ドラマガイドが選ぶ「嵐」映画・ドラマおすすめ作品
日本中で旋風を巻き起こし続ける嵐の5人。2020年12月31日(木)をもって活動を休止されましたが、個々それぞれが輝きを放ってきた数えきれないドラマや映画にも、みなさん一人ひとりにとってかけがえのない作品があることでしょう。どれも何度も観たい作品ばかりなのですが、ドラマガイドとして、あえて注目すべき作品を厳選して振り返っていきます(以下、敬称略)。すごい演技をすごいと感じさせないことがすごい 二宮和也『赤めだか』
映画『検察側の罪人』では混乱する検事を、『ブラックペアン』では破天荒な医師を、『DOOR TO DOOR~僕は脳性まひのトップセールスマン~』では主人公の力強さとやわらかさを、『青の炎』では高校生が封じ込める濃厚な感情を、圧巻の演技で表現しながら、作品の本質をみごとに映す二宮和也。強い演技で引き付けるだけでなく、観る側の心の奥底に届く浸透性の高いミクロの演技が持ち味です。前に前にと出ることなく、俳優陣の強みを輝かせることも彼のすごさで、その魅力を堪能できるのが、落語界で生きる個性豊かな弟子たちの青春を描いた『赤めだか』です。演じた落語家・立川談春の中学時代といい堪能できた落語といい、圧倒的な演技力があってこそですが、小難しいことを感じさせない2時間15分はあっという間の楽しさです。
空と風と光がこんなにもよく似合う 相葉雅紀『僕とシッポと神楽坂』
作品で演じる人物にこれほどまでに自身の人間味がにじむ俳優はなかなかいないのではないでしょうか。誰もがひかれる優しさと温かさ、彼だけが持つ癒しと和み、みんなを笑顔にしてしまう愛らしさは特別です。『貴族探偵』では裕福な謎解き好きの貴族を、『ようこそ、わが家へ』は自らを奮い立たせる青年を演じ、いつも私たちは彼が演じる人物に親近感を覚えてしまいます。そんな彼の透明感と清々しさが光っていたのが『僕とシッポと神楽坂』です。神楽坂の情緒豊かな風景と愛くるしい動物たちの表情は絶品。力みのない自然体で演じる相葉雅紀が見せる果てない空は心地よく、彼が演じる主人公の獣医師・高円寺達也の陽だまりのようなぬくもりは、ザワザワする心を癒してくれます。忙しさで荒んでしまいそうなときこそ、ぜひどうぞ。
圧巻の感性をサラリと見せる粋とクール! 大野智『忍びの国』
『怪物くん』や『死神くん』では浮世離れした存在を淡々と見せ、『鍵のかかった部屋』や『歌のおにいさん』では軽やかに私たちをクスクスさせる大野智。天性のビート感やアート感に頼ることなく努力を続け、エンターテインメントに磨きをかけてきたからこそ、私たちは作品に引きこまれて行くのでしょう。2017年の『忍びの国』は時代劇ということもあってか、映画館にはシニアの男性の姿もあって新鮮でした。アクション映画としての見応えも十分、軸のぶれない大野智のしなやかな体の使い方が、怠け者の忍び・無門に生命力を注いでいます。乾いた世界観とクスッとできる空気の混在は力みのない大野智の妙。言葉の強さではないところで作品のメッセージを届ける彼の粋も素敵です。
胸を張る未来のために今を妥協しない 松本潤『99.9-刑事専門弁護士ー』
『花より男子』や『失恋ショコラティエ』『陽だまりの彼女』といった心がキュンと泣き、愛を叫ぶラブストーリーは松本潤の艶が生きるジャンルですが、独特のテンポで走り切る『99.9 刑事専門弁護士』もまた松本潤のやわらかさと芯の強さが生きた傑作です。散りばめられたいわゆる小ネタに彼のチャーミングな一面が光りましたが、作品のメッセージはぶれることなく、視聴者を最終回まで引きつけたのは、主人公の弁護士・深山大翔を、少年のような好奇心旺盛な表情や現実を直視し闘いを決意するクールな表情でつくり上げた松本潤の繊細な表現力があったから。続編に期待したいところですが、まずは2023年の大河ドラマ『どうする家康』で、どんな家康に出会えるのか、期待したいと思います。
ことばのチカラで希望を届ける 櫻井翔 『先に生まれただけの僕』
『ザ・クイズショウ』や『家族ゲーム』で見せた櫻井翔の集中力にことばを失い、まるで自らをそぎ落としているかのような櫻井翔の全身全霊の演技に震えたことを覚えています。『ハチミツとクローバー』でのさわやかさや『謎解きはディナーのあとで』のコメディテイストなど、芸達者な彼ですが、『先に生まれただけの僕』は、櫻井翔が演じてこそ光る唯一無二、私の大好きな作品です。ビジネスの視点を生かし臆することなく出向した高校の改革に挑む商社マン・鳴海涼介が立場にこだわることなく自分のことばで生徒たちに語る姿に胸を熱くしたひとも多いのではないでしょうか。先生や生徒たちを巻き込み、やがて青春が大きな花を咲かせる尊さに胸が躍ります。櫻井翔という俳優がいたから生まれた奇跡のような作品、おすすめです。