通夜・葬式の弔問マナー

寒い季節の喪服マナー、タイツやパンツスーツはあり?黒コートがない場合、グレーはNG!?

寒い季節の喪服で「タイツはNG」「パンツスーツはNG」「タートルネックはダメ」と言われているのはなぜでしょうか。自分の置かれている立場などを考えてながら、弔いのシーンにふさわしい装いやふるまいを心掛けることが大切です。

吉川 美津子

執筆者:吉川 美津子

葬儀・葬式・お墓ガイド

寒い季節の喪服にタイツやパンツスーツ、タートルネックなどはNGなのでしょうか。また黒のコートやマフラーを持っていない場合、グレーや紺ではいけないのでしょうか? 弔いのシーンにふさわしい装いやふるまいの心掛けについて解説します。
 
寒い真冬の喪服マナー、タイツやパンツスーツはダメ?

寒い季節の喪服マナー、タイツやパンツスーツはダメ?

 

「喪服にタイツはNG」の謎マナーの実際は?

思わず重ね着することも多い寒い季節。スカートをはくときに、防寒力をアップさせるため、デニール数の高いタイツをはく人は多いのではないでしょうか。

デニールとは、糸の太さ(重さ)の単位のことで、タイツやストッキングなどのレッグウエアのパッケージに必ず記されています。数字が大きくなると糸が太くなり生地も厚くなるというもの。冬場の売れ筋は50デニール、80デニールあたりでしょうが、100デニール以上でないとはかないという人もいます。

ところが、大抵のマナー系のサイトでは「喪服の場合は30デニール以下でないといけない」と書いてあり、特に葬儀の参列に慣れていない若い世代から戸惑いの声が聞かれます。
 
実際、現場ではどうかというと、真冬に薄手のストッキング姿を見かける女性は少数派です。参列者の多くが高齢者ということもありますが、昔と比べてデニール数が大きくても、スッキリはきこなせるタイツが増えたことにも関係しているのではないでしょうか。

最近は、1200デニールの製品も注目が集まっているようです。ベージュの素材と組み合わせることで透け感があるようにみせ、機能性と見た目の両方を追求したタイツとなっています。
 

寒さ対策に喪服でパンツスーツはダメなのか

まず洋装の格式について少し触れていきましょう。女性の昼間の礼装で最も格式の高いものといえば、肩や背中の露出がないローブモンタントという高襟のロングドレスで、主に皇室の行事で見かける正礼装です。葬儀の場合は、上から下まで黒で統一され、肌が見えないように、トーク帽とベールをかぶり、手袋を身に着けています。
 
一般の女性の喪服では、黒のドレス(ワンピース)が格上、ツーピース(スカートスーツ)がその次とされます。パンツスーツはその下の略礼服に分類されるため、フォーマル度は若干下がります。

しかし、一般の参列者という立場であれば、パンツスーツは少なくとも遺族より格上になることはありませんので、失礼とまではいかないでしょう。
 
それでは遺族・親戚という立場になった場合、パンツスーツは喪服として着用できるのでしょうか。一般的には、喪家側の立場ではパンツスーツは避けたほうがいい、といわれています。略式とみなされ参列者より格下の装いになってしまう可能性があること、また「女性の喪服はスカートでなければならない」と考える人も少なからず一定数はいるというのが理由です。
 
しかし、そういった考え方もダイバーシティ、つまり多様性や個性を尊重する考えが主流になるにつれ、今後は女性だからスカートでなければならないという概念が薄れていくように思います。昨今は、プライベートもビジネスもすべてパンツスーツ、結婚式もパンツスタイルという女性も少なくありません。喪服だけスカートという点に違和感を覚えるとった声もよく耳にします。

ひと昔前までは、女性の喪主の服装といえば和装をイメージする人が多かったですが、現代はほとんど洋装になっているように、服装のマナーも変化しているのです。
 

黒のコートを持っていない、という場合は 

黒コートがなくてもダークな色なら可。

黒コートがなくてもダークな色なら可。

弔いの場に行くわけですから、華やかなコートは避けたほうがいいでしょう。だからといって、黒でなければいけないわけではなく、濃紺、グレー系、茶系で奇抜な柄でなければ大丈夫です。

形や素材については、「ダウンコートやダッフルコート、フード付きはカジュアルになってしまうのでダメ」と書いてあるマナー系サイトも多くありますが、現場ではダウンもダッフルもよく見かけます。

避けたほうが良いのは毛皮のコートでしょうか。「殺生を彷彿させるから」という説のほか、またゴージャスな印象になってしまいがちなので避けたほうが良いという理由もあります。

春先になると、ベージュ系のトレンチコートもよく見かけます。場所によっては浮いてしまうこともありますので、状況によっては式場の外で脱いでおいたほうが良いこともあります。

なお、焼香の際、焼香台の近くに手荷物置き場が設置されている場合、バッグ等と一緒にコートも置いてお参りします。香炉の火に服を近づけすぎないように注意しましょう。
 

マフラーや手袋は普段使用ではダメ? 

防寒用のマフラーや手袋はどのようなものを選べばよいのでしょうか。コートと同様、黒、濃紺、グレー、茶系、濃緑などダークな色でまとめます。

そうはいっても、マフラーや手袋だけ弔事仕様を準備している、という人は少ないのではないでしょうか。派手な色や柄は避けた方がよいですが、そうでなければ日常的に仕様しているものでも許容範囲内です。基本的にはマフラーや手袋は式場に入る前に外しますので、ある程度配慮できていれば、さほど気になることはありません。
 

インナーにタートルネックはNG!?

インナーにタートルネックはどうなのか、という質問を受けることがあります。タートルネックとは、ネック部分を折り返して着用するもので、ネック部分を折り返すか、首元でクシュクシュにして着用するタイプのものを指します。タートルネックがダメというのは、このクシュクシュの部分にカジュアル感が出てしまうから。

首へのフィット性が高く、型崩れしにくいハイネックのインナーや、モックネックというハイネックより少し短めの立ち襟タイプであれば、カジュアルな印象を軽減できます。胸元が大きく開いた服を着用するより、よほど配慮された着こなしといえるのではないでしょうか。

マナーの基本は「思いやり」です。単なる決まりやルールではなく、その場において心を共有するための作法です。価値観や習慣が異なる人々が集まって滞りなく生活を営むためには、モラルを理解し、相手を思いやり尊重する心を形として表現して技術が必要です。

「なぜそうするのか」という本来の意味や自分の置かれている立場などを考えながら、弔いのシーンにふさわしい装いやふるまい心掛けることが大切です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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