終わるのではなく、そこから新しい親子関係を築いていけるように考えていきましょう。

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