預金・貯金

家計の金融資産額は過去最高を更新。現金・預金が大幅に増えて1901兆円に

日本銀行が四半期ごとに公表する「資金循環統計」によれば、2020年9月末の速報値ベースで家計が保有する金融資産額は、過去最高を更新して1901兆円になりました。新型コロナの感染拡大で消費を控える傾向が続き、現金・預金が大幅に増えたことがその背景にあるようです。どんな結果だったのか見ていくことにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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家計の金融資産額は過去最高額に

日本銀行が12月21日に公表した「資金循環統計(速報)」によれば、2020年9月末で家計が保有する金融資産額は前年同月比2.7%増の1901兆円と初めて1900兆円台に乗せてきました。統計でさかのぼれる2005年以降で最高額でした。いよいよ2000兆円が今回の資金循環統計から視野に入り始めたといえそうです。
 
なぜなら、増加率2.7%は低いと思われるかも知れませんが、1%の増減で19兆円動くことになることから、2.7%増は約50兆円の大幅増加ということになります。仮に同じ割合で家計の金融資産額が増えたとすれば、半年後の2021年3月末には2000兆円の大台に乗せることになります。2四半期はいくらなんでも早すぎる気がしますが、株式の価格が大きく上昇していることを考えれば2000兆円乗せもありえないことではないでしょう。
 
49兆円と大幅に金融資産額が増えた背景は、新型コロナの感染拡大の影響から消費抑制が続き、現預金が大幅に増えたこと。株価の持ち直しで保有する投資信託の評価額が増えたことがその要因です。ただ、株式等の残高は1年前と比較すると減少していました。
 
以下にその詳細を見ていくことにしましょう。
 

株価上昇の恩恵にあずかれる人は少ない

3月のコロナショックの急落が記憶に新しいことから、現預金を厚めにおいている割合が増加しているようです。2020年9月末の家計が保有する現預金は1034兆円。1年前の2019年9月末と比較して4.9%も増加しています。2020年6月末も4.0%増加していることから、2020年度に入ってから現預金の積み上がりは加速しています。それまでは高くても増加率は2%台後半。それが2期連続4%台ですから、大まかに言えば増加速度は2倍になったことになります。また、現預金の増加は11年超に及んでいることから、低金利が長期化しても預金好きという性格は変わっていないことになります。
 
株式等と投資信託は明暗が分かれました。世界的に株価は戻り歩調にあるにもかかわらず、株式等は残高を減らした半面、投資信託は残高を増やしたからです。株式等は1年前と比較して1.8%減の181兆円となりました。3四半期連続して残高を減らしていますが、減少割合は低下しており、次回はプラスになると予想されます。残高から推測すると家計は株式を売却して現預金を積み増したようです。あるいは株式から投資信託に乗り換えたのかもしれません。家計が保有する金融資産全体に株式等が占める割合は9.5%まで減少しています。
 
一方、投資信託は3四半期ぶりに残高を増やしています。1年前と比較して1.6%増加の72兆円になりました。投資信託の資金の流出入から推測すると、国内株式よりも海外株式の上昇の恩恵を受けて残高を増やしたと思われます。ただ、金融資産全体に占める割合は3.8%、金額で72兆円しかありません。
 
日経平均株価は29年ぶりの高値、米国株などは過去最高値更新となっていますが、個人が保有する株式等と投資信託は合わせて253兆円、金融資産全体に占める割合は13.3%しかありません。残念ながら株価急騰の恩恵にあずかっているのは、単純に10人に1.3人に過ぎないということになります。
 
保険・年金・定額保証は1年前と比較して0.3%増加、その残高は530兆円となっています。うち、保険は1年前と比較してほぼ横ばい(増加率0%)、残高は375兆円でした。2020年に入り保険の増加率にはブレーキがかかっています。長期金利の低下の長期化などを背景に貯蓄型保険が売り止め。新型コロナの影響で収入が減少し、保険の見直しが行われていることなどがその背景にあるような気がします。
 
家計の金融資産額は1901兆円と過去最高を更新しましたが、コロナ禍では「持つものと持たざるもの」の差がより開いたように思われてなりません。その差が縮まることを願いたいところですが、株価の動きや冬のボーナスの支給状況を考えればさらに開いてしまった気がしてなりません。1日も早くコロナの影響が軽微になってもらいたいものです。

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